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カードファイト!!ヴァンガードG ネクステージジェネレーション

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turn:12 安城マモル

 
前書き
グレードアップを目指しクエストに励むタイガ
だがそれは生半可な道ではなく疲れ切ってしまう
そんなタイガをねぎらうべくメグミが彼をドラゴンエンパイア支部へと連れていく
初めて訪れたその場所でタイガが出会った人物
そしてそこで催されたイベントの中で……… 

 
「クロノファング・タイガーでアタック!」
老人ホームでファイトするタイガ
見事勝利したことで歓声が上がる

普段行くカードキャピタルとは別の店
バインドタイム・ドラゴンの攻撃が決まり見事勝利
ショップ大会の優勝トロフィーを獲得し周囲からたたえられるタイガ
普段あまりない周囲からの声に照れてしまっていた

Turn:12 安城マモル

「アタック!」
フロートギア・ヒポグリフが旋風を巻き起こす
「アタック!」
クロノスコマンド・ドラゴンが杖を鳴らし光の柱が降り注ぐ
「アタック!」
クロノスコマンド・レヴォリューションが掌をかざし光を放つ
「アタックだぁ~!」

タイガはカードキャピタル3号店で燃え尽きていた
「タイガも頑張っているけどね」
彼のファイカのポイントを見てため息をこぼすメグミ
あれだけクエストをこなしたにもかかわらずグレード3までまだ3割ほど残っている
「少し息抜きしたほうがいいんじゃない?」
エミの言葉にメグミも少し考えるしぐさを見せる
「他よりポイントの多い、協会主催のクエストにしてみるか?」
ハジメのその言葉を聞いてメグミはひらめいた
「そういえば、あれ今週だったよね」

「さ、ここだよ」
メグミの案内でタイガがやってきたのは開けた場所の中心で存在感を放つ赤い建物
「ここは?」
「ヴァンガード普及協会、ドラゴンエンパイア支部!」
建物の方へと手を伸ばし自慢げに話すメグミ

「普段クエストを探すVGネットワークや、チャンピオンシップなんかも全部普及協会の主催よ」
建物の中に入るとフリースペースでデッキの内容を話し合うファイターや広いスペースに置かれたファイトテーブルでファイトする人たちの姿が
「このあたりはファイターのための交流スペース、こういった場所を提供したり、イベントを企画したりして、ヴァンガードを広めていくのが普及協会のお仕事」
一人デッキを眺めていたファイターに別のファイターがファイトを挑む姿を見つけるタイガ
「なるほどな」
楽しそうにファイトを始めるファイターたちの姿を見てこの場所の意味が何となく分かってきた
「で、今回のクエストは、明日ここであるイベントのお手伝い、準備の段階から手伝っていくわよ」
ファイカをちらつかせるメグミ
「案内のためとか言ってたけど、お前もポイント目当てなんじゃ」
「えへへ、実はそうだったり」
「ちょっとは否定しろよ」
「メグミちゃん!」
こちらに歩いてくる深緑色の髪のスーツを着た男性
さわやかな表情を崩さず手を降ってタイガたちに歩み寄った
「来てくれて助かったよ、明日のイベントは毎年大盛況だから」
「うまく行くといいですね、ドラゴンエンパイア祭、あ、タイガ、こちらここの支部長の安城マモルさん」
「あ、どうも、本城タイガです」
「初めまして、安城マモル、かげろうのクランリーダーであり、ここの支部長を務めさせてもらっているよ」
と、ここでタイガは聴きなれない言葉に首を傾げた
「なあメグミ、クランリーダーってなんだ?」
「協会が認めた一流ファイターで、協会での地位が確立されている人たち、支部長クラスになると大体がその称号を持ってるわ、クランごとに定められていて称号を持つことを許されるのは各支部の該当クランにつき一人だけ」
マモルに聞かれないようメグミに問いかけるタイガ
それに対してメグミは簡単にだが説明して見せた
説明を聞いたタイガは目の前で不思議そうにしているマモルを見つめた
「協会が認めた一流ファイター………」

