ソードアート・オンライン~隻腕の大剣使い~
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番外編ExtraEditionパート1
前書き
ファントム・バレット編の途中ですが、前から書きたいと思っていたExtraEditionのストーリーを書きたいと思います。続きを楽しみにしていた方々、誠に申し訳ありませんでした。
竜side
2025年7月25日
これはは夏休みが始まってまだそこまで日が経ってない時の話だ。オレはSAO生還者支援学校の制服を着て、赤いマニュアルバイクの後ろに未来を乗せて学校ヘ向かう。安全運転を心掛け、信号や交差点に注意しながら走っているとーーーオレと同じ車種の青いマニュアルバイクに乗っている男女二人と合流する。そのバイクのライダーとツーリングするかのように走って目的地の学校へ到着した。バイクを停めてヘルメットを外し、途中で合流した二人に顔を向ける。
「よっ!キリト!スグ!」
「二人ともおはよー!」
「おう、ライリュウ。ミラ」
「おはよう未来ちゃん。竜兄ちゃん」
オレの双子の弟のキリトこと桐ヶ谷和人と、従妹のリーファこと桐ヶ谷直葉。彼女とは先日から仲良くなって、お互い『竜兄ちゃん』や『スグ』と呼び合っている。
軽く挨拶を済ませて四人で歩き、玄関で談笑しながらオレたちを待っていた三人の女友達と合流する。
「直葉ちゃん!キリトくん!」
「ライリュウさん!おはようございます!」
「ミラ!こっちこっち!」
栗色の長髪の後ろに横向きに三つ編みを結んだ一つ上の弟の彼女、アスナこと結城明日奈さん。赤いリボンで髪をツインテールにしたオレの女友達の中で最年少の少女、シリカこと綾野桂子。茶髪のショートヘアーの前髪を二本のヘアピンで分けたそばかすの姐御、リズベットこと篠崎里香。
「ごめんなさいみなさん。わざわざ集まってもらっちゃって・・・」
「そんな、水臭いですよ!」
「そうだよ直葉ちゃん。でも意外だね。運動神経良さそうなのに・・・」
「うん。現実でも仮想でも水の中だけは苦手なの・・・」
そう。オレたちがここに来た理由はスグの泳ぎの練習を手伝う事だ。スグは中学の剣道全国大会ベスト8の実力者だが、筋金入りのカナヅチという意外な弱点があった。今日は夕方からALOでシルフ領の外れの海の海中クエストをオレたちや翼たち《リトルギガント》、そしてクラインとエギルで攻略に行こうという話になっていた。ALOは一応ソードスキル以外は基本システムアシストはなしで、プレイヤーの運動能力に依存するゲームだ。だから海中クエストをやるにあたって、スグを泳げるように特訓するために今日ここに来た。来たんだがーーー
「しっかし、こんなプール日和に臨時カウンセリングなんて、キリトもついてないわね〜」
「全くだよ。一学期はそこそこ真面目にやってたんだけどな・・・」
実は和人が臨時カウンセリングに呼ばれていて、特訓に参加するのがかなり遅れるらしい。オレは女の子五人に男一人という相当ヤバイ状況に置かれることになってしまった。こんな時にーーー
『悪いな竜。今日は店を手伝わなきゃならないんだ』
『スマン竜!今日は朝から家の整体院の手伝いがあるんだ!マジでごめん!!』
弾も翼もタイミング悪すぎんだろ。午後はログイン出来るみたいだけど、午後じゃ遅いんだよ午後じゃ。
「あたしたちの水着姿が見れなくて残念ねぇ~・・・あっ、だからって美人カウンセラーさんに鼻の下伸ばすんじゃないわよ?」
「別にそのくらい良いじゃないか!!」
「バッ!おま・・・」
そんなこと言ったらーーー
「キリトく〜ん?」
「な、何でもありません・・・」
アスナさん、笑顔が黒いです。恐いです。全く、だから言ったのにーーーあれ?言ってないか?まあいいや。
「じゃあ俺はこの辺で。スグ。せっかくみんなが教えてくれるんだから、ちゃんと練習するんだぞ?」
「はーい」
「ライリュウ。スグを頼んだぞ。それから・・・」
「言われなくても分かってるよ。さっさと行ってこい」
アスナに手を出すなーーーだろ?出さねぇし出せねぇよ。後で痛い目見るのオレなんだから。とにかくお前は行ってこいって意味を込めてオレは和人の背中を押してカウンセリング室に向かわせた。
「アルヴヘイムの海に比べれば学校のプールはすごく浅いから、遊びのつもりで気楽に練習すればいいよ」
