魔法戦記リリカルドライブSurprise
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ヴァイスは変身するのか
トライドロンに乗ってグラナガンを走っていくヴァイスとティアナ。2人の目的は人間に擬態したロイミュードを探す事。
「でも、本当に大丈夫なのですか?唯一の手掛かりはヴァイス陸曹の記憶だけですからね」
「文句言うなら降りても良いんだぞ?」
「なんですかその態度は!折角なのはさんからの指令だってのに…」
[なにが指令だ…!]
お互い文句を言いながらもティアナはモニターを出して、なのはが用意してくれたデータをヴァイスに見せた。
「なんでも一週間前から、殺人未遂事件が多発している様子です。被害者は全員体が赤く変色して仮死状態になって、しかも被害者が居た所には必ずどんよりが」
「つまり、昨日俺を襲った機械生命体と殺人未遂事件の犯人は同一という訳だな?」
「そうなりますね」
[でも…なんか引っかかる。俺を襲った奴は、体とか進化とか言ってたが]
昨日のヴァイスを襲ったロイミュードの言葉を思い出していた。それからしばらくすると、ヴァイスは驚いた顔でトライドロンを停車した。
「ちょっと、いきなりの急ブレーキは危ないでしょ!?」
「ビンゴ!」
「え?」
「ほら、アイツだ」
ヴァイスが指を刺した方向には、昨日襲い掛かったロイミュードの人間態。
「あれですか?別人って事じゃあ…」
「いや、間違いなくあの男だ!」
そう確信すると男が移動したので、ティアナは地図を出して男が行く道を調べた。
「あの道だと…この公園に着くみたい」
「だったら、先回りだ」
すぐにトライドロンを再び発進して公園に先回りする。
その時。
車内に隠れていたのか、昨日ヴァイスを助けてくれたオレンジ・緑・紫のミニカーがヴァイスとティアナの前に現れた。
「あっ!?これは」
「なっ、なにこれ!?」
初めて見るティアナはミニカーを手に取った。
『それはシフトカーだ』
「シフトカー?」
「ええっ!なんでベルトが喋ってるの!?デバイス…」
さらにベルトが喋り出すので驚きすぎて混乱するティアナ。
「おいコラ、ベルト!」
『いきなり呼び捨ては失礼ではないか?』
「じゃあ、ベルトさん!いきなり声を出すなよ。ティアナ驚いているだろ!」
『まぁまぁ、それより座席の下にホルダーがあるだろ?』
「ほる…だー?」
まだ混乱し続けるティアナは言われた通りに座席に手を入れると、何かを入れるホルダーが丁度2人分出てきた。
『これを使えば、シフトカーを持ち運べる』
「はぁ、でも何の為に?」
『とにかく持っていくことだ。そうすれば、重加速…どんよりでも動ける』
「「ええ?」」
2人はベルトさんの話をあんまり信じられずにいたが、先に進むのだった。
目的地の公園。
中年の男がジョギングをしていると、立ち止まってポケットから何かを取り出した瞬間。
「うわっ!?」
いきなり重加速に襲われてしまう。さらにあの男がコブラロイミュード【029】になって近づいてきた。
「お前は…ダメだな!」
そう宣言すると【029】は中年の首元を掴んだ途端。その中年は体が赤く変色し始めて、さらに意識が朦朧としているのが分かる。だが、突然【029】の腕と足がオレンジのロープで縛られた。
「ん?バイントか?」
「そこまでだ!」
そして【029】の前にデバイスを出したヴァイスとティアナが立っていた。
[驚いたな…まさかどんよりで動けるなんて…]
ヴァイスは本当にシフトカーを持っているだけで、この現象でも動けると信じられずにいた。だけどティアナは拳銃型デバイスで【029】に話を続けた。
「大人しく投降しなさい!さもなければ…」
「ふふふふ、ヤなこった!!」
しかし【029】は肩とかを軽く動かしただけでバイントを壊し、そして片手の銃口からエネルギー弾を撃った。
「危ない!?」
「きゃ!!」
すぐにヴァイスはティアナを抱きしめながら避けた。
「大丈夫か?」
「ええ…なんとか」
「クソ!」
すぐにヴァイスもデバイスを構えると、目の前に蜘蛛をモチーフにしたスパイダーロイミュード【045】と、コウモリをモチーフにしたバットロイミュード【088】が現れた。そして【045】と【088】はヴァイスを殴ったりと攻撃してきた。
『仲間がいたのか?』
「たく、どうすんだよ。この状況!」
「その心配無用だ!」
