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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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129部分:第十五話 第二の戦いへその八


第十五話 第二の戦いへその八

「では今度も私が行こう」
「また君が行くのか」
「そうさせてもらいたい」
 サガはこうアイオロスに言うのだった。
「シュラは御前に遠慮しているところがあるようだからな」
「それでか」
「シュラの正義は貫く正義だ」
 サガはシュラの考えを見抜いていた。
「その手に持つ剣でな」
「私の考える正義と似ているのかも知れないな」
 アイオロスは彼の話を聞いてこう思ったのだった。
「若しかしてな」
「そうかも知れない。だから教皇は私に任じられた」
 黄金聖闘士の出陣を決めるのは教皇だ。このことにおいては黄金聖闘士といえど白銀や青銅の者達と全く同じである。権限はまるで違うにしろだ。
「私はそう見ている」
「教皇。あの方が考えておられることなら間違いはあるまい」
 アイオロスは教皇に対して信頼の言葉を述べた。
「それならばな」
「伊達に先の聖戦を生き残られたわけではない」
 サガは言う。現教皇であるシオンは元々はアリエスの黄金聖闘士だった。彼は冥皇ハーデスとの戦いに生き残ったたった二人の聖闘士の一人であり教皇となってから聖域の復興に尽くしてきた人物だ。それだけに聖域での信頼も絶対的なものがあるのだ。
「それだけのものはある」
「そうだな。ではサガよ」
「うむ」
「デスマスクの時と同じく」
 ドイツでの時のことが言及された。
「頼むぞ」
「この戦い敗れるわけにはいかない」
 答えるサガの言葉が強くなる。
「我々にとってな」
「そうだ。アーレスはまだ目覚めてはいない」
 このこともまた言う。
「目覚めさせれば我々にとって絶体絶命の危機となる」
「狂闘士達だけでなくあの争いの女神エリスもいる」
 彼女の存在もまた彼等にとっては大きな脅威であった。
「この戦い。それでも勝たなければならない」
「だからこそ。アメリカでの戦いも頼んだ」
「行かせてもらう」
 サガは一人出陣した。今出陣したそのことを知る者は教皇とアイオロスだけだった。しかし聖域の打つ手は着実にアメリカに向けられていたのだった。
 アーレスの宮殿ではエリスが彼女自身の座にいた。そのうえで自身の前に控えるインプ達に対して問うていた。
「ジーク達はもうアメリカに発ちましたね」
「はい、既に」
「行かれました」
 彼等は静かにエリスに答えた。
「やはり行かれたのは十人です」
「ドイツの時と同じく」
「ドイツではキャンサーのデスマスクにしてやられました」
 その時のことを思い出した声が忌々しげなものになる。
「ですがそれでも」
「はい、封印がまずは一つ」
「解けたのはいいとしましょう」
 エリスの声はすぐに元に戻った。
「それで。倒れた狂闘士達もアーレス様の御力があればまた立ち上がります」
「そうですね。あの方々はそれで立ち上がられます」
「ですから」
「犠牲を恐れないことです」
 エリスの声が強くなった。
「既にジークはこのことをわきまえています」
 ジークに対して強い信頼があるのがわかる言葉だった。
「ですから。アメリカでの戦いは彼に任せています」
「左様ですか」
「そしてそのうえで」
 エリスの言葉はさらに続く。
「アーレス様の股肱の者達」
「あの方々ですか」
「左様。あの者達だ」
 インプ達への返答は鋭いものだった。
 
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