暁ラブライブ!アンソロジー【完結】
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大切な時間 【名前はまだ無い♪】
前書き
今回は二度目の参戦!同じく名前はまだ無い♪さんのお話になります!!テーマは『バッドエンド』。感動作です!
数日振りです。名前はまだ無い♪です。
再び名前はまだ無い♪です。
あ、今回はちゃんとしてますのでブラウザバックしないで下さい。
それではどうぞ
とある日の休日。少女は高校の友達二人と遊ぶ為、待ち合わせ場所の駅前で立っていた。
「う〜ん。早く来過ぎちゃったかな?」
少女は腕時計を見ると改めて辺りを見渡す。そしてふと、自分のことを見てる女性に気付く。
少女は女性に見られる原因が分からず、自身の格好を見直す。
青のワンピースに薄黄色のパーカー、白のニーソ。この日は過ごしやすい気温な為、特におかしいことのない服装。顔に何か付いているのかと思い手鏡を取り出し映すも、そこには見慣れた顔が映るだけ。やはりおかしな箇所はない。
「こんにちは」
「こ、こんにちは」
他に何か原因はないかと考えていると、件の女性に話しかけられる。少し吃りながらも挨拶を返す。
少女の反応に女性は優しい笑みを浮かべると隣に立ち、壁に寄り掛かる。
「あなた、μ'sの小泉花陽さん、だよね」
「は、はい! えと、あの」
「急にゴメンね。私のことはそうね……ハナって呼んで」
「ハナさん、ですか……」
花陽はハナと名乗る女性に訝しげな視線を送る。その視線に気付いたハナはニッコリ笑うと話を続ける。
「そうそう、私が話しかけたのはね、実は私、あなたのファンなの」
「え、えぇぇええ!」
「そんなに驚く事じゃないよ?あなた達「μ's」ってそうとう有名なんだから。私の友達も言ってたよ?」
落ち着いた花陽にハナはウィンクをしながら話す。
「あ、あの、ハナさんは一体いつから……?」
「ファンになったか、だよね。私がファンになったのは二本目の配信動画、つまり「これからのSomeday」の時からかな」
「そ、そんなに早くから……ありがとうございます」
花陽は嬉しさから頭を下げ、お礼を言う。またそれほど初期から応援してくれているファンの人とこうして出会え、話している。その喜びを胸の中で嚙み締める。
「それで偶然見かけたから、花陽ちゃんの友達が来るまでお話しできないかなぁ、って思って、話しかけちゃった。迷惑、だったかな?」
「い、いえいえ! 私も少し早く来過ぎちゃってどうしようって思ってたので」
「そっか。それなら良かった」
ハナは安心したように息を吐き、笑顔を浮かべる。花陽もそれにつられて笑顔になる。
「そっか。花陽ちゃんはお米が好きなんだ」
「はい! 一日五食全部白米でも構いません!」
「でもそれだけ食べるとお腹周りとか大変なんじゃない?」
ハナが興奮して話す花陽の顔から視線を少し下げる。視線に気付いた花陽は少し頬を赤くし、お腹を隠す。
「うぅ……あんまり見ないで下さい……」
「あははは、ゴメンね。私も昔気にしてたから」
「ハナさんも、ですか?」
花陽は笑顔を浮かべながらも謝るハナを見る。
ハナの優しげな顔。しっかりと首長している女の象徴。平均よりも少し細めに見えるウエスト。上二つとのバランスが取れているヒップ。あまり焼けてない白い肌。そしてあまり肉の付いていない細い四肢。
とても昔苦労をしたとは思えない体型を前に、花陽はジーッとハナを観察する。
「は、花陽ちゃん? そんなに見られると恥ずかしいよ……」
「こ、ゴメンなさい! その、羨ましかったのでつい……」
「大丈夫。花陽ちゃんも自信持って大丈夫だよ。」
「そ、そうですか?」
「うん。学生の頃は我慢は良くないからね。それにアイドル研究部で踊ったり、階段で走ったりしてるんだから、そうそう太らないよ」
ハナの言葉に安堵の