平成ライダーの世界
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第二章
五代はそれでも戦わなければなりませんでした。そしてそのうえでン=ダグバ=ゼバとの戦いに向かおうとしていました。五代が悩むそれとは対象的にン=ダグバ=ゼバは同族であるグロンギを殺戮しそのうえでクウガとの戦いを楽しみにしていました。それは戦い、殺戮することを期待してです。望まぬ戦いとそれと共に人でなくなってしまうことを恐れ悩んでいる五代とは対象的でした。
五代は最後の戦いの前にこれまで自分に温かくしてくれた人達に会いそのうえで一条刑事にもしもの時を託し最後の戦いに向かいました。一歩間違えればン=ダグバ=ゼバと同じになってしまう危険を承知してです。
そのうえで最終決戦となりましたがここで人とは何かを見せることになったと思います。望まぬ戦いをしながら心の痛みを感じながら闘う五代と他者を傷つけ殺めることに快楽を見出しているン=ダグバ=ゼバ。両者の闘いは人の心を持つ者と持たない者の闘いでありました。仮面ライダーブラックの配色での戦いであり同族同士の闘いでもありましたがその果てにあったものは五代雄介の人間としての心があったのではないでしょうか。
僕は五代にもう一度戦場に向かわせていますが実はここには僕なりのライダーへの考えがあります。それは後述です。戦いから解放されて本来のあるべき姿に戻った五代ですがそれでもです。彼はその優しく美しい心故にです。人々の為、そして人間としてスサノオと戦わなくてはいけない運命の中にいるのでしょう。
アギトではまず黒衣の青年と白衣の青年の対立がありました。この両者はアギトプロデューサーの白倉伸一郎氏によりますとグノーシス主義からきた考えで黒衣の青年が造物主であり白衣の青年は救世主だそうです。人をそのままの姿で愛する黒衣の青年と人が変わっていくのを認める白衣の青年の対立があります。
まず僕はクウガとアギトはテレビ版は同じ時空列にあると考えていることを述べさせて頂きます。アギトはクウガの話から一年後がスタートになっていますがクウガ最終回での時空列と矛盾があります。
おそらくアギトの世界こそが昭和ライダーから連綿と続く世界であります。そしてテレビで放送されたクウガとアギト第一話で触れられたクウガは同じ展開を辿りながらもパラレルワールドになっていたと思います。アギトでのクウガは一年早い展開だったのです。そうしたことになっていたのではないでしょうか。
話を戻しますと白衣の青年は過去の黒衣の青年との戦いの後で最後の力を売り絞ってそのうえでアギト、人の進化の可能性を人々に託しました。これがアギトの話を大きく動かすことになります。
津上翔一がまずその白衣の青年の行動に巻き込まれます。所謂あかつき号事件です。彼はその中でアギトとなります。彼は仮面ライダーになったのです。
そのうえでアギトの因子を持つ者達を狙うアンノウンと戦っていきます。何故アンノウンが人々を襲うのかはアギトの作品世界での大きな謎の一つでしたがこれは黒衣の青年が愛する人がそのままの姿でいることを望んでのことでした。その為に人を人でなくさせる、と彼が考えているアギトの因子を持っている存在を次々に消しにかかりました。彼にとってみれば愛する人間のことを考えてのことでした。
人の性の一つとして自分達とは異なる存在を排除しようとするものがあります。その為アギトも認められず大きな悲劇を招くとも考えてのことでした。そうした考えによって彼はアンノウンを使っていました。
津上が戦う中でもう一人のアギト、不完全なアギトである仮面ライダーギルスこと葦原涼も出て来ました。彼はまさにそのアギトになることで全てを失い過去を追い求めるようになっていきます。
現在に生きる津上と過去を追い求める葦原ですが黒衣の青年はアギトは葦原の様になると考えたのでしょう。それで彼はあくまでアギトを排除しようとしたのです。
何故アンノウンが人を襲うのかは当初誰にもわからずそのアンノウンから人々を守る為に警察は仮面ライダーG3、後にはG3エックスを開発します。そのスーツを着るのは氷川誠でした。あかつき号事件で活躍した彼が人々の未来の為に戦うことになりました。
アギトの作品世界は三人のライダー達がそれぞれの目的や追い求めているものの為に戦っています。それは別々の様で次第に絡まり合っていきます。
その中で彼等は次第に人間として戦っていることを意識していったと思います。そしてその他にも津上の周りの美杉家の人達が彼を支え氷川もチームと共に戦っていきます。葦原も多くの人々との交わりから次第に孤独から離れようとしていきます。
彼等はあくまで人間でした。力を得てもその心は人間でした。こうした意味で彼等はクウガと同じでした。人間として戦っていたのです。
周りの人達、超能力を持っていた風谷真魚もまた人として津上を支え葦原を救いました。アギトに警戒を見せるようになっていた北條透も彼女を護衛するようになっていきます。
僕はアギトの作品世界では真魚と北條は非常に重要な位置にいると考えます。まず真魚ですがただ津上の心の支えというか癒しになっているだけではなく道を見失いそうになる彼を支えてもいます。そして葦原の命を救ったことも大きいです。
一連の事件の解決の為に警察にも協力しています。父の死もあり色々と複雑な事情もありましたが終始人の立場にいて津上を支え彼を人間として見ていました。彼女は人間とは何かをわかっていました。
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