SAO~円卓の騎士達~
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第六十一話 過去との決別
~シンタロー side~
良かったぜ。
こいつが再現できるソードスキルが《スタースプラッシュ》だけで。
ステルベン「バカな。 何故、当たらない。」
シンタロー「当たり前だろ。 そう何回も同じ技を使ってたら目が慣れるっての。」
実際はザザのそう大きくないモーションを全て「目に焼き付けた」だけの事。
僅かでも技を出すときの癖があれば俺は全て記憶し、対策できる。
それが俺の強さ。
シンタロー「それに、何時までもSAOにしがみついて前に進もうとしなかったお前に、あの時から前に進み続けてた俺が負けるわけ無い。」
ステルベン「くっ、ああぁぁぁ!!」
シンタロー「・・・哀れだな。」
ステルベンの攻撃を避けた俺はメニューを操作し、ある武器を実体化させる。
実弾銃の中で唯一、現実世界で作られていない銃。
スナイパーライフルよりも二回りほど大きいその銃の名前は『レールガン』。
その銃から撃ち出された弾は光速に達する。
その代わり、撃ってから十五分、砲身の放熱が必要とされる。
シンタロー「散れ。」
レールガンから撃ち出された弾はステルベンを貫き、そのHPを全て奪った。
ステルベン「・・・まだ、終わら、ない。 終わらせ、ない。 あの人が、お前たちを、」
この言葉を最後に、死銃のアバターから、【DEAD】のタグが浮き上がった。
死銃は、完全に活動を停止させた。
シンタロー「いや、終わりだ、ザザ。 共犯者もすぐに割り出される。 《ラフィン・コフィン》の殺人は、これで完全に終わったんだ。」
・・・格好付けたは良いけど『レールガン』の反動で肋骨が何本か折れた判定が出ていて痛くは無いけどすっごい違和感
~side out~
~キリト side~
グレイ「ヒャッヒャァ! どうした黒騎士! そんなもんか!?」
どうやってこのバリアーを攻略するかの目処はたった。
だけど、そのバリアーの発生源が何処か分からないとどうしようもない。
何処だ、何処にある。
有った。
腰の位置にベルトのように巻いている。
俺は即座に腰に付けた『FNファイブセブン』に手を伸ばし、クラディールの腰を狙う。
銃弾を全て撃ちだし、その内の数発が当たった。
グレイ「なっ!?」
キリト「アアアァァァァァァ!!」
片手剣ソードスキル《ホリゾンタル・スクエア》を使い、クラディールのHPを全て奪った。
グレイ「クソ、次が有ったら、その首、切り飛ばしてやる。」
キリト「ハァ、ハァ、もう、次は無い。 これで本当の終わりだ。」
~side out~
~サクマ side~
砂の地面に膝をつく。
息はすでに荒い。
poh「HEYHEY、どうした? そんなもんか? 龍騎士。 覇気って奴を見せてくれよ。」
確かに、覇気が使えれば少しはコイツと戦えるかもしれない。
だが、今の俺には、
poh「まーったく、期待外れだぜ。 そこでオネンネしてな。」
pohに蹴飛ばされ、砂丘から転がり落ちる。
・・・・・そういえば、アーサーに前、覇気について聞いたことあったけ。
確かアイツは、
アーサー『覇気に目覚めたキッカケ? そーだな。 ・・・強い覚悟、かな。 それも自分の為の覚悟じゃなくて、他の誰かの為の覚悟。 勝ちたいと言うよりも、負けたくない、負けられないという想い。 そういうものが覇気を作り出してるんじゃないかと俺は思う。』
俺は、俺の覚悟は、まだそれに及ばないのか?
俺の想いは、まだ弱いのか?
・・・いや、そんなはずはない!
俺は、シノンを朝田 詞乃を守ってみせる!
poh「! こいつは、」
サクマ「まだだ。 まだ、俺はやれる。 まだ、強くなれる。」
poh「よーやく、本領発揮ってか。 良いぜ、こ、!(早い!)」
あいつの包丁が俺の光剣でパリィ出来ないなら、あいつも俺の攻撃をパリィ出来ないはず。
さぁ、どっちのHPが先に無くなるか、勝負だ!
