聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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233部分:第三十二話 災難の軍団その五
第三十二話 災難の軍団その五
「気付かれたのですね」
「そしてインプ達の仇を取らせてもらう」
「それもだ」
彼等はまたアフロディーテに対して言ってきた。
「貴様のその薔薇の毒の為に犠牲になったな」
「あの者達の仇をだ」
「取らせてもらう」
言いながら憎しみの小宇宙を増してきていた。その憎しみは目にもはっきりと出ていた。
「では行くぞ」
「貴様の首、アーレス様に献上させてもらう」
「そうですか」
アフロディーテは彼等の言葉に応えながら冷静にその右手の紅薔薇を前に動かしてきた。するとその紅薔薇の花びらが散り辺りに散った。氷の上は忽ちのうちに紅薔薇で覆われてしまった。
しかしであった。五人の狂闘士達は己の足元さえ覆ってしまったその紅薔薇を見ても余裕の表情であった。その口元には笑みさえ浮かんでいる。
「私の薔薇のことは御存知の筈ですが」
「そう、確かに知っている」
「それはな」
彼等はそれはよく知っているといった態度で言葉を返すのだった。
「知っているのだ、確かにな」
「よくな。よく知っている」
「では何故」
アフロディーテは問うがその顔は全く変わってはいない。
「そこまで落ち着かれているのですか。私の薔薇を知っていて」
「知っているからこそだ」
「だからだ」
彼等の反論はこうであった。
「だから我々は平気でいられるのだ」
「それを言っておこう」
「そうですか。つまりは」
「そうだ、私だ」
ここで名乗りをあげてきたのは。
「私の手によるものだ」
「そうですか。やはり貴方が」
「私はアスタロトの戦衣を着る男」
それはミシェイルだった。今は後方にいて闘いを見守っている彼であった。
「アスタロトが操るのは冷気だけではない」
「毒もですね」
「ほう、知っているか」
アフロディーテの今の言葉に笑った声を出してきたのだった。
「それは何よりだ」
「アスタロトの吐く息は毒の息」
アフロディーテもまた言うのだった。
「それはもう知っています」
「そうか。ならば説明は不要だな」
「如何にも。それで私の毒は効かないというのですね」
「少なくともその威力はかなり減殺される」
それを読んでの毒であったのだ。
「貴様を倒すそれまでの間はな」
「私は毒がなければ闘えないと」
「その光の拳も確かに脅威ではあるがな」
黄金聖闘士を黄金聖闘士たらしめているものの一つだ。それこそがである。
「しかしだ。貴様の最大の武器である毒は封じた」
彼はまたこのことを言った。
「これで大きく違うな」
「さて、ピスケスよ」
「それでだ」
ここでその五人がまた言うのであった。
「その光速の拳で我等を倒せるか」
「証明してみせよ」
「生憎ですがそのつもりはありません」
しかしアフロディーテはその彼等にこう返すのだった。
「それはありません」
「何っ!?どういうつもりだ?」
「光速の拳を使わないだと」
「そうです。私がそれを使うのは最後です」
彼は言うのだった。
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