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ハイスクールD×D暁の滅龍魔導師が守りたいもの

作者:零宮龍夜
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1章旧校舎のディアボロス
  3話はぐれ悪魔討伐





「・・・俺は魔導師。所謂魔法使いってやつだ」


俺がそう言った瞬間、周りの空気が少しだけ張り詰めたような感じがした


「魔法使い、ね。まあいいわ、早速本題に入るわ。貴方は私達のことをいつから知ってたの(・・・・・・・・・)かしら?」

「・・・・・・」


やっぱりか

俺はこういう質問がまずされることはわかっていた

俺が入学してから1年と少しの間、ずっと正体がばれなかったからそれで警戒もしているのだろう

魔法使いっていうのは悪魔と契約する者もいれば、その逆もいるからだ。つまり、リアス・グレモリー先輩は俺のことを敵か味方かを見分けようとしている


「まあ、先に一つだけ言っとくよ、俺はこの学園に入学してから貴方達全員が悪魔だということは知っていた」

「「「「ッ!?」」」」


俺の言葉に全員が息を飲んだ



「・・・貴方は何の目的でこの学園に来たの?」


目的、ねぇ

本音を言うならば俺はまだこの人たちを信用していない。まず、祐斗とイッセー以外とは関わりがほぼゼロに等しいということ

そして、彼女たちが悪魔だからだ

今は本当のことは言わないほうがいいな


「貴方と同じですよ、リアス・グレモリー先輩」

「・・・・・・」


俺の言葉にリアス・グレモリー先輩はしばらく押し黙り、顎に手を当て何やら考えているようだ

一体何を考えているのやら


「・・・わかったわ、とりあえず貴方たち2人を歓迎するわ。それとこれからは私のことは部長と呼びなさい」

「ええ、部長」

「は、はい、部長」



それから俺とイッセーはオカルト研究部に入部することになり、イッセーは悪魔生活をスタートした




オカルト研究部に入ってから数日経った

イッセーは悪魔稼業の日々に励んでいた

あいつは毎日、深夜自転車でチラシ配りに行っている

ちなみにあいつが配っているチラシには魔法陣が描かれており、『貴方の願いを叶えます』と紙に書いてある、そしてそこに何か願い事をすると悪魔がその願いを叶えるために紙に描かれた転移用魔法陣を使って召喚者のもとに行き対価をもらうらしい

なんともまぁ、効率的だな

それでイッセーのやつも先日チラシ配りを終えていざ召喚者のところに行こうとしたのだが・・・・・なんというか


なんかあいつの魔力が少なすぎて転移用魔法陣を潜れないらしい

あれ、確か悪魔の子供でもできるって話だぜ?それができないのはかなり少ないってことだ

いやー、あん時はもう腹抱えて大笑いしたな

それでイッセーは泣く泣くチャリで召喚者のもとに向かっていった

哀れなやつだな

悪魔になったとわかった時はハーレム王になるとか豪語してたくせに


ちなみに俺は来てもやることがないので、祐斗や部長とチェスしたり、朱乃先輩とお茶を小猫ちゃんとお菓子を食べたりして過ごしていた


そして今日も部室に行った時


「二度と教会に近づいちゃダメよ」


なぜかイッセーが怒られていた

俺はなんであいつが怒られてるのかわからないため、朱乃先輩にこっそりと声をかける


「朱乃先輩、イッセーのやつ何かしたんですか?」

「ええ、彼はシスターを案内するために教会に近づいたそうですわ、それと、私のことは朱乃で構いませんわ」

「ええ、構いませんよ」


イッセー、それはお前が悪いよ

基本的に悪魔は教会に近づいてはいけない

なんでかというと、そこは天使の領域だからだ。天使の領域に悪魔が踏み入れるなんてそれこそ宣戦布告に見られないから、教会に近づいたら最後光の槍が飛んでくる・・・と、総督に聞いたことがある

