Three Roses
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第十五話 衰える身体その九
「和を保っていこう」
「我が国もこれまで王家の分裂があり、です」
「多くの血が流れてもきました」
「もう二度とああしたことがない様にですね」
「和を保つべきですね」
「ロートリンゲン家を見るのだ」
王は太子のこの家を話に出した。
「あの家をな」
「あの家は常にまとまっていますね」
「諸侯とは衝突することも多いですが」
「帝室の中は常に平穏です」
「乱れることがありません」
「そのこともあってだ」
帝室の中で衝突、対立がないからだというのだ。
「あの家は栄えてきたのだ」
「そうしたことで力を消耗しなかった」
「それで、ですね」
「力を備えてきて」
「今に至るのですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「あの家を見れば余計に思う」
「王家の中は和を保つべきですね」
「亀裂があればそれを消していく」
「そうあるべきだからこそ」
「私も動く、それでだが」
さらに言う王だった。
「王国は今はどうしている」
「あの国ですか」
「あの国の現状ですか」
「あの国は隙を見せればだ」
それこそというのだ。
「付け込んで来る」
「ですね、常にそうでした」
「我が国にどれだけ陰謀を仕掛けてきたか」
「それで国を乱そうともしてきました」
「これまで幾度も」
「王家の中に亀裂があればだ」
王国がそれを見付ければというのだ。
「確実にそこに付け込む」
「そうしてくるのは絶対ですね」
「あの国はそうした国です」
「常にそうでしたし」
「この度もですね」
「あの国には気付かれるな、大使もいるがだ」
王国からの大使だ、一見すると良好な関係を保っているからこそいると思われるが実はそれは全く違うことだ。
「大使には特に注意しろ」
「密偵の頭目ですから」
大臣の一人がここで大使という役職についてこう述べた。
「だからこそ」
「その通りだ」
「あの国の大使も然り」
「どの国の大使も同じだがな」
「特にですね」
「あの国の大使はそうだ」
この国、王宮にまで入り込んでいる密偵達のそれだというのだ。
「だからだ」
「彼の耳、目にはですね」
「入れないことだ、隠していこう」
「さすれば」
「あの大使も馬鹿ではない」
それなりのものがあるからこそ大使に選ばれている、もっと言えば敵国の大使であるから余計に能力は高い者が選ばれている。
「だからな」
「気付かれない様に注意し」
「早いうちに終わらせたい」
「では」
「勅命も内密にだが出す」
この件に関してというのだ。
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