「そうだぜ?危なくなったらみんなで助けてやっから、安心して大丈夫だぜ」
「うん・・・ありがとう//////」
アスナさんの励ましの言葉に続いてオレもスグの頭を撫でてそう言う。その時スグの顔が赤く染まっていって、少し不機嫌そうなシリカ以外の三人のニヤニヤした顔が気になって仕方がなかったーーー
******
ーーー遅い。女子たちが遅い。女の着替えは時間がかかるとはいうけど、いくら何でも遅すぎだろ。オレなんてもう海パン履いてプールサイドに寝転がってんぞ。
「ライリュウくん。お待たせ〜!」
「ごめん竜兄。ちょっと遅くなったゃった」
「うっひゃー!貸し切りプール最高!!」
「何だか新鮮ですね~!」
やっと来たか。全く、待ってる男の身にもなってみろーーーって言ってやろうと思ったけど、やっぱいいかな。この華やかな水着美女たちを見てたら全部どうでもよくなってきた。
里香さんが着たのは濃いピンク色のスタイリッシュなワンピースタイプの水着。少し男勝りな性格の里香さんによく似合ってると思う。
桂子が着たのは肩紐やウエスト部分がピンク色の黄色を基調の下がフリルのスカートになってるビキニタイプの水着。中学生だけど元々少し幼さが見える桂子には、こういう可愛らしい水着が似合うと思う。
明日奈さんが着たのは白と赤の横縞模様の完全なビキニタイプの水着。それに加えて長髪を白いヘアゴムで束ねて左肩から下げてるからか、どこかエレガントな雰囲気にも見えてくる。
未来が着たのは白い水玉模様の青いチューブトップのビキニタイプの水着。下がスカートになっていて、上には黒いラッシュガードを着ているのを見ると、どこかALOの弾を意識しているような色合いだ。
「へ~、よく似合ってんじゃん。未来は惚気みたいな色だけど」
「でしょ?ミラ、今度ミストに見せてやんなさいよ♪」
「からかわないでよ二人とも・・・//////」
どうやら里香さんもオレと同じ事を思ってたらしく、完全に未来を冷やかしている。別にオレは冷やかしてるつもりはないんだけどなーーーあれ?
「アスナさん。スグは?」
さっきからスグの姿が見えない。その疑問をアスナさんにぶつけたら、更衣室のドアの所を指差していた。その方向を見るとーーー壁に隠れて恥ずかしそうにしているスグがいた。そのスグを里香さんが引っ張り出そうとして、スグの身体が見えるようにーーーなった瞬間オレの鼻から大量の鼻血が吹き出した。
「ライリュウやらしー」
「竜兄、何チョコをバクバク食べた後みたいな反応してんの?」
「しょうがねぇだろ!!!」
スグよーーー何故にスクール水着を着ておる?前から思ってはいたが、スグはリーファに劣らないレベルの巨乳だ。そんな爆弾がスク水なんて物を着てみろ。そういう耐性がなかったら鼻から大量出血で死ぬぞ。
「学校のプールで泳ぐとしか言ってなかったから、学校指定の水着だと思ってたらしくて・・・」
「竜兄ちゃん、あんまり見ないで・・・//////」
「ブフっ!!!」
やめろスグ。手で胸を隠そうとして抑えるな。質量が目立って逆効果だーーーヤバイ、血が足りねぇ。誰か輸血してくれーーー
「まあ竜兄はほっといて泳ご?」
「あたしいっちばーん!!」
「あ!ズルイですよリズさん!!」
「こら二人とも!準備運動しなきゃダメでしょ!」
ーーーそうか。水着イベントには男に救いの手が差し伸べられる事なんてないのか。女子たちみんなプールに飛び込んだしーーーん?
「スグ、何してんだ?」
「何って、浮き輪を・・・」
「泳ぎの練習になんねぇぞソレ」
泳ぎの練習に着たのに浮き輪を用意する奴があるか。何か部位を着けるとか、ビート板を使うとかあるだろうがーーーとりあえず浮き輪は没収だ。最初から膨らませてあって、既に装着後だったから多少は苦労したけど何とか没収は出来た。
「ライリュウ。あんたドサクサに紛れて直葉の胸触ろうとしてなかった?」
「するか」
オレがいつからそんなエロ助になった。もうクラインがそれなんだからこれ以上いらねぇだろうが。
「そういえばミラも結構あるわよ・・・ねっ!!!」
「ひゃっ!!リズさんどこ触って・・・だ、ダメ!あたしの胸は弾くんの・・・!!//////」
ここで何故か突然リズさんが未来の胸を揉みしだくという事件が発生した。かんなも含めて百合キャラが二人もいるぞーーーってちょっと待て未来お前何つった。お前らいつの間にそこまで進展した?