でも、この町にある教会は確か・・・随分前に破棄されて今は廃れているはずなんだけどな・・・しかも、そこにシスター?何か怪しいな

まあいいか


「いい?イッセー、私たち悪魔にとって教会とは踏み込めばそれだけで危険な領域なの・・・いつ光の槍が飛んできてもおかしくないのよ?」


心配そうに話す部長は心の底から本当に心配しているようだった

そういや、この前祐斗から教えてもらったな、グレモリーは悪魔の中でも情愛が深い一族だって

つまりは身内を・・・家族を大切にする

いい主じゃないか


「・・・はい、すみませんでした」

「いえ、私も言いすぎたわ。でもこれだけは言わせてちょうだい・・・悪魔祓いは私たち、悪魔を完全に滅することができるの、悪魔の死は無よ。それだけは覚えておいて」

「・・・はい」


イッセーはそう答えたきり黙りこくった。そして朱乃さんがそれを見計らったかのように部長に近づく


「お説教は済みましたか?部長」

「朱乃、どうしたのかしら?」

「ええ・・・大公よりはぐれ悪魔討伐の命令が届きました。」


その瞬間、イッセー以外の眷属の顔が真剣な表情になった





はぐれ悪魔、それは眷属である悪魔が、主を裏切る、または主を殺して主なしという極めて稀な事件のことだ。

そんな存在がこのグレモリー領に侵入し、毎晩人々をおびき寄せ、喰らっているらしい

はぐれという存在はどの勢力からも危険視されており、はぐれ悪魔を見つけ次第殺すようにしている

俺もそれで何体か殺したことがある。

というわけで、今俺たちは深夜の廃墟にいる。どうやらここに潜んでいるらしい

と、廃墟の近くに来た時にかなり濃厚な血の匂いがしてきた


「・・・・・・血の臭い」


小猫ちゃんはそう呟き制服の袖で鼻を覆った。

小猫ちゃんもわかるのか?いくら身体能力が底上げされてる悪魔でもこの臭いはわからないと思うんだが・・・・

俺は、滅龍魔導師なので五感は野生の生物以上に高まっているから、数キロ離れた臭いでも辿れることができるし、耳も目も悪魔よりもいい自信がある

それに臭いだけじゃなく、周囲には敵意と殺意が満ちている

隣にいるイッセーなんか足腰をブルブル震わせてビビってるよ。まあ、こいつは初めてだし仕方ないか


「イッセー、アレン、いい機会だから悪魔としての戦いを経験しなさい」

「ま、マジっすか!?お、俺、戦力にならないと思いますけど!」

「別に俺は構いませんよ」

「そうね、イッセーはまだ無理ね。でも、アレンの実力は見てみたいわ。だけど、その前にあなたたちには悪魔の駒の各駒の特性を説明するわ」


おー、マジか。俺も悪魔の駒については少ししか知らないから、どういうものか詳しいのはわからないから、こうして教えてもらえるのはありがたい


「下僕の特性?説明?」


怪訝とするイッセーに部長は続ける


「主となる悪魔は下僕となる存在に特性を与えるの…………そうね。頃合いだし、悪魔の歴史を含めてその辺を教えてあげるわ」

そう言って部長は悪魔の現況について語り始める

「大昔、我々悪魔と堕天使、そして神率いる天使は三つ巴の大きな戦争をしていたの。大軍勢を率いて、どの勢力も永久とも思える期間、争いあったわ。その結果、どの勢力も酷く疲弊し、勝利する者もいないまま、戦争は数百年前に集結したわ」

部長の言葉に祐斗が続く。

「悪魔側も甚大な被害を受けてしまった。二十、三十もの軍団を率いていた爵位持ちの大悪魔の方々も部下の大半を失い、最早軍団を保てなくなったんだ」

今度は朱乃さんが口を開く。

「純粋な悪魔はその時に多く亡くなったと聞きます。しかし、戦争は終わっても、堕天使、神との睨みあいは現在でも続いています。いくら、堕天使側も神側も多くの同胞を失ったとはいえ、少しでも隙を見せれば危うくなります」

「其処で悪魔は少数精鋭の精度を取ることにしたの。それが『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)

「イーヴィル・ピース?」

「爵位を持った悪魔は人間界のボードゲーム『チェス』の特性を下僕悪魔に取り入れたの。下僕となる悪魔の大半が人間からの転生者だからという皮肉も込めてね。それ以前から悪魔の中でもチェスは流行っていたわけだけれど、それは置いておくとして。主となる悪魔が『王』。私達の間で言うなら私の事ね。そして、其処から『女王』、『騎士』、『戦車』、『僧侶』、『兵士』と五つの特性を作り出したわ。軍団を保てなくなった代わりに少数の下僕に強大な力を分け与えることにしたのよ。この制度が出来たのはここ数百年の事なのだけれど、これが爵位持ちの悪魔に好評なのよね」

「好評?なんで?」

「イッセー。これは単純な話、チェスのように実際のゲームで下僕同士を競わせているということだ。優秀な下僕を数多く持っているほど、主のステータスが上がるわけだ。」


まあ、どの世界でも有能な部下を持っていれば、上司も有能とみなされるからな、だがそれを同意なしでやってしまった場合は、部下に殺される。そして殺した本人ははぐれになるケースもある