ベルトさんが叫んだ瞬間、トライドロンが勝手に動き出して3体に向かって、マシンガンを撃ちながら突進してきた。すぐに3体は避けたりしたが、その隙に赤いシフトカーが何かを持って、ヴァイスに向かって走って来た。そしてヴァイスが赤いシフトカーを手にした瞬間、腕には車のレバーみたいなブレスレットが着けられた。
「なんだこれ…おい、ベルトさん!俺をどうする気だ!?」
『それはズバリ…変身して、私とシフトカーを乗りこなすんだ』
「はぁ?だからなに言って!」
『君は過去の出来事で、大切なものを壊しかれたはずだ』
ヴァイスはベルトさんの言葉に思い出していた。自分の失敗で、妹を傷つけてしまった事に。そして今度は目の前で人が襲われているのを。
『だが、私と仲間たちが居れば…この止まった時間の中でも自由に動き。そして重加速を操るロイミュードを相手に戦う事が出来るのだ。それが、戦士ドライブだ!』
するとヴァイスは先程とは全く違う感じに目をした。それは2年前から止まった自分の時間を動かし、心の中のエンジンを掛けた。
「使い方…教えろよな」
『では、まず最初に私のボディにあるイグニッションキーを回せ!』
さっそく言われるとおりに右隣のイグニッションキーを捻ると、エンジンの掛かる音が響いた。
『次はシフトカーを回転させて、シフトブレスに装填しレバーのように倒すんだ!』
レバー型に変形させたシフトスピードをシフトブレスに装填させる。そしてヴァイスは決意を固めた目で叫ぶ。
「もうあの時のようになりたくねぇ…それなら、考えるのは止めてやるよ。行くぞベルトさん!」
『OK!Start Your Engine!』
「変身!」
ヴァイスが叫びながらシフトカーをレバーのように倒した。
『DRIVE type SPEED!!』
するといつのまにかヴァイスは全身に車の部品みたいなアーマーが装着されて、さらにトライドロンからタイヤが飛び出した。そのタイヤも胸部へ斜めに装着し、仮面ライダードライブに変身した。
「変身した…」
「ロイミュードだっけ?…一走り付き合えよな!!」
ドライブはさっそくロイミュードに向かって走った。
そして【029】にパンチでぶっ飛ばし、さらに後ろから襲ってきた【042】と【088】にも、キックとパンチの攻撃をする。今度は【029】が後ろからドライブを押さえてきたが、そのまま腹部に肘鉄をやってなんとか解放する事が出来た。
『次はシフトレバーだ!加速させろ!』
「加速、こうか?」
『SP SP SPEED!!』
すると胸部のタイヤが加速するにつれて、全身も加速するかのように早くなって、高速に連打パンチが決まったりするほどに。
しかし、今度はロイミュードが指先からエネルギー弾を撃って来た。ドライブは避けたが、【029】のキックを受けてしまった。
「クソ…やっぱ一対三じゃ…」
『ならば今度は、Come-Onスパイク、シャドー!』
ベルトさんが叫ぶとティアナが持っている。緑と紫のシフトカーが突然動き出してドライブの方に走って、シフトカーホルダーに装填された。
「ちょっと!またゆっくりに!」
当然ティアナの体が再び重加速の影響を受けてしまった。
『さぁ、タイヤ交換だ!』
「タイヤ交換?」
『シフトカーを変えれば力も変わる。まずはマックスフレアだ!』
「分かった!」
ドライブは言われるままに、シフトブレスから一度シフトスピードを抜く。イグニッションキーをまた捻って、オレンジ色のシフトカーのマックスフレアを変形し、シフトブレスに装填して倒す。
『タイヤコーカン MAX FLARE!』
ドライブの胸部のタイヤが外れると、トライドロンからオレンジ色のタイヤが飛び出して、そのまま装着した。
「タイヤが変わってなんだ!!」
【029】が再び襲い掛かったが、ドライブは炎を纏った拳で殴り。さらにはキックにも炎を纏わせて攻撃して、再びシフトレバーで加速させた。
『FL FL FLARE!!』
すると炎がタイヤの形で現れると、そのまま【029】に向かって蹴った。
そして【029】は炎の竜巻に巻き込まれて、上空に投げ飛ばされ地面に叩き付けられる。
「ああっ!大丈夫!?」
「おのれ!」
他の2体が【029】に駆け寄ると、【042】がドライブに殴りかかる。だが、すぐに避けて緑のファンキースパイクを使った。
『タイヤコーカン FUNKY SPIKE!』
次は緑色でトゲの付いたタイヤで、トゲを飛ばして攻撃した。
