聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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248部分:第三十五話 持ち越される決着その二
第三十五話 持ち越される決着その二
「私がお仕えしているのはアテナただ御一人」
「それを知らないというのか?この私が」
「そうです。アテナの御言葉ならいざ知らず」
彼の言葉は続く。
「何故貴女の言葉なぞ」
「案ずるな。これは命令ではない」
エリスの方も彼に対してそれはできないのはよくわかっていた。
「そなたに命令することは私ではできない」
「その通りです。闘われるというのならいざ知らず」
さりげなく挑発も入れるアフロディーテだった。
「そのようなことは」
「しかしだ。ミシェイルは下がらせた」
だがエリスはこのことは確かに言ってきた。
「こちらはな。そなたには相手はもういない」
「確かに」
一方が下がればそうなるのは当然であった。最早自明の理というのすらおこがましい。
「それはその通りです」
「ではそなたも下がるしかないな」
ここまで話して見越したようにまた彼に述べてきたのだった。
「そうだな」
「はい、それでは私は今は」
「下がれ」
また彼に対して言ってきたのだった。
「命令でなくともな。よいな」
「わかりました。それではです」
「ミシェイル。下がれ」
「はい」
ミシェイルはまたエリスに対して言葉を返した。その際一礼することも忘れてはいない。
「それでは私はこれで」
「うむ。よいな」
「ピスケスよ」
彼はエリスに応えた後でアフロディーテに対しても言ってきた。流石に今はあの全てを覆い尽くすような禍々しい小宇宙はない。しかしそれでも殺気ははっきりとあった。だが今はそれをあえて放つことはなく。己の中に入れてそのうえで彼に対して話すのだった。
「今はこれで終わりだ」
「仕方ありませんね」
アフロディーテも相手がこう言うのならば受けるしかなかった。追撃をしようにもそれが果たせるような相手ではないこともわかったうえでだ。
「貴方とはまた」
「そうだな。しかしだ」
だがここで彼はまた言うのだった。
「覚えておくことだ」
「何をですか?」
「エリス様も認めて下さった。貴様を倒すのは私だ」
彼が言うのはやはりこのことであった。
「私だ。このことは覚えておくことだな」
「それは私もです」
アフロディーテもこう言い返してきた。
「私もまた。貴方を倒します」
「そうか。貴様もか」
「私の薔薇を破ったのは貴方がはじめてです」
闘いは終わったが隙は見せない。そのうえでの言葉だった。
「このことは決して忘れません」
「私の毒と氷もだ」
しかしミシェイルも言うことは同じであった。
「破ったのは貴様がはじめてだ」
「それではそれをはっきりさせる為に」
「貴様を倒す」
お互いにこの意志は変わらないのだった。決して」
「わかったな。それではだ」
「はい、また御会いしましょう」
言葉は丁寧だがそれでもそこにあるものは激しく剣呑である。
「その時は」
「最早言わぬ」
言う言葉はもう一つしかない、そういうことだった。
「それではな」
「ではピスケス、それに」
「私か」
「そうだ」
エリスは今度はサガに対して言ってきたのだった。
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