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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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187部分:第二十五話 一人の帰還その六


第二十五話 一人の帰還その六

「この味は。気に入った」
「そうか、ならいいがな」
「しかし。あれですね」
 ムウはここで言った。
「スペインもまた御馳走とワインには困っていないのですね」
「スペインは何でもある」
 シュラはムウに応えるようにしてまた言うのだった。
「こうして美酒も馳走も。素晴らしい気候も美しい国土もだ。全てあるのだ」
「俺の国みたいだな」
 デスマスクはここでさりげなく自慢した。
「ってことはだ」
「そうか。わかったか」
「政治は、って来るんだよな」
 デスマスクはシニカルに笑ってシュラに問うてきた。
「そうだろ?違うか?」
「そうだ。その通りだ」
 そしてシュラもそれを認めるのだった。
「それは仕方ないことだ。スペインでは国民を満足させられる政府だけがない」
「それだけはですか」
 アフロディーテはシュラの言葉をそのまま受け止めていた。
「どうにもならないのですか」
「残念ではあるがな」
「人だけはどうにもならない」
 カミュも言った。
「そういうものだ。世の中は」
「しかしその人を護るのが我々だ」
 アルデバランがここで言い切ってきた。
「その全てをな」
「人が為したことは善にもなれば悪にもなる」 
 ムウもまた言うのだった。
「善を為さんとして悪になる時もあります」
「しかし」
 不意にここでシャカが言った。
「それを善にするのが我々である」
「シャカ・・・・・・」
 ムウはシャカの今の言葉にすぐに顔を向けた。見れば他の黄金聖闘士達もだ。彼等もここでシャカに対して一斉に顔を向けたのだ。
「悪を善に変える。我々の手で」
「つまり絶対な力でな」
「そういうことだな」
「確かに」
 ここでそれは力だと考えたのはデスマスクとシュラ、アフロディーテだった。
「結局あれだ、力だ」
「その人を護るものはな」
「そうでなくては護れませんから」
「そうかも知れない」
 カミュもどちらかというと三人の考えに傾こうとしていた。
「人を護る為には。力は必要だ」
「さて、それはどうでしょうか」
「いささか違うと思うが」
「そうだな。俺は力ではないと思うが」
 それに反論するのはムウ。アルデバラン、アイオリアであった。
「それを為すのは心だと思いますが」
「そうだ。力ではなく正しい心だ」
「それがなくて人の正義を護れるとは思えないが」
「心か。確かにな」
 ミロはこちら側に傾こうとしていた。
「それも一理あるな。力ではなく心がなくては」
 黄金聖闘士達は二つに分かれようとしていた。お互いに何かしらの壁が出て来ようとしていた。しかしここでシャカが言うのだった。
「同じことです」
「!?同じこと?」
「シャカ、それは一体」
「同じというのです。つまり人としての正義」 
 シャカは双方に対してこの言葉を出してきた。
 
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