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SAO~円卓の騎士達~

作者:エニグマ
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第七十五話 二十七層ボス戦

~ユウキ side~

リズに強化して貰った武器と防具を身に付け、回復アイテムがちゃんと最大まで入ってるか確認。

ユウキ「よしっ、皆、準備は良い?」
シウネー「大丈夫です。」
ジュン「問題なし!」
ノリ「オールOKだよ。」
テッチ「何時でも行けます。」
タルケン「だ、大丈夫、だと思います。」
ラン「OKよ。 ユウキ。」
ユウキ「それじゃ、ボス攻略、張り切っていこう!」
「「「「「「おおおおぉぉぉぉ!!!」」」」」」

僕達はしばらくの間お世話になった『円卓の騎士団』のギルドホームから、ちょうどイグシティの真上に来ていた浮遊城アインクラッドを目指して飛び立った。

それを予定が空いていた『円卓の騎士団』のメンバーが見送ってくれたけど、その中にアーサーの姿は無かった。 用事が有るらしいけど、ちょっと残念。

そして、現在の最前線二十七層に到着。
すぐに迷宮区に入り、地図を頼りにボス部屋を目指す。

そして一時間ほどでボス部屋前に到着。

けど、その時何か違和感を感じた。

ユウキ「姉ちゃん。」
ラン「ええ。」

隠蔽呪文を看破する為の『サーチャー』召喚魔法、そしてそれは見事に正解し、違和感を覚えた場所の空間が破れて3人のプレイヤーが現れた。
インプ2人にシルフ1人、けれど隠れ身(ハイド)をしていたのだ、明らかなPKの手口である。

しかも彼らのエンブレムが表すのは僕達がボスに挑戦して失敗した後、いつも攻略を成功させているギルドだ。

僕達は相手の攻撃に備えて武器を構える。

「ま、待ってくれ! 戦う気は無いよ!」
ラン「それなら武器を仕舞いなさい!」

慌ててそう言った男に対し、姉ちゃんが声を張りつめながら言い返す。

ビクリとした彼らは顔を見合わせてから装備である短剣を仕舞った。

ラン「何が目的でハイドしていたの?」
「待ち合わせだよ。 仲間が来るまでの間、Mobにタゲられないようにな。」

もっともらしい理由だけど、やっぱり怪しい。

ラン「分かったわ。 私達はボスに挑戦しに来たから、先にやらせてもらうわね。」
「勿論、構わないさ。ま、頑張ってくれ」

でも怪しいって言うだけで何かした訳じゃ無いから放っておく。

シウネーと姉ちゃんが支援魔法をかけ直し、ボス部屋の扉を開ける。

参加猶予時間を炎が宿り、そして消えていく。

武器を構え、ボスの出現を待つ。 参加猶予時間の炎が完全に消え、扉が閉まる。

そしてついに、円形の部屋の中央に巨大なポリゴン塊がポップした。

それは人型へと合体していき、ボスモンスターへと実体化する。

4mは超えている身の丈の黒い巨人、逞しい胴体から上には2つの頭と4本の腕を生やし、凶悪そうな破城鎚並みのハンマーを2つ持つ。




結果から言うと負けた。

そして敗北してしまった僕達は第二十七層『ロンバール』の街の中央広場に面しているドーム状の建物へと転送された。

姉ちゃんはすぐに皆に円陣を作らせ、人がいないのを確認してから話を始めた。

さっきの3人は大型ギルドの斥候部隊(スカウト)であること、ボス戦を闇魔法の《盗み見》で覗き見されていたこと、それによって彼らに情報を与えてしまったこと、妨害魔法(デバフ)のステータスアイコンをリバフの時に見逃してしまったこと、そして25層と26層のボス討伐も同じ手法だということを話したくれた。

それに驚いたけど、その話で今までのタイミングが良すぎる攻略の謎が解けた。

ラン「急げばまだ間に合うはずよ。 すぐに回復アイテムを揃えて出発しましょう。」

迷宮区に着いた僕達は最初のルートと同じ道を進み、現れるMobのリーダー個体だけを斬り捨て、他のMobにはノリの幻惑魔法で足止めし、なんとか最上階のボス部屋近くまで辿り着けた。

