聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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215部分:第二十九話 アフロディーテの闘志その二
第二十九話 アフロディーテの闘志その二
「それは。一体」
「冥皇ハーデスとの戦いにおいても我等は確かにタナトスとヒュプノスに対して苦戦した」
「はい」
多くの犠牲を払ったうえでようやく封印した。これは言われている通りである。
「しかし封印することができた」
「それでもですか」
「そしてだ」
彼はさらに言うのだった。
「御前達はこの聖戦では死なない」
「この聖戦では?」
「このことは。多くの者には言えぬ」
そうした縛りが加えられる言葉であった。
「決してな。御前とサガ」
「はい」
「そしてシャカにだけ言える。いや」
ふとここで言葉を変えてきた。
「シャカのことだ。もう知っているのかもな」
「シャカはですか」
「そうだ。運命はこの戦いで御前達を死なせはしない」
シオンはまたアイオロスに対して告げてきた。
「決してな」
「決して、ですか」
「死ぬのは先のことになる」
彼はまた告げてきた。
「御前達は一つになり死ぬ」
「一つになり、ですか」
「その通りだ。若き者達の光となりな」
「それは光栄の極み」
アイオロスは今のシオンの言葉を最後まで聞いてそのうえで微笑んでみせた。
「それにより世界が救われるならこれ以上の喜びはありません」
「そうか。そう言ってくれるか」
「私は聖闘士です」
言葉の根拠はこれであった。
「それ以外の何の理由がありましょうか」
「それにより死を受け入れるのだな」
「如何にも」
彼の言葉には迷いはなかった。
「このアイオロス、喜んでそれを受けましょう」
「このシオン、歴代の教皇の中でも」
シオンはアイオロスの今の言葉を聞いて静かに言ってきた。
「最も幸福な者だろう」
「最もですか」
「そうだ。かつて多くの素晴らしい仲間達を持ち」
先のハーデスとの聖戦のことである。
「そして今御前達と出会えたのだからな」
「有り難き御言葉」
「再びな」
「!?」
アイオロスは今のシオンの言葉を聞いてまたしても顔をあげた。
「再びとは」
「むっ、これはだ」
シオンは今の自分の失言に気付いて慌てて言葉を打ち消してきた。
「何でもない。気にするな」
「左様ですか」
「それよりも今の話だが」
そしてまた話を戻してきたのだった。
「よいな」
「他言無用とのことですね」
「白銀や青銅の者達には残念だが言ってもわからぬことだ」
この辺りは仕方がないとするシオンだった。
「しかしだ。黄金ともなるとだ」
「はい」
同じ黄金だからこそそれがわかることだった。
「そうはいきません」
「その通りだ。すぐに察しがつくことだ」
「だからこそですね」
「そうだ。言うことはない」
シオンの言葉は念押しに近いものになっていた。
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