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Blue Rose

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第二十七話 新しい学校その四

「すぐに忘れるから」
「だからですか」
「忘れない様にね」
 そうならない様に気をつけてというのだ。
「毎日する様にしてるの」
「そうなんですね」
「お洗濯で水代も気にしないといけないけれど」
「毎日ですか」
「普通に洗濯ものも多いから」
 普通の女性と比べてというのだ。
「お洗濯も毎日してね」
「それで乾かして」
「毎朝そうしてるの、洗濯機は夜のうちに朝早くからお洗濯がはじまる様にしてね」
 タイマーをセットして、というのだ。
「それから出勤してるわ、夜勤の時も合わせてるわ」
「優花はそれを毎日してたんですね」
「そのことを再認識したわ」
 自分がする様になってだ。
「あの娘子供の頃からお掃除とお洗濯はしてたのよ」
「お料理もすぐに、でしたね」
「九歳の頃にはもうね」
 それこそだったのだ、優花の場合は。
「包丁を持っていたから」
「そうですよね、あいつお料理はじめたの早かったですね」
「それで家事は基本殆どあの娘がしてたから」
「その優花がいなくなって」
「いや、大変よ」
「何か旦那さんみたいな言葉ですね」
「自分でもそう思うわ、私はどっちかというとね」
 自分でわかっている言葉であった。
「旦那さんなのよ」
「奥さんじゃなくて」
「優花が奥さんなのよ」
「それはわかります」
「それでなのよ」
 今現在は、というのだ。
「今はね」
「中々大変ですか」
「ええ、家事もしないといけないから」
 仕事と共にというのだ。
「どれだけあの娘が凄かったかわかるわ」
「あいつは学校に行って部活もして普通に家事もしてましたからね」
「それで成績もよかったでしょ」
「全部やってましたね」
「それが出来るって凄いわ」
「そうですよね」
「あの娘がどれだけ凄いかわかったわ」
 弟、今は妹である彼女がというのだ。
「一人暮らしになってね」
「そうなんですね」
「あの娘も寂しいと思うけれど」
 それでもというのだった。
「あの娘は私よりずっと普通にやっていけるわ」
「家事も全部ですね」
「やっていけるわ、普通にね」
「家事は得意中の得意ですからね」
「もう何の問題もなくね」
 それこそというのだ。
「やっていけるわ」
「そうですよね」
「お料理もお掃除もお洗濯もね」
 三つ共というのだ、優子は優花ならそれを全て出来ると確信していた。それは妹をよく知っているからこその確信である。
「出来るわ」
「あいつはそのことは本当に大丈夫ですね」
「ええ、ただ一人暮らしはね」
「他にも気にすることがありますね」
「戸締りに道を歩く時も」
「自分でのガードですね」
「それをしないといけないのよ」
 そうしたことを全てというのだ。 
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