聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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367部分:第五十話 雪原の中でその四
第五十話 雪原の中でその四
「ちょっとした愚痴ですし」
「気にしないで下さい」
「申し訳ありませんでした」
「いや」
しかしカミュはまた言うのだった。
「ここはだ」
「ここはっていいますと」
「オルフェ」
「はい」
カミュはオルフェに声をかける。するとオルフェはすぐにその言葉に応えた。
「それでは」
「わかりました」
それだけでもうわかったようだった。
「早速奏でさせて頂きます」
「えっ、カミュ様オルフェのですか」
「オルフェの音楽をここで」
「そうだ。それを奏でる」
青銅の者達に対して述べるのだった。
「それでいいな」
「は、はあ」
「何と」
カミュの今の言葉に驚きの声をあげる青銅の者達だった。
「あのオルフェの竪琴を俺達にですか」
「本当に宜しいのですか?あの、その」
「俺達がって」
「何を謙遜する必要がある」
カミュは申し訳なさそうに言ってきた彼等に対して言うのだった。
「何かそうしなければならない理由があるのか」
「いえ、まあそれは別に」
「ないですけれど」
そう言われるとこう返すのだった。
「けれど何ていうか」
「俺達みたいなのがって」
「本当に」
「誰であろうとも」
オルフェ自身の言葉である。
「私の竪琴は聴くことはできる」
「誰でもって」
「いいのかな、いや本当に」
「オルフェは人を分け隔てすることはない」
カミュがこう彼等に告げるのだった。
「だからいいのだ」
「そういうものなんですか」
「それじゃあ」
「聴くのだ」
あらためてまた告げるカミュだった。
「喜んでな」
「じゃあまあそういうことなら」
「御言葉に甘えて」
彼等もようやく頷いた。ここでようやくだった。
「じゃあオルフェ」
「頼むぜ」
「それではだ」
早速その手に竪琴を持ったオルフェだった。そのうえで奏ではじめる。その音は。
「すげえ」
「これが琴座のオルフェの竪琴か」
「噂には聞いていたけれどな」
「こんなのだったのかよ」
青銅の四人も思わず呆然となる程だった。オルフェの竪琴はそこまで素晴らしかったのだ。
「いや、聴いてるとな」
「これまで色々愚痴言っていたのが馬鹿らしくなるな」
「全くだ」
そういう気持ちになるのだった。
「まるであのギリシア神話のな」
「ああ、オルフェウス」
「それだな」
ここまで称えられるのだった。ギリシア神話にその名前を残る伝説の英雄の一人だ。
「その竪琴の音ってこんなんだったんだな」
「そうだろうな」
「何処まで凄いんだよ」
彼等は口々に言うのだった。
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