そして【042】の後ろに回り込み。
『SP SP SPIKE!!』
そのまま羽交い締めにして、トゲタイヤが高速回転し【042】の背中を削った。
「痛て痛て痛て痛て痛て、痛ああああぁぁぁぁぁぁ!!」
【042】が叫びながら、上に弾き飛ばされて爆発した。すると【042】の数字が出てきた。
だが、すぐに紫のミッドナイトシャドーに変えた。
『タイヤコーカン MIDNIGHT SHADOW!』
今度は紫色で手裏剣風のタイヤが装着されると、両手から手裏剣型のエネルギー体が形成された。
「おらっ!それっ!」
「おっと!」
「うわっ!ぎゃあっ!」
さっそくエネルギー手裏剣を投げると、【029】が避けるが【088】に当って爆発した。
そして【088】の数字が出てきたが【042】と一緒に爆発した。
『良し、シフトスピードでフィニッシュだ!』
「分かってるぜ!」
『DRIVE type SPEED!!』
再びシフトスピードに戻ると、イグニッションキーを捻ってシフトブレスのスイッチを押す。
『ヒッサーツ!Full throttle SPEED!』
「ん?え!?」
いつのまにか【029】の周りには、4つの巨大なタイヤが形成されて拘束する。
さらにトライドロンが高速でドライブとの周りを旋回し始める。
「なっ…なんだ、うわっ!」
巨大タイヤに弾き飛ばされた【029】を、ドライブが蹴りつけた。しかも周りで高速旋回するトライドロンに反射して、加速しながら何発かキックし続けて、最後の一発はエネルギーを纏った強いキック。必殺技のスピードロップが決まった。
「そりゃああああ!」
「ぐわぁああああ!!」
そして【029】も爆発した。しかし【029】の数字はどこかに飛んで行った。
ドライブは変身を解いてヴァイスの姿に戻った。
「ヴァイス陸曹…大丈夫でしたか?」
「ああ、なんとか…」
『Niceドライブ!君の力の勝利だ』
「ありがとよ。そうだ!すぐに救急車を!」
「心配しないで、ちゃんと呼びましたから」
ティアナの仕事の早さに感心するヴァイスだったが、倒れている中年男の足元に薬が落ちてるのに気づく。
『いきなりで悪いんだが、少し付き合ってくれないか?』
「「え?」」
そしてヴァイスはベルトさんに案内されるまま、トライドロンを走らせるけど到着したのは行き止まりだった。
「おい、行き止まりだぞ?」
『NoProgram。心配ご無用さ』
「「え?うわっ!?」」
2人が驚くも無理がない。なぜならいきなり目の前の壁が開いて坂道になっていたからだ。さっそくトライドロンを発進させて坂道を下ると、先程の出入り口が閉じてしまった。されから進んで到着したのは、巨大な設備の整った空間となっていた。
「なにこれ…凄い!?」
「こんな場所、いつの間に…」
『ようこそ。ドライブピットへ』
「「ドライブピット?」」
トライドロンを決められた場所に停めて、2人がベルトさんを持って降りる。そしてベルトさんを目の前の台車に接続した。
『さて、今日からここが君達と私達の秘密基地だ』
「秘密基地?」
『ロイミュード108体を全て倒す為に』
「おいおい、ロイミュードって奴らは108体もいるのか?」
『そうだ。しかもコアが無事なら何度でも復活する』
「コアが無事…」
ティアナは気づいた。【088】と【042】が破壊したけども、【029】はどっかに逃げてしまった事を。
その頃、どこかのビル。そこになんとかここまで逃げてきた、あの【029】のコアが漂っていた。
「クソ…まさか、あれが!」
「大丈夫か?」
「ん?うわっ!ハート!?」
するとハートと呼ばれる赤いコートを着込んだ青年が【029】の目の前に立っていた。
「この調子だと大丈夫そうだな。ほら、新しい体だ」
ハートはコブラをモチーフにしたシフトカー改め、バイラルコアを【029】のコアに与えた。
するとコアが入ったコブラバイラルコアが、コブラロイミュードボディになって【029】が復活した。
「ハート。なんとお礼を言えば」
「友を助けるのは当然さ。ところで、誰にやられたんだ?」
まるで好奇心の強い子供のような顔で【029】に尋ねるハートだった。
後書き
ヴァイスの変身とバトルシーンはどうでしたか?次回は原作の終盤辺りで登場する筈のラグナを出すつもりです。
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