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Blue Rose

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第二十四話 世界の外その八

 懸命に訓練を続けた、無意識のうちに出ることを恐れつつそれが出ない様にだ。だが優花は次第だった。
 誰がどう見ても女の子になった、そして。
 その彼女を見てだ、注意したその副所長も言った。
「これならね」
「大丈夫ですか」
「ええ、元々内から女の子になっていてね」
「外からも訓練していっていて」
「女の子になってきているわ」
 完全にというのだ。
「無意識のうちにね」
「そうですか」
「多分ね」
 こうも言った副所長だった。
「もう女の子にね」
「思われますか」
「実際にね」
 そうだというのだ。
「女の子よ、中も外も」
「どちらも」
「無意識からそうなってきているのが」
 わかるとだ、副所長は優花に話した。
「わかるわ」
「そうですか」
「ええ、けれどそれでもね」
「注意は必要ですね」
「どうしてもね」
「元男の子だったことは出ますか」
「相当な人じゃないとわからないと思うけれど」
 だがそれでもというのだ。
「わかる人はね」
「わかるからですね」
「気をつけてね」
「何かスパイみたいですね」
「そうね、スパイが見付かるにはね」
「些細なことからって聞いていますけれど」
「仕草の細かいところや服装のちょっとした違いとか」
 奇しくも岡島と同じことをだ、副所長は話した。
「そうしたものから出るからね」
「注意しないといけないんですね」
「そうなの」
 まさにというのだ。
「例えばお顔の洗い方からも」
「あとボタンの付け方とかですね」
「本当にそうしたものでわかるというわ」
「その辺り凄いですね」
「こうしたお話があるの」
 ここで副所長が言うことはというと。
「烏何故鳴くのとか桃太郎の歌とかね」
「お腰に付けた黍団子ですか」
「そうした歌は日本人なら誰でも知ってるわね」
「はい、僕も知ってます」
「けれど外国の人は知らなかったりするわね」
「そこからわかったりするんですね」
「食べ方でもね、ジャガイモだとイギリス人は切って食べるわ」
 そのジャガイモの食べ方の違いも話す。
「ドイツ人は潰して食べるのよ」
「そこからもわかったりしますか」
「そう言われているわ」
「そんなことからもですね」
「わかるというわ」
 スパイかどうかだ。
「だからね」
「そうしたことはですね」
「男の子には男の子が歌う歌があるわね」
「そう言われますと」
 優花もわかった、その指摘は。
「ありますね」
「童謡とか変な替え歌とかね」
「あっ、そういうのですね」
「そこでね」
「出るんですね」
「手先の微妙な動きとかから」
 そうしたことからというのだ。 
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