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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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208部分:第二十八話 船の上にてその三


第二十八話 船の上にてその三

「あの者達ではな」
「では何故」
「どうしてあの者達を」
「戦術だ」
 彼の今出した言葉はこれであった。
「戦術を知る為だ」
「戦術をですか」
「そうだ。あの男の闘い方をな」
 言いながらその男の顔を脳裏に思い浮かべるのだった。
「より知る為だ」
「というとピスケスのですか」
「あの男の」
「それも一度ではない」
 一度ではないとも周りに告げた。
「何度か送る。ここに連れて来たインプ全員を注ぎ込むつもりだ」
「そこまでされるのですか」
「インプ達では勝てる筈がない」
 それはわかっていた。所詮雑兵達では聖域最強の存在である黄金聖闘士達に対して勝てる筈もない。当然と言えば当然のことである。
「だが。技はわかる」
「ピスケスの技がですか」
「おそらくあの紅薔薇だけではない」
 言いながら目を鋭く光らせるミシェイルだった。
「先の聖戦でもピスケスの黄金聖闘士は複数の薔薇を使っていた」
「複数のですか」
「それだけの薔薇を持っているというのですね」
「そうだ。だからこそそれを知る為にだ」
 インプ達を送り出すというのだった。
「わかったな」
「それはわかりましたが」
「しかしそれは」
 だが彼等はまだ言うのだった。
「インプ達は捨石ですか?」
「それですと」
「それをそう言うのならそうだろうな」
 彼等の問いに対して平然と答えたのだった。
「確かにな」
「何と・・・・・・」
 中には絶句する者すらいた。
「捨石にされるとは」
「インプ達を」
「全ては勝つ為だ」
 しかし彼は傲然さえ聞こえる言葉の響きで述べた。
「全てはな。あの男に勝つ為だ」
「ピスケスに対して」
「何度も言う。黄金聖闘士の強さは尋常なものではない」
 これを熟知しての言葉である。
「敵を知り己を知らば」
「百戦危うからず」
 一人が続いた。
「それですね」
「わかっているな。全てはあの男を知る為だ」
 彼は言う
「その為の戦略だ」
「戦略ですか」
「戦略は知ることだ」
 確かにその通りの言葉であった。
「その為にだ。彼等には犠牲になってもらう」
「左様ですか」
「御前達も。そして」
 ここで彼は驚くべきことを言った。
「私もまた」
「ミシェイル様も!?」
「まさか」
「何を驚く必要がある?」
 今度の彼の言葉は平然としていた。
「何をだ。我等はアーレス様にお仕えしているな」
「は、はい」
「それはその通りですが」
 驚きながらも答える彼等だった。
「ですがミシェイル様御自身までとは」
「それは幾ら何でも」
「だから何故驚くというのだ」
 また彼等に対して言葉を返すのだった。
 
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