卒業式
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第三章
「同じだな、けれどな」
「バイト先は違っててな」
「大学に入ってもな」
「大学は一緒でも」
「学部は違う」
「そうだな」
「半分か」
またこの言葉が出た。
「春休みも」
「バイトすることは同じでもな」
「場所が違うからな」
「半分だな」
「そうだな」
こう二人で話す、そして。
琢矢は玲旺にだ、彼から言った。
「三年ずっと一緒だったのにな」
「仲良かったな、俺達」
「ああ、馬が合ってな」
「ずっと一緒だったのにな」
「それが同じ大学でな」
「同じ様にバイトしてもな」
「学部とバイト先が違う」
まさにというのだ。
「半分だな」
「完全にお別れじゃないけれどな」
「半分だ」
「そうだな」
そうした関係になってしまうというのだ。
「おかしいよな」
「ああ、ずっと一緒でもお別れでもなくて」
「同じ神戸にいても」
「別々か」
学部もバイト先もだ。
「これからは」
「そうだな、けれどな」
今度は玲旺が言った、琢矢に顔を向けて。
「同じ神戸に住んでても中学まではな」
「ああ、別々だったな」
八条学園のある神戸で生まれ育ったがだ、二人と。
「ずっと」
「サッカーチームも違っててな」
「それが高校で一緒になった」
「同じクラスで同じサッカー部に入って」
「そこで一緒になった、それでな」
「今度は半分か」
「そうなるんだ、それでこれがな」
出会ってだ、半分であっても別れることがというのだ。
「人生ってやつなんだろうな」
「出会いと別れか」
「俗な言葉だけれど人生は出会いと別れだろ」
「よく言うな」
琢矢も応える。
「実際に」
「そうだろ、だからな」
「俺達もか」
「ああ、まだ半分だけでいいかもな」
「完全に別れるよりか」
「大学の四年間はな」
そこから先はわからないがとだ、玲旺は言った。
「まだ半分だ」
「そうか、じゃあ半分でもな」
「これからもやっていこうな」
「そうするか」
「お互いにな」
「よし、じゃあな」
琢矢は玲旺の言葉を受けてだ、あらためてこう言った。
「大学一緒に行こうな」
「入学の時か」
「それで入学式の場でな」
まさにその場でというのだ。
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