聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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238部分:第三十三話 白薔薇その四
第三十三話 白薔薇その四
「ではジュリア様、我等も」
「参りましょう」
「はい」
ジュリアは己の左右で動きはじめた二人の男に応えて述べた。
「では我々もまた」
「五人で攻撃すればピスケスとて」
「倒すことができます」
つまり数であった。圧倒的な強さを持っていることが間違いない黄金聖闘士に対してその数で挑むというのである。彼等も考えてのことだ。
「ではいざ!」
「行くぞピスケス!」
ナロンとラフィンがまず同時に出た。ナロンはその手に棍棒を出しそれを振り下ろし地が裂けんばかりの地震を引き起こしてきた。
「デモンズアースクイエイク!」
彼が地震を起こすとだった。ラフィンは天高く飛んでいて両手に雷を宿らせ。それを放ってきた。
「デッドエンドサンダーーーーー!!」
二人の地震と雷がそのままアフロディーテを襲う。最後に仕掛けてきたのはやはりジュリアだった。彼女は悠然と構えそのうえで。
「さあ、受けるのですピスケスよ」
その場に立ったまま両手を動かしていた。
「このヴィネは破壊を司る魔神」
己の魔神のことを彼女もまた言う。
「その衝撃を受けて今!」
身体全身の禍々しい赤い小宇宙を今全てアフロディーテに放った。
「ブレイクトルネード!」
それは無数の赤い竜巻となってアフロディーテに迫る。五人の凄まじい攻撃が今彼を撃つ。これで流石に立っていられないだろうと誰もが思った。
しかしであった。その五つの攻撃による衝撃が終わったその時。アフロディーテはそこに立っていた。聖衣もマントさえも傷つくことはなく。そこに立っているのだった。
「なっ、何ィ!?」
「無傷だというのか!!」
「言った筈です」
アフロディーテはその傷一つない姿で五人に告げてきたのだった。
「私が拳を出すのは最後だと」
「最後だというのか」
「それでは何故」
「我等の攻撃を防いだ?」
「これによってです」
見ればであった。そのアフロディーテの右手にあったのは。薔薇なのはこれまでと変わらないがそれは紅薔薇でも黒薔薇でもなかった。それは。
「白薔薇だと!?」
「まさか白薔薇も持っていたのか」
「如何にも。そして」
言葉を続けてきた。
「この薔薇には毒はありません」
「毒のない薔薇だと」
「そうした薔薇も持っていたのか」
「この薔薇を使うことがあるとは思いませんでした」
その白薔薇を構えながら悠然と言葉を出し続けていく。
「ロイヤルデモンローズにピラニアンローズ」
その紅薔薇と黒薔薇である。
「その二つだけでなく」
「白薔薇、どういったふうに使うのだ?」
「毒ではないにしろ」
「薔薇にあるものは毒だけではなく」
アフロディーテは五人に応えてまた言った。
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