「そういうこと。駒が生きて動く大掛かりなチェスを私達は『レーティング・ゲーム』と呼んでいるけど、それが悪魔の中で大流行。今では大会も行われているくらいだ。駒の強さ、ゲームの強さが悪魔の地位、爵位に影響するほどにね。『駒集め』と称して、優秀な人間を自分の手駒にするのも最近はやっていいるわ。優秀な下僕はステータスになるから」


なるほど。いいことを聞いた。だけど、これを見方を変えればただの『選別』だよな。優秀な人間を早い者勝ちで手に入れ、それを他の悪魔に自慢する。それで自分が優秀だと示す、か。

全くもって胸糞悪いな、どこまで欲深い奴らなんだ。でも、部長たちは結構イレギュラーなタイプだよな


「私はまだ未成熟だから公式な大会などには出場出来ない。ゲームをするとしても色々な条件をクリアしないとプレイできないわ。つまり、当分はイッセーやここにいる私の下僕がゲームする事はないわ」


へぇー、成人にならないとできないのか、てか悪魔の成人って何歳なんだ?永遠に近い年月を生きる悪魔にとって成人って何歳なんだろう、よくわからん


「部長、俺の駒は、役割や特性ってなんですか?」

「そうねーーーイッセーは」


そこまで行って、部長は言葉を止めた

俺もすぐ気付いた、そうこの気配は


「やっと来たのか、はぐれ悪魔」

「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」


地の底から聞こえるような低い声音。普通の人なら不気味だと思い頭の中を恐怖が支配するだろうが。俺にとっては瞬殺できる雑魚だから全然びびらない。ていうかあくびが出るくらいに弱そうだ


「はぐれ悪魔バイザー、貴方を消滅しにきたわ」


部長が一切臆せず言い渡すとケタケタけたケタケタケタケタと異様な笑い声が辺りに響く。正常な奴が出す声じゃないな

ぬぅっと暗がりから姿を見せたのは上半身裸の女性。だが、身体は宙に浮いている。

ずん。

重い足音と共に次に姿を現したのは巨大な獣の身体。女性の上半身と化け物の下半身を持った形容しがたい異形の存在だった。両手に槍らしき得物を一本ずつ持ち、下半身には四つの足がついている。全ての足は太く、爪も鋭い。尾は蛇で独立して動いていて、大きさはゆうに五メートルを超えている。

そう、はぐれ悪魔の大部分には何個か共通していることがある

それは、人の形から離れた醜い異形の姿になること、そして異常なほどの狂気


「主人の元を逃げ、己の欲求を満たすためだけに暴れ回るのは万死に値するわ。グレモリー公爵の名において、貴方を消しとばしてあげる!」

「こざかしぃぃぃ!小娘ごときがぁぁぁ!その紅の髪のように、お前の身を鮮血で染めてあげてやるわぁぁ!」


くくっ、これはまた典型的な雑魚発言を


「雑魚ほど洒落のきいた台詞を吐くものね。祐斗!」

「はい!」

近くにいた祐斗がリアス部長の命を受けて飛び出す。

へぇー、速いな。でも、俺はバッチリと視認できてる


「イッセー。さっきの続きをレクチャーするわね。まず祐斗の役割は『騎士』、特性はスピード。『騎士』となった者は速度が増すの。そして祐斗最大の武器は剣」

木場は銀行を放つ長剣を鞘から抜き放つ。次の瞬間、バイザーの悲鳴が木霊した。


「ぎゃぁぁぁぁぁああああ‼︎」


見ればバイサーの足元には槍と共に両腕が胴体とさよならしていた。そして傷口から血が噴き出す


「これが祐斗の力。目では捉えきれない速さと、達人級の剣捌き。二つが合わさる事で、あの子は最速のナイトとなれるの。次は小猫よ。あの子は『戦車』。特性はーーー」

「小虫めぇぇぇぇ‼︎」


足元に歩み寄った小猫をバイサーが巨大な足で踏みつける・・・が、バイサーの足は地面から少しだけ離れており、徐々に押し返されていた。踏み潰しきれていない。

小柄な少女がバケモノの足を少しずつ持ち上げる


「『戦車』の特性はシンプル。バカげた力と屈強な防御力。あの程度の悪魔では小猫を潰す事は出来ないわ、それに」

「・・・アレン先輩が見ている・・・ッ!ふっ飛べ・・・ッ!」


完全に小猫はバイサーの足元を持ち上げてどかすと空高くジャンプし、バイサーを殴り飛ばした。


『戦車』なら、あんな小柄な子でもあんな馬鹿力出せるんだな


「・・・なんだかやる気みたいね」


部長が嘆息しながらそう呟く

・・・・確かに、すごいやる気に満ち溢れているな


「最後にーーー」


そう言い掛けたその時、斬り落とされたバイザーの片腕ともう片腕で持っていた槍が部長に襲いかかる

俺やイッセー、には見えているが、部長からは死角になっていて見えない。イッセーも気付いたらしく俺の方を見る

なら


「イッセー!」

「おう!神器(セイクリッド・ギア)