「アスナさん助けて!!//////」
「リズ・・・?」
「・・・すみません」
「ライリュウさん、やけに冷静でしたね?」
「かんながよく未来の乳揉むから見慣れてんだ。それより未来お前さっき何つった?」
「さらりと爆弾発言しておいてそれよりって・・・」
それよりだよ。未来と弾はカップルだから別に問題ねぇよ?でもさっきの発言は聞き捨てならん。おい『弾くんの・・・』何だよおい。おい未来コラ。
******
スグの水泳練習は顔を水に浸けるところから始まり、もう既にアスナさんに引っ張られながらでもバタ足が出来るようになるまで成長していた。焦らずゆっくり練習を続けて休憩タイム。プールサイドに右からアスナさん、スグ、シリカ、リズさん、未来、オレの順番に座る。
「夏だね~」
「ホントですね」
「今回のクエストで行くエリアも常夏だったよね?」
「シルフ領のずーっと南だからかなり暑いらしいよ」
「今までにない仕掛けもあるんだよな・・・夕方まで待てねぇよ!」
「あんたら《黒竜インプリガン》が張り切りすぎて突っ走らないように気を付けてよね?」
「《黒竜インプリガン》?」
今回攻略する海中クエストについて談笑してたらリズさんが突然聞き覚えのない名前を口に出してきた。《黒竜インプリガン》ーーー全く知らない名前だ。
「竜兄とキリトくんの事だよ。インプ族のプレイヤー、《隻腕の竜神》のライリュウ。スプリガン族のプレイヤー、《黒の速攻剣士》キリト」
「二人とも集団戦でも負けない凄腕の剣士で、二人揃ったら無敵って呼ばれてるんだよ?」
「黒竜はお二人の異名、《黒の速攻剣士》と《隻腕の竜神》から取られたんです」
「インプリガンは二人の種族を合わせた名前よ」
「知らなかった・・・」
無敵のコンビ《黒竜インプリガン》かーーー何か返って安っぽいネーミングだな。どうやら兄弟とは言われてないみたいだけど。まあオレもキリトと組んだら誰にも負けない気はするな。相当なボスモンスターでもない限りの話だけどーーー
「前から聞こうと思ってたんですけど、みなさんはどうやってお兄ちゃんと知り合ったんですか?」
ここでスグからの質問が飛んできた。そういえばスグは自分がSAOにいなかった事を気にしてたはずだ。やっぱり気になってたのかなーーー
「あたしとシリカちゃんは竜兄経由で知り合ったんだよね」
「はい。あたしはライリュウさんにレベル上げを手伝ってもらってた時に偶然会ったんです」
そういえばそうだったな。未来は攻略組に入って、ボス攻略会議とかでオレが紹介したんだよな。シリカとはフローリアでレベル上げを手伝うようになって、そこでモンスター狩って金稼いでたキリトに会ったんだよな。
「そういえばシリカちゃんって中層プレイヤーだったんだよね?どうやってライリュウくんに会ったの?」
ここでアスナさんの発言でキリトと知り合ったという話からオレと知り合った時の話に切り替わった。シリカがオレの顔を覗き込んできたから、話してもいいという意味を込めてオレも頷く。
「あたしはモンスターに襲われているところをライリュウさんに助けてもらったんです」
「そういえばそんなこと言ってたね。それからピナの蘇生を手伝ったんだよね」
「はい。本音を言うと、無償で手伝ってくれるって言ってたライリュウさんを疑ってたんです」
そういえば最初はそこまで信用してなかったな。甘い話には裏があるーーーそんな言葉を忠実に体現してた世界だったんだ。でも信じてくれたーーー
「理由を聞いたら、《リトルギガント》のみなさんの事を教えてくれたんです。ピナを救える可能性を無駄にはしたくない、悲しい顔は見たくないって」
「そっか・・・ライリュウくんには《リトルギガント》の件があったんだよね」
「あたしも当時はすごいショックだったわよ」
「竜兄、今度それ言ってあげて?きっと喜ぶから」
「別に言わなくてもいいだろ」
あいつらにもすごく辛い戦いをさせちまったんだ。オレがあいつらの事で心が折れそうだったって言ったら、絶対気にするからーーー
「それに・・・」
「え?まだあるの?」
「ナニナニ?」
続きだと?他に何かあったっけーーーあったわ。完全にあったわ。言うなよ?シリカ言うなよ?絶対言うなよ?
「あたしが小さい時のミラさんに似てるからって言ってました♪」
『アハハハハハハハハハ!!!』
「ねぇ何で言っちゃうのォォォォォォォォォ!!??」
「竜兄・・・」
「やめて!?そんな目で見ないで!?」
なに人の恥ずかしいエピソードをバラしてんだよ!!アスナさんもリズさんもスグも大笑いしてるよ!!未来は超ジト目で睨んでるよ!!この状況を脱するにはーーー証拠を突きつけるしかない!!!
「お前たち!!これが目に入らぬか!!!」
『?』
オレがこいつらに見せたのはオレのスマホのアルバムに入ってる昔の写真だ。その中からオレがSAOに入る前の、中学に入る前の、小学校を卒業する前の写真を見せる。
「これオレがチビの頃に武道の・・・まあ空手の大会で優勝した時の写真なんだけどな、オレに背中からのしかかってるのが未来なんだよ。ほら!ツインテールがシリカと同じじゃん!!」
『わ~!ライリュウ(くん)(さん)(竜兄ちゃん)可愛い〜!!!』
「何でだよ!!!」
「全く意味なかったね」
そんなーーーこのままではオレがシスコンキャラになってしまう。誰かーーー誰か助けてくださいィィィィィィィィィィィィ!!!
「でも未来と桂子って実際はあんまり似てないよね〜・・・」
「どこを比べてるんですか!!//////」
「竜兄・・・あたしの胸と比べてたの?」
「んな訳あるか!!」
「変態」
「もうやめてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
この世にオレの味方はいなかったのかーーーこの世に!!神なんていなかったのかァァァァァァァァァァァァ!!!!!
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