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平成ライダーの世界

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第三十章

 ここで仮面ライダーとスサノオの戦いは本郷猛と一文字隼人の二人からはじまった世界から無数の世界での戦いとなりました、門矢はその様々な世界の中を動き回る戦士となっています。スサノオと戦いそれぞれの世界とそこで戦っている仮面ライダー達を前に向かわせる存在として。彼は世界を粉微塵に壊す者ではなくそれぞれの世界にいる者達のしがらみを断ち切る者でした、それを壊すと言えば壊すとなりますがよき意味での破壊でしょう、束縛の鎖を断ち切るのですから。全てを終わらせる破壊ではなく創造に向かう破壊、ヒンズー教の概念にある創造、調和、破壊のサイクルの中の破壊。創造につながる破壊を行う者だったのです。苦しむ者を救う為に。決して素直などころか自分の本音を徹底的に隠す人間ですがそこにある意志や目的は邪なものではなく人間の心があるものでした。
 そしてそのディケイドこと門矢士と共に戦う仲間達もまたそれぞれのしがらみを持っていてそのうえで彼にしがらみを断ち切ってもらったりしながら彼と行動を共にする様になっています。ここではそれぞれの世界に出て来たゲストキャラ的なライダーではなく彼と行動を共にしてきた三人と対立者について考察していきたいと思います。
 まずは小野寺ユウスケです、平成ライダーの最初の作品である仮面ライダークウガの主人公である五代雄介をモチーフにしたキャラクターですが。
 五代とは違い前向きでありながら周りが見えていないところもありがむしゃらに戦っていました、生真面目でありながら余裕のなさが見られる戦いぶりと性格でした。
 最初門矢と会った時小野寺は衝突しました、といいますか門矢に対して反発していました。門矢は適当にあしらう感じでしたが。
 彼は彼本来の世界で共に戦っていた女性刑事、明らかに一条刑事をモチーフにした彼女とやはり五代と一条の様に共闘していましたが残念ながら戦いの中で刑事は死んでしまいます、このことが小野寺にとって心の傷になってしまいます。
 ですがその心の傷にです、門矢は実はさりげなくフォローを入れてそこから彼と小野寺の共闘がはじまりました。彼は平成ライダーのシリーズのはじまりである仮面ライダークウガの世界のライダーだったので門矢と常に共闘するライダーとしては必然の展開だったのでしょう。
 小野寺は門矢と共に共闘して様々な世界を巡りますがクールで遠い場所から状況を見てそのうえで推理探偵の様に物事の謎を解き問題を解決していく門矢と違い小野寺はまさに戦いそして謎の中に入ってそうしてそれぞれの世界のライダーや彼等の周りの人物達と共に悩み考え動くタイプの人間でした。視野は狭く悪く言うとおっちょこちょいですがそれ故に醸し出される人柄のよさが愛すべきキャラでした。
 彼は門矢と衝突を繰り返しつつも戦いそして門矢が解いた謎を見て戦っていきます、推理小説では探偵役の横にいるメイン脇役といったところでしょうか。門矢を明智小五郎とすれば小野寺は中村警部になるのではとも思いました。小野寺は一見すると何でもない位置にいるライダーですが実は彼なくして門矢の旅も成り立たない部分がありました。共に戦う仲間は誰であろうとも必要ですから。
 テレビ版の最終回では操られもして映画版で再び仲間になってもいました、彼はこれからも門矢と共に戦うライダーの一人であることは間違いありません。
 次にこの作品のヒロインと言っていい光夏海ですがこのキャラもまた謎に満ちています、光の祖父も映画で何故か死神博士そしてその正体であるイカデビルになっていますがこれは何だったのか観ていてわかりませんでした。お遊びと言ってしまえばそれまでですが作中のそれで済ませられる話なのか、それは甚だ疑問ですし光はこのことを知りません。しかし光は彼女の世界で何なのだろうかという自己破滅的なふりをしているのか本気なのかわからない遊戯もしていました、このことはかつての彼女を表していましたが破滅的を遊びか自嘲で目指していた彼女は過去の彼女でディケイドの作中でも心の底で渦巻いていたのでしょう、そのうえで門矢と旅を共にしていたのでしょうか。 
 門矢と共にいて彼を通じて様々な世界の人間達を観てそして人間とはどういったものかを知ってそのうえで彼女の世界に戻って過去の彼女と決別をして新たな一歩を踏み出したのでしょうか。どうもディケイド全般に言えることですがはっきりそうだと断言出来かねます。ディケイドは物語のない作品だと言う人もいますが物語は作中で創られていきそこからあらゆる世界をつなげる作品であり光もその中にいるのでは、それで門矢と共に旅をしていたのでしょうか。
 多くの世界を巡り過去の自分と決別をしキバーラという内面はどうも疑わしい部分もありますがパートナーも得てライダーにもなりました、女性ライダーは今も尚稀少ですが彼女もまたライダーです。ライダーとして人間として門矢達と戦い物語を創り出していっているのではないでしょうか、門矢の仲間の一人ひいては人間の一人として。人間は時として破滅的にもなりますがそれでいて前を向いて歩いていく存在でもあります。
 それが為に前に歩いていき様々な世界を巡っていっているのではないでしょうか、最初から彼女の祖父先に書かせてもらいましたがライダー達の協力者としてどうも矛盾がある彼の下にいてそのうえで。どうも彼女の謎も全て解き明かされているとは言えないですが。
 四人目は海東大樹ですがディケイドのライバル的存在である仮面ライダーディエンドに変身します、ディケイドのカラーが赤であるのに対して彼のカラーリングは青であり明らかに対比している存在です。kの彼が出てからディケイドは当然ながら彼もまた絡んでくるようになりました。
 彼は言うならばシーフ、盗賊というポジションでした。トレジャーハンターでしたがそれぞれの世界の宝を手に入れようとしている、その為に動き門矢と因縁があり鳴滝とも関係がある様に描かれていました。
 基本的に門矢のライバルであり敵と言えば敵でしたが徹底的にそれこそ北岡と浅倉の様に完全な対立軸として殺し合うのではなく時として利害関係がありながらも協力する時もあるという関係でした。
 ですが彼にもまた世界があり彼の世界は劇場版仮面ライダー剣のもう一つの世界、新世代ライダー達の世界でした。そこで兄の海東純一との因縁がありました。
 実は彼が最初に体制側にいて反体制側にいた兄と彼の仲間達を取り締まる側になっていました。ですが体制に疑問を持ち離れトレジャーハンターになりました。実は彼の兄はフォーティーンを狙う為に動いていたのですが兄を捕らえ洗脳させる体制に疑問を持ったという設定は物語としてはよくある展開でした。 
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