俺は槍を素手で砕き同時に飛んできた片腕を全て氷魔法で凍らせる。そして続けざまにイッセーが神器である籠手を展開した左腕で叩き割る。


「あ、ありがと・・・イッセー、アレン」

「い、いえ、身体が勝手に動いただけですよ」

「右に同じくです。にしても即席にしてはいい出来だったな、イッセー」

「ああ!にしてもあれが魔法か、すごいな」


俺とイッセーはそう言いながら、拳をコツンとぶつける


「あらあら、部長に手を出そうなんて悪い子ですわ」


朱乃さんはうふふと笑いながら、小猫ちゃんの一撃で倒れているバケモノに近寄ると天に向けて手をかざす。その刹那、天空が光り輝き、バケモノに雷が落ちた。

ほう、なかなかの雷魔法だな


「ガガガガガッガガガガガガッッ!」

「あらあら。まだ元気そうね?まだまだいけそうですわね」

「朱乃は『女王』。私の次に強い者。『兵士』、『騎士』、『僧侶』、『戦車』、全ての力を兼ね備えた無敵の副部長よ」


カッと再び天が光り、雷が丸焦げになったバイザーを襲う。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」


既に断末魔に近い声を上げているバイサー。にもかかわらず、朱乃先輩は三発目の雷を繰り出していて、その表情は冷徹で怖いほどの嘲笑を作り出していると同時に恍惚の表情を浮かべていた。

おい、あの人・・・まさか


「朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの。雷や氷、炎などの自然現象を魔力で起こす力ね。そして何より彼女は究極のSよ」


さらりと告白する部長

いや、そんなサラッと言っていいもんじゃねぇだろ!

あれ、かなりのレベルのSだぞ!


「普段はあんなに優しいけれど、一旦戦闘となれば相手が敗北を認めても自分の興奮が収まるまで決して手を止めないわ」

「・・・・うぅ、朱乃さん、俺、怖いっす」

「大丈夫よ、イッセー。朱乃は味方にはとても優しい人だから。問題ないわ」


イッセーはそう言いながらブルブルと震え、部長がそんなイッセーの頭をなでなでする

そしてその話題に上がった朱乃さんは


「うふふふふふふ。何処まで私の雷に耐えられるのかしらね。ねえ、化け物さん。まだ死んではダメよ?トドメは私の主なのですから。オホホホホッ!」


まだ、楽しんでおられました

うん、まあ確かにあれはビビるわ、てかあそこまでやるとどっちが悪者なのかわからなくなってきたな

それから数分間、朱乃さんの雷攻撃は続いた

朱乃さんが十分楽しん・・・いや雷撃を終えて、一息ついた頃、部長がそれを確認して頷いて、完全に戦意を失ったバケモノの元へ近づく


「最後に言い残す事はあるかしら?」

「殺せ」

「そう。なら消し飛びなさい」


冷徹な一声と共にリアス部長の手のひらから巨大でドス黒い魔力のかたまりが撃ち出され、バイサーの身体を包み込むとバイサーは跡形もなく消え失せていた。文字通り、消し飛ばされたということだ。

あれが滅びの魔力

そして彼女が『紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)』サーゼクス・ルシファーの実の妹であるリアス・グレモリー別名『紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)』と呼ばれている人か


「終わりね、皆、ご苦労様」

部長が俺たちにそういう。そしてみんなが陽気な表情を浮かべる

しかし、そんな中、イッセーが恐る恐る部長に何かを聞いていた

「あ、あの、部長・・・俺の下僕としての役割ってなんですか?」

イッセーの駒の役割かー、あれ、でも確かあの時八個駒入れてたよな?

チェスで8個同じ駒ってたしか

「『兵士』よ。イッセーは『兵士』なの」

その言葉とともにイッセーはがっくりとうなだれる

どうやら、イッセーは一番下っ端らしい

まあ、頑張れよ。グレモリー眷属唯一の兵士


 
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