なんとかなる。 そう思って、ボス部屋の前に到着して、愕然とした。

ノリ「なんだい、これ!?」

そこには20人以上のプレイヤーが集まっており、しかもボス部屋の目の前で陣取っている。

僕達はその様子に驚いていたけれど、この人数を見て思った、まだ間に合う。

最大人数の49名の半分なのだ、あと1回くらいは挑戦できるはず。

ラン「行きましょう、みんな。」
ユウキ「うん。」

僕と姉ちゃんは先頭を歩きながら集団の中を歩く。

彼らに焦りの表情はない、まるでこのあとの展開を楽しんでいるかの様子だ。

僕は代表してリーダーらしき装備をしているノームの男に話し掛けた。

ユウキ「僕達、ボスに挑戦したいんです。 通してもらえますか?」
「悪いな。ここは閉鎖中だ」
ラン「っ、どういう意味ですか?」

思わぬ回答、いや、ある意味予想していた回答に、思わず声が張ってしまう。

「これからウチのギルドが挑戦するからな、その準備中だ。しばらく待っていてくれ」
ラン「どのくらいですか?」
「ざっと1時間というところだ」

ギリッと手を握り締める。スカウト達に偵察と情報収集に当たらせるだけでなく、攻略が成功しそうなチームが現れれば、集団による大人数で閉鎖行動を起こすつもりだったってこと。

まさか、中立地帯で露骨な占領行動が行われているなんて。

ラン「それなら私達が先に挑戦します。 私達はいますぐ挑めるので。」
「おいおい、こっちは先に来て並んでるんだ。 順番は守ってもらわないとな。」

悪びれる様子もなく、ノームの男はそう言った。 周囲も似たような様子だ。
はぁ、どうして楽しくゲームが出来ないのかなぁ?

ユウキ「つまり君達は、僕達がこれ以上お願いしても、そこをどいてはくれないんだよね?」
「まぁ、そういうことだな。」
ユウキ「そっか、なら仕方ないよね、戦おうよ。」
「な、なんだとっ!?」
ユウキ「ぶつからなきゃ伝わらないこともある。 僕達の真剣さを、君達にも分かってもらわないといけない。」
ラン「ふふっ、ユウキの言う通りね。 今言った通り、あなた達がここを譲らないなら私達は実力でここを通ります!」
ユウキ「僕達は真剣だよ、覚悟もある。 君の、君達のこの場所を守り続けるという真剣さと覚悟も、見せてほしい。 さぁ、武器を取ってよ。」

僕の言葉にノームの男は戦斧(バトルアックス)を構える。 そして次の瞬間、僕は一気に距離を詰めて男に斬り掛かった。

駆け抜けた僕が振るう黒曜石の剣はノームの男の戦斧(バトルアックス)へと吸い込まれ、弾く。

弾かれた隙を突いて連撃を繰り出す僕に対し、なんとか体勢を立て直そうとする男。

有名ギルドでパーティーリーダーを務めるだけはあって、重量武器であっても速い攻撃を繰り出すがアーサーほどではない。

そして、体勢を崩した男に僕はソードスキル《バーチカル・スクエア》を放ち、ダメージを与えると共に吹き飛ばした。

「ぐぁ、きったねぇ、不意打ちしやがって!」

倒れてから立ち上がった男を見て、彼の仲間達も武器を構えて陣形を取る。

ラン「あなた達は汚いと言うけど、それを言うならマナー違反をしてまでボス攻略をしようとするあなた達は何なんですか? それにさっき私達はあなた達に宣戦布告しました。 その時点で戦いは始まってます。 これは決闘(デュエル)じゃないんですよ。」

しかし、そこでノームの男が笑みを浮かべた。

僕達の後ろから無数の靴音が聞こえてきた。

まさかと思い視線を後ろに向けると、30人近い妖精の集団が駆けてくる。
やられた!既に連絡を受けているのか抜剣しているし、

この大人数ではいくら僕達でもやられる。

僕と姉ちゃんで手を繋ぎながら武器を構える。
皆も装備を掲げて円陣の陣形で迎撃態勢を取り、相手も武器を掲げる。

「はっ、往生際が悪「あ、あれは!?」、なん、だ、よ!?」

相手集団のケットシーである鉤爪(クロー)使いの男が叫んだ時、ノリが回廊の一点を指差しながら言った。

その先を見た男は絶句し、そしてつられて見た僕も絶句すると同時に、歓喜に心を躍らせた。

約20mは先の壁を駆け抜けながらこちらに向かってくる三つの影、その速度は流星の如く軽量級妖精共通スキル《壁走り(ウォールラン)》を駆使している。

その影は、増援部隊をあっという間に追い抜いて飛び上がり、僕達の前に着地。

キリト「悪いな。」
サクマ「こっから先は、」
サクラ「通行止めだよ。」

ようやく言葉を放ったのは、大型ギルド同盟のリーダーと思われるサラマンダーの男。

「ブラッキー先生とドラゴンスレイヤーの旦那、それに騎士姫様よぉ、流石のアンタ達でもこの人数を相手に出来るわけないだろう?」
アーサー「三人じゃキツくても四人ならどうかな?」

