聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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204部分:第二十七話 紅の毒その八
第二十七話 紅の毒その八
「早く出て来るのです」
「早く!?」
「じゃあすぐ側に」
「わからないのも当然です」
アフロディーテはこれまた驚きの顔で周囲を見回す聖闘士達を見ながら話した。
「何故なら」
「何故なら?」
「これには八大公の一人が関わっているからです」
「えっ、八大公!?」
「まさか今ここで!?」
「出て来てはいません」
アフロディーテはそれは否定した。
「しかしです」
「しかし?」
「それでもですか」
「そうです。その力で彼等の小宇宙を消していたのです」
こう述べるのだった。
「だからわからなかったのです」
「配下の小宇宙を消してみせる」
「何という恐ろしい力だ」
「それがアスタロトなのか」
青銅の者達はアフロディーテの言葉を聞いてまた驚くばかりだった。
「ですがそれでアフロディーテ様」
「敵は一体何処にですか?」
「そうです。まだ何処にも」
「さあ。出て来るのです」
アフロディーテは彼等の問いに応えるようにして述べた。
「早く」
「ふむ。やはりな」
「我等が何処にいるのかわかっているのか」
「無論」
一言で彼等に答えるのだった。
「その小宇宙で」
「そうか。ならば話は早い」
「それではだ」
ここで彼等が一斉に姿を現わした。それが驚くべき場所からであった。
「何っ、水面から!?」
「河の中に隠れていたというのか」
「その通りだ」
インプ達であった。彼等は水中から姿を現わしそのうえで驚く青銅の者達に対して悠然と笑ってみせたのであった。
「このようにしてな」
「我等はただ陸にいるわけではない」
こうも言うのだった。
「水の中にいることもできるのだ」
「迂闊だったな」
「では。覚悟はいいな」
ここまで言ったうえでそれぞれ何時の間にか出してきていた赤い小舟にそれぞれ乗り込んでいた。そうしてそこから今まさに攻め込まんとしていた。
「ここでだ。死んでもらう」
「貴様等全員にだ」
「さて。それはどうでしょうか」
しかしここでアフロディーテがまた彼等に対して言うのだった。
「死ぬのは我々だというのはいささか性急な考えと思いますが」
「ふん、何を言うか」
「この数の我等を前にしてまだそんなことを言えるのか」
「勿論です。何故なら」
「何故なら?」
「勝負は既に決まっているからです」
言いながら口に咥え続けていたその紅薔薇を右手に持つのだった。そのえうでさらに言葉を続ける。
「貴方達の運命もまた」
「戯言か?」
「死ぬ前の負け惜しみというのか」
「黄金聖闘士の言葉に負け惜しみはありません」
しかしアフロディーテはこう言うのであった。
「それだけは言っておきます」
「では何故今貴様は何もしない?」
「そうだ、その通りだ」
インプ達はアフロディーテの言葉を聞いてさらに激昂した感じであった。
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