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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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357部分:第四十九話 竪琴の力その一


第四十九話 竪琴の力その一

                   竪琴の力
 オルフェはカミュの言葉に従いその手に持っている竪琴を奏ではじめた。
 清らかな声が聴こえてくる。しかしリュートはそれを聴いても特に変わったところはなかった。
 その平然とした態度で。言うのだった。
「この竪琴の音は確かに素晴らしい」
「そうか、グラシャラボラスよ」
 カミュはリュートのその言葉を聞いて自身の言葉を返した。
「貴様にもそれがわかるのか」
「音楽については私も解する」
 余裕さえ持っている笑みで返すリュートだった。
「だが」
「だが?」
「それに惑わされることはない」
 こう返すのだった。
「この音にはな」
「音に惑わされることはないというのか」
「そうだ。私を音で惑わせるつもりなら無駄なことだ」
 彼はまた告げてきた。
「その様なことをしてもな」
「安心しろ。そのつもりはない」
 だがカミュはその彼にこう返すのだった。
「この音は貴様に対するものではない」
「では何に対するものだというのだ?」
「すぐにわかる」
 カミュはまた言ってきた。
「すぐにな」
「?それでは一体何の為の音だというのだ」
 リュートはカミュのその言葉を聞いて怪訝な顔になった。
「この竪琴の音は」
「見るのだ」
「何をだというのだ?」
「今から起こることをだ」
 カミュが言うとだった。それまで地獄の業火の如く荒れ狂っていたケルベロス達が急に大人しくなった。そしてそのうえでうずくまりだしたのだ。
「馬鹿な、ケルベロス達がだと!?」
 リュートはその大人しくなったケルベロス達を見て驚きの声をあげた。
「静まり返った。どういうことだ」
「オルフェウスの話を思い出すのだ」
 カミュはその驚くリュートに対して告げた。冷静そのもの態度でだ。
「あの伝説の竪琴の使い手オルフェウスのことをだ」
「オルフェウスだと!?まさか」
 リュートは今のカミュの言葉を聞いてはっとなった。
「あの竪琴でケルベロスを静まらせることができたというあの」
「そうだ。オルフェは竪琴座の聖闘士」
 カミュは彼のことを言うのだった。
「その彼の竪琴の音ならばだ。ケルベロス達を静まらせることもだ」
「できるというのか」
「それだけではない」
 だが。それだけではないと付け加えるのだった。
「御前達の術も破ることができる音だ」
「術!?」
「術っていうと」
 青銅の者達は今のカミュの言葉にはっとした顔になった。
「どういうことですか!?」
「術っていいますと」
「ケルベロス達を見るのだ」
 カミュはこうその彼等に述べた。
「ケルベロス達をな」
「この化け物達をって」
「どういうことですか?」
 彼等は訳がわからずカミュの言葉に問い返した。
「見たって何も」
「変わりませんけれど・・・・・・いや」
「なっ!?これは一体」
「どういうことなんだ」
 そのケルベロス達を聞いて唖然とした顔になるのだった。何と静まったケルベロス達はその身体をみるみるうちに小さくさせた。そして。
 犬達に戻ったのだった。あの橇を曳いていた犬達に戻ったのだった。そこにいる彼等はこれまで聖闘士達と共にいた頼りになる友人達だった。
「元の犬達に戻りましたけれど」
「どうなってんだ?こりゃ」
「幻術だ」
 カミュはここで言った。
 
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