支部の職員と共にテントの設営を手伝うタイガ
そこへマモルが何やら大きな段ボールを乗せた台車を押してやってきた
「ふぅ、重かったぁ」
「なんですか?それ」
タイガが箱の中身をのぞき込むとそこには大量のファイカが入っていた
「新規登録の受付用に用意した新しいファイカだよ、ここは協会用のスペースだからね、大体の人たちはほら」
明日の参加者と思われる人たちが屋台のセッティングをしていた
「骨組みや機材なんかはうちで貸し出してるけど、セッティングは自分でやるところが多いんだ」
マモルが説明していると彼の無線に連絡が
「はい安城、はい、はい、わかりました、でしたらこちらで」
通信を切るとマモルはすぐさまタイガを呼び寄せた
「すまないがこの箱を降ろすのを手伝ってほしい、設営のための機材を運ぶ台車が足りなくなってきていてね、空けられるものは早めに空けておきたい」
そう言って段ボールの右側を持つマモル
タイガもすぐさま左側を持った
「せーのっ」
マモルの合図で同時に箱を持ち上げる二人
ファイカそのものの重量は大したことないのだが箱一杯に詰まってるとなると話は別だ
二人でも持ち上げるのは大変だった
「やれやれ、重かったなぁ」
肩を抑えながらため息をこぼすマモルを見つめるタイガ

台車を届けたタイガが次の仕事を探して支部内を歩いていると
「あっ」
マモルが段ボールに入った荷物を業者から受け取っているところだった
「マモルさん!それは?」
「ああ、タイガ君、熱中症対策の水と飴だよ、明日は1日晴れるそうだし、気温もかなり上がりそうだからね」
段ボールを抱えながら答えるマモルの様子を見てタイガは駆け寄った
「俺運ぶの手伝います!丁度手の空いたところなんで」
「助かるよ」

翌日、タイガとマモルは入り口のゲート設営を手伝っていた
「こんにちは」
脚立の一番上で布をゲートに結んでいると水色のカバンを背負ったミツキが声をかけてきた
「ミツキ?イベント開始にはまだ時間があるけど」
「ああ、彼女はゲストとして呼ばれてるんだ、すまない、いつものステージ控室でお願いできるかな」
マモルの言葉に一瞬キョトンとするタイガだったが
「お、そういえばモデルやってるんだったな」
「そういうこと、荷物置いたら私も手伝いますね」
そう言って控室へ向かうミツキ

当日もスタッフとして忙しく働いていたタイガ
「お疲れさま」
仕事がひと段落し腰かけていたタイガの下へマモルがやってきた
「休憩がてらどうだろう?これからみんなのお昼ごはんを買いに行くところなんだけど」
そう言ってマモルが外の方を指さした
「せっかくイベントに来たんだから、楽しまなきゃ損だろう」

「純真の宝石騎士 アシュレイで貴方にアタック」
アシュレイにライドしたミツキがバットエンド・ドラッカーにライドした男性に剣を振るった
「やっぱりかわいい」
そう言って倒れた男性はスタッフに支えられながら退場していく
「ん?」
ミツキは列に並んだお客さんの対応をしていたがマモルと歩くタイガの姿を見つけそちらに意識が行ってしまう
「必中の宝石騎士 シェリーでお願いします」
「あ、ハーイ」
が、そこは幼いながらもプロ
お客さんの声に答えすぐさまデッキからカードを取り出した

「ここだよここ」
マモルに連れられタイガがやってきたのは行列のできている屋台の最後尾
「やっぱり混んでるなぁ、ここ毎年盛況なんだよ」
「でも、わざわざマモルさんが買いにくる必要あるんですか?ここの責任者なんですよね」
タイガの問いかけにマモルは一瞬目を見開くと小さく笑う
訳が分からずタイガが首を傾げていると
「ごめんごめん、昔似たようなこと聞かれたんだけど、僕はこういったイベントを通して、いろんな人にヴァンガードを知ってもらいたい、ファイトは決して一人ではできない、だからこそ、こういったイベントを通して、新しいファイターとの出会いが、その人の世界を広げるきっかけになったらと思うんだ、実際君とも出会えたしね」
そう言ってタイガに笑いかけるマモル
しばらくして列が進んでくると屋台の中で調理する見覚えのある赤い髪を見つけ目を丸くするタイガ
「あれっ!?」
「あ、あなたも来ていたのね」
ミライはタイガに気付くと驚いたといった様子で目を丸くする
「やあミライ、頼んでおいた分用意できてるかな?」
そんなミライにマモルが親し気に声をかけるとミライは屋台の奥からたくさんの袋を取り出した
「はいマモル伯父さま、支部のみんなやクエスト協力者の分のドラゴンエンパイア焼きです」
「ありがとう、わざわざすまないね」
「………ん?伯父さま?」
タイガは目を丸くしながらミライとマモルを交互に見た
「ええ、マモル伯父さまはお母さんのお兄さん」
「ああ、タイガ君ミライとは知り合いなんだね」
呆気にとられるタイガの肩を屋台の中からトコハが手を伸ばし叩いた
「もともとこの屋台、私たちが学生の頃に始めたものなの、好評だったんで毎年」
「そうなんですか」
トコハの言葉に微妙に納得がいかず何とも言えない形で頷くタイガ
一方トコハはミライに声をかけていた
「ミライ、こっちは大丈夫だからそれ運ぶの手伝うついでに休憩してきていいわよ」
「ありがとうお母さん」

