シャルワール
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第二章
「ここはな」
「ええ、そしてね」
「売り上げをな」
「戻しましょう」
「じゃあ新メニュー考えるな」
「そういうことでね」
「そしてな」
彼はさらに言った。
「他にないか」
「他に?」
「ああ、アイディアな」
「そうね」
そう言われるとだ、シャハラザードはこう言った。
「服とか」
「店員さんのか」
「それとか」
「そうか、じゃあな」
「何かいいアイディア浮かんだ?」
「メイドか?」
腕を組んでだ、スライマーンは言った。
「それか」
「ひょっとしてそれって」
「日本で話題になっているらしな」
「メイド喫茶?」
「それだよ」
まさにというのだ。
「メイド喫茶はどうだ?」
「あれね」
「御前も知ってるな」
「ええ、それはね」
シャハラザードにしてもだった、メイド喫茶は知っていた。それで父に対して考える顔でこう言ったのだった。
「聞いてるわ」
「日本じゃ大人気らしいからな」
「だからなのね」
「うちもそれやるか」
「ううん、悪くないけれど」
それでもとだ、シャハラザードは答えた。
「下手したらいやらしいお店とかね」
「思われるか」
「うちはそうしたお店じゃないでしょ」
「代々、オスマン朝の頃からのな」
そうした昔からだというのだ。
「健全な居酒屋だろ」
「そうよね」
「二百年の間それは変わってないぞ」
開店して以来というのだ。
「そして俺もだ」
「それは変えないわね」
「絶対にな」
それこそというのだ。
「変えないからな」
「そうよね」
「健全じゃなくなりそうならな」
それならとだ、スライマーンも言う。
「止めるか」
「メイド喫茶も」
「そうするな」
こう決めた。
「やっぱりな」
「じゃあ何がいいかしら」
「服は大事だな」
「今は何でもない服だけれどね」
「それをどうするかだな」
「それも工夫する?」
「一体何がいいんだ?」
考える顔でだ、スライマーンはまた言った。
「それなら」
「ううん、ちょっとお母さんも交えて考えてみる?」
「そうだな」
こう考えてだ、そしてだった。
母のマルヤムも交えてだ、三人で話した。すると。
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