俺は二刃刀の最上位ソードスキル《輪廻》十八連撃を放つ。
サクマ「ッアアアアアァァァァ!!!!」
そして、俺のHPが僅か1ドット残り、pohのHPを削りきった。
poh「クックック、次に殺り合うときが楽しみになったぜ。 あばよ。」
そう言いpohのアバターは【DEAD】のタグではなく、【DISCONNECTION】のタグを残し、消え去った。
サクマ(負けたときに、すぐに逃げられるよう細工してたのか。)
~side out~
~シノン side~
三人の無事と勝利を確認した私は廃墟から下りてそこで待っていた。
最初に来たのはシンタローだ。
脇腹を押さえているから多分、骨折のバッドステータスが出ているのだろう。
シンタロー「ナイスショット。 多分、今まで俺が見た中で最高の狙撃だ。」
シノン「死銃ごと撃ち抜けなかったけどね。 それよりアンタ、レールガンなんて隠し持ってたの?」
シンタロー「対闇風用にな。」
シノン「あぁ。 そう言えば前回大会、闇風に狙撃全部回避されて負けたんだっけ。」
シンタロー「そう。 だから仮に気付かれても回避できないコレを持ってきたんだ。 ま、お前に闇風倒されて出番無いかと思ってたけどな。」
次はキリト。
キリト「お疲れ。」
シノン「お疲れ。」
シンタロー「乙。」
キリト「後はサクマだけか。」
シンタロー「迎えに行ったらどうだ? シノン。 優勝はお前らに譲る。」
キリト「ちょ、ちょっと待て。 それって、」
シンタロー「爆死。 ちなみに逃げたら撃つ。 いくらお前でも光速の弾丸は弾けないだろ?」(めっちゃ笑顔)
キリト「笑顔がめちゃくちゃ怖いっす。 シンタローさん。」
シノン「じゃ、お言葉に甘えさせて貰うわ。」
そして、私がサクマの所に向かって歩き出し、暫くしてから走る。
後ろで爆発音が聞こえたけど、気にしない。
そして、サクマの姿が見えてきた。
シノン「サクマ!」
サクマ「シノン。 二人は?」
シノン「あっちの方で二人で爆死してたわ。」
サクマ「って言うことは、 残りは俺達二人だけか。」
シノン「そうよ、でも大会も終わらせないとね。 ギャラリーが怒ってるだろうし。」
サクマ「ああ、そうだな。 そういえば、中継されてたんだっけ。」
夜空のあちこちでは、中継カメラたちが、心なしか苛立ったようにRECマークを点滅させていた。
サクマが、静かに口を開いた。
サクマ「危険は去った。 死銃が倒れた今、シノンを狙っていた共犯者も姿を消しているはず。 死銃達は、自分たちが決めた制約を破らないはず。 だが、ログアウト直後は気を付けろよ。」
シノン「でも、どうすればいいの? 警察に通報しても、何て説明したらいいの?」
VRMMOの中と外で同時殺人を企んでいる人たちが居ます。 なんて言っても、信じてもらえない。
サクマ「そっちの方は俺達の依頼人に言えば何とかなる。 ま、俺がログインしてるのは千代田区の御茶ノ水だ。 俺が駆け付けた方が早い。 ただ、一つ約束してくれ。 俺達以外の誰が来ても絶対に中に入れるな。 例え知り合いだったとしてもな。」
シノン「分かったわ。」
サクマ「さて、ログアウトするには、BoBを決着させないとな。 どうやって決着をつける?」
私はサクマを一瞥してから、
サクマ「あんた、全身ボロボロじゃないの。 そんな人に勝っても全然自慢にならないわ。 次のBoB本大会まで、勝負は預けておいてあげる。」
サクマ「なるほど、負けず嫌いか。」
シノン「なっ!?」
私は、小さく声を上げた。
気を取り直して、
シノン「そ、それじゃあ、そろそろBoBの大会を終わらせましょう。」
サクマ「でもどうやって? バトルロイヤルだから、俺たちのHPが全損しないと、勝者は決まらないだろう。」
シノン「お土産グレネードを使うのよ。」
サクマ「オミヤゲグレネード? なんだ、それ」
シノン「負けそうな人が、巻き添え狙いで死に際にグレネードを転がすこと。 ん、ほら、これあげる。」
私はポーチに手をやり、取り出したグレネードを、サクマが反射的に差し出した右手に乗せた。 次いで、突き出た雷管のタイマーノブを、きりきりと五秒間ほど捻る。
続いてサクマに抱き付く。
サクマ「ま、控えめに言っても最高だな。」
タイマーがゼロになり、私達のアバターを強烈な光が包み込んだ。
試合時間、二時間四分三十七秒。
第三回バレッド・オブ・バレッツ本大会バトルロイヤル、終了。
リザルト【Sinon】、【Sakuma】
同時優勝。
~side out~
~拓真 side~
東京都千代田区御茶ノ水の病院のベットの上で、俺は眼を覚ました
重たい身体を起こすと、万が一に備えてモニタリングしていた安岐さんの姿があった。
安岐「おかえりなさい、拓真君。 まずは、お水を飲んで水分補給をしなさい。」
差し出された紙コップを受け取り、喉を潤す。
俺は喉が潤った所で、現状の報告をしようとした。
菊岡に連絡し、警察の手配などを頼もうとした。
それを話そうと口を開けたが、安岐さんが手一つで防いだ。
安岐「君が言おうとしている事は、先に帰って来た二人から聞いたわ。 今、菊岡さんと連絡を取ってるわ。」
今まで気付かなかったが、和人が少し離れた所で、誰かと話していた。
和人がこちらを振り向いた。
和人「そ、そう言えば、シノンの住所ってどこだ?」
拓真「文京区湯島四丁目のボロアパートだ。 んで、本名は朝田 詞乃だ。」
ベッドから起き上がり服を着ながら答える。
拓真「俺は今から詞乃の所に向かう。 菊岡との連絡は任せたぞ。」
俺は病室から急いで出て、バイクが止めてある駐輪場に向かった。
バイクに乗り、詞乃の家までの最短ルートを一瞬で考える。
そして数分後、詞乃のアパートに着き、部屋に向かうと部屋の前のドアに誰かいる。
拓真「・・・誰だ?」
???「お前、おまえだなぁぁああ!! 僕の朝田さんに近づくなああぁぁああッ!!」
右手に何か持っているのを確認し、取り合えず避ける。
拓真「注射器。 なるほど、お前がもう一人の死銃か。」
???「ガアァァァァァァ!!」
拓真「ぶっ潰す!」
間合いに入ってきた相手の胸に向かって掌底、怯んだところに続けて鳩尾に膝蹴り、腹を抑えて頭が下がったところで顎にアッパーを喰らわせた。
相手は後方に倒れ落ち、意識を失った。
詞乃「拓真?」
拓真「あぁ。 俺だ。 コイツに見覚えは?」
詞乃「見覚えも何も友達、いえ、友達だった人よ。」
拓真「そうか。 良かった無事で。」
詞乃「拓真の忠告のお陰よ。 それが無かったら中に入れてたわ。」
少しの沈黙の後、俺達は互いの体を抱き締め合い、どちらからともなく唇を重ねた。
~side out~
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