大量のドラゴンエンパイア焼きを持って三人は支部の建物への道を歩いていた
「助かるよ、一人で持つには大変だからね」
「これ、ドラゴンエンパイア焼き?たこ焼きとは違うんですか?」
タイガの問いかけにマモルは笑いながら袋を掲げた
「具材が色々あってね、食べてみるまで中身ははわからないんだ」
「あー、そういう」
袋を下ろしながら前方に見えるドラゴンエンパイア支部の建物を見つめるマモル
「みんなで楽しくお祭り騒ぎっていうのが前の支部長の時から続くうちの基本方針でね、その役目を引き継いだ僕には守っていく義務がある、今まで築いてきた地域とのつながりやファイターたちの思いをね、そう考えているんだ」

タイガたちが支部の休憩スペースにやってくると職員やタイガのように手伝いのクエストを受けた人達が待っていた
テーブルの上に一度ドラゴンエンパイア焼きを置いて全員に回していくタイガたち
「ミライも食べていくといいよ、数には少し余裕があるから」
マモルの提案に控えめに頷くミライ
彼の隣につくと自分の分のドラゴンエンパイア焼きの容器のふたを開ける
タイガとメグミも同じテーブルについてドラゴンエンパイア焼きのふたを開けた
「それじゃ、食べようか」

「ん、これ美味いな」
ジャガイモ入りのドラゴンエンパイア焼きを食べ思わず声に出てしまうタイガ
「んっ!」
「どうした?」
突然メグミが声を上げるので驚くタイガ
マモルも心配そうに駆け寄る
「へ、平気、中身のチーズが熱かっただけ」
「気を付けてくれよ、まだ温かいんだから、って熱っ!」
やれやれといった感じで肩を落としていたマモルが一つ食べるとアツアツのチョコレート味
自分で言ったそばから同じようなリアクションをしてしまい周囲からも笑いが沸き起こる
「いやぁ、面目ない」
「そういえばこれ、激辛とかもあるのよね」
「数はそんなに多くねぇんだろ、引いたりするかよそんなの………ん?」
カスタードクリームが入ったドラゴンエンパイア焼きを食べていたタイガがふとミライの方を見るとじっと顔を伏せて動かないことに気付く
「どうした?」
「ん~!」
タイガが問いかけると顔を上げたミライが若干涙目になりながら口元を抑えていた
どうやら先ほど話題に出た激辛を引いたようだ
「ほらっ、水を飲んで」
マモルが持ってきた紙コップから水を一気飲み
「(考えてみりゃ、こいつとファイト以外の事で会うのって初めてだよな)」
まだ数えるほどしか会っていない
だがミライとのファイトで完敗を喫したからこそタイガは強くなろうと思った
そしてメグミに負け、落ち込んでいた時に見たミライのファイト
自分とは全く違う形でギアクロニクルを使いこなすミライの姿がタイガを再び奮い立たせた
だが今のミライは
「なんか、ファイトの時とは別人だな………」

イベントもほとんどの日程を終え残すは後夜祭とキャンプファイヤーの二つ
大仕事を終え疲れて座り込むタイガだったが
「はい」
そんな彼にメグミが小さな紙片を差し出した
「なんだよこれ」
「参加者は後夜祭でマモルさんとファイトが出来るのよ、あんたの分も貰っておいたから」
「マモルさんと………」
整理券を見つめて今日一日の事を考える
支部長という立場にありながらファイターたちを想い、必死に働くマモルの姿
彼の実力を間近で体験できる………
「タイガさん!メグミさん!すごいよ今!」
整理券を片手に勢いよくミツキが入ってきた
大変興奮しているようだが