その声と共に天井から降りてきたのはアーサーだ。

アーサー「まったく、天井にずっと張り付いてるのって中々キツいんだからな。」
ユウキ「アーサー、用事が有るって、」
アーサー「これが用事。 さて、ユウキ、後ろは俺とサクラが、前はキリトとサクマが道を開ける。 さっさとボス部屋行け。」
「はっ、そうかよ。 そこまで言うんなら、メイジ隊、焼いてやりな!」

アーサーの言葉を聞いたサラマンダーの男の指示を受け、メイジ隊が高速詠唱を始めた。

アーサーに向けて7発の単焦点追尾(シングルホーミング)型の高レベル攻撃魔法が襲い掛かるが、アーサーはその攻撃魔法に向けて七連撃ソードスキル《デッドリー・シンズ》を使用し、全ての攻撃魔法を斬り裂いてみせた。

ユウキ「やっぱり。」

アーサーが行ったのはほとんどがライトエフェクト集合体でしかない魔法を、当たり判定のあるスペルの中心一点に属性ダメージを持つソードスキルぶつけることで無力化する技術、

キリトが編み出したシステム外スキルの《魔法破壊(スペルブラスト)》だ。

なおこの技術、『円卓の騎士団』はほぼ全員使用出来る。
加えると僕達も。
まぁ、4、5発が限界だけど。

「なんだよ、それは」
「魔法を、斬ったのか?」
「ぐ、偶然に決まってるわ!」

などの声が上がり、動揺がさらに広がる。

アーサー「サクマ、キリト、前は任せる。 殲滅しろ。 サクラ、隣を頼む。」
サクマ、キリト「「了解!!」」
サクラ「分かった。」

サクマとキリトが二本の刀、剣を装備し構える。

さらにアーサーは三本の剣を装備した。

そして、三人揃って『ゾーン』と『覇気』を解放した。

まずキリトが『ヴォーパルストライク』で道を開き、そこにサクマが入って『ダブルサーキュラー』で道を広げる。

そして二人とも『スキルコネクト』を使い、キリトは『ホリゾンタルスクエア』でメイジ隊をサクマは『嵐華』で前衛を攻撃する。

キリト「一気に行くぞ。」
サクマ「OK。」

二人とも二十を超える連撃のソードスキルを放つ。

後で聞いた話だとサクマは二十四連撃、キリトは三十五連撃だそうだ。

この攻撃で部隊の約三分の一を撃破。

そして、

キリト「もう一丁!」

さらに十五を超えるソードスキルを放ち、完全に道が開けた。

キリト「今だ! 行け!」
ユウキ「うん! ありがとう!」
サクマ「礼ならボスを倒してから言え!」

後ろのアーサーの方を一瞬だけ見る。
凄いことにアーサーとサクラはまだダメージを受けるどころか、誰一人として出し抜けさせていない。

アーサーもこちらを見て、一瞬だけ目が合った。
その目は「絶対に勝ってこい」と言っていた。

ボス部屋の中に入るとすぐに石のボタンを押して、扉を閉めた。

扉が閉められたので、僕は即座に皆に回復するように促し、みんなでポーションを飲んだりした。

序盤の攻撃パターンは単純なので、落ち着いて行動するよう姉ちゃんに言う。

ユウキ「ねぇ、姉ちゃん。 みんな、僕達を行かせる為に、」
ラン「うん、そうだね。 けど、あの四人、ううん、ユイちゃんも居るから五人ね、彼らなら大丈夫よ。」
ユウキ「で、でも、助けられてばっかりで、」
ラン「そう。 だから、私達がボスを倒して、皆さんにも勝利をプレゼントしてあげましょう。」
ユウキ「っ、うん! よぉ~し、もう一勝負だね!」

会話を終えるとボスの出現が始まった。 皆もすぐに臨戦態勢を取る。

そして、ボスとの勝負が始まる!

~side out~ 
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