「クロノドラゴン・ネクステージでドラゴニック・ブレードマスターにアタック!」
ネクステージの砲門から放たれた光線が鋭い剣を携えた赤き龍
マモルのメインユニット、ドラゴニック・ブレードマスターに向かっていく
「ガード!プロテクトオーブ・ドラゴン!」
だがマモルは完全ガードを使いこの攻撃を防ぐ
「スキル発動!再び立ち上がり、我が運命を導け!クロノジェット・ドラゴン!」
ネクステージのスキルを使い再びアタックするミライ
「ジェネレーションガード!炎帝竜王 アジールオーブ・ドラゴン!」
だがマモルも負けじとジェネレーションガードでしのぎ切った
「覇天皇竜 ドラゴニック・ブレードマスター“戴天”でアタック!」
そのアタックによりミライのダメージに5枚目、6枚目のカードが置かれる
「やっぱり伯父さまは強いや」
ミライの両隣にいたマコトとユウカも彼女の健闘を称えその肩に手を置いた

「あぁ、終わっちゃった」
ミツキに連れられやってきたタイガとメグミ
見ることが出来たのはネクステージのスキルが発動したあたりからだ
だがそれでも一進一退の攻防を繰り広げていたことはわかる
すでに両者のGゾーンはかなりの枚数が表になっており互いの手札もギリギリ
両隣にいたマコトとユウカは既にダメージ6で敗北した後の様で画面も切られていた
「マコ姉たちはもう負けちゃったんだ」
「そうみたいだな………ってえ!?」
メグミのつぶやきが聞こえたタイガは少し遅れて反応する
基本的に名字で呼ぶことの多いメグミがこのような呼び方をするということは
「メグミとマコトさんって」
「ん?ああ、あんたマコ姉にあったことあるんだ?従姉妹よ、マコ姉のお父さんが、うちのお母さんと兄妹なの」
今日1日意外なつながりに驚かされてばかりなタイガ
もはや苦笑いさえも出てこない
「そんなことより、次は私たちの番だよ」
デッキを持って意気揚々とステージに向かうミツキ
メグミと一緒に肩を落としてから向かうタイガ

「「「「スタンドアップ!ヴァンガード!」」」」
タイガ達が一斉にスタンドアップすると歓声が上がる
「クロノファング・タイガーのスキル!ラグラーのグレードを-2」
「サファイアのスキルでレイテを手札に、レイテのスキルでリュミエールのパワーを+4000」
「そーどみーのスキルで、さばるみーをスペリオルコール」
3人とも全力でマモルに向かっていった、だが
「トワイライトアロー・ドラゴンのスキルでナンネアを退却!メグミちゃんのローザのアタックはジェネレーションガード!ルートフレアドラゴンのスキルでトレーシーとさばるみーを退却!」
マモルは決して動じなかった
「熱き炎を以って立ちはだかるものすべてを焼き払う!これが僕のかげろうデッキだ!」
「俺達だって負けてられない!」
バインドタイム・ドラゴンが、サンシャイン・ヴェールが、エヴァンジェリンが姿を現し、ブレードマスターを見据える
「これが俺たちの全力だ!」
向かっていく3体のGユニット
それをマモルは楽しそうに見据えていた
「ならば僕も!全力を以って応えよう!これこそ我が可能性!運命を切り開く炎の刃!ストライドジェネレーション!」
ミライとのファイトでも勝負を決めた覇天皇竜 ドラゴニック・ブレードマスター“戴天”
その姿に圧倒されるタイガ
戴天が剣を振るうと放たれた炎がクロノファングを飲み込んでいく

「ふぅ」
イベントの最後を飾るキャンプファイヤーを眺めながらファイカを見つめるタイガ
クエストクリアの証明としてマモルのサインが書かれたそれを見ながら今日のファイトを思い出していた
タイガも、メグミも、ミツキだって全力で戦った
三面同時ファイトというハンデがあるにもかかわらずマモルはこちらの攻撃に対し的確な対応をしていた
そして攻撃も常に全力で、そして何より………楽しそうだった
タイガもまた楽しいファイト、昼食後に回った祭の風景
マモルの言っていたことの意味が分かったような気がした
「ほーら、なに一人でぼーっとしてんのよ」
「ラストのフォークダンス残ってんだぞ」
「早くいこうよ」
メグミたちに呼ばれ体を起こし、笑顔で駆け寄るタイガ
「お前今日1日どこ行ってたんだよ一人だけ」
「しょうがねえだろ、剣道の試合と被ってたんだから」
「ほらほら喧嘩しない」
キャンプファイヤーを囲みながら楽しい夜を過ごすタイガたちだった 
 

 
後書き
次回予告
いつも元気のいいミツキ
だが同じ事務所の先輩が辞めてしまうことを知り落ち込んでしまう
どうしたらいいかわからないミツキ
彼女から相談を受けたタイガは………
turn:12 綺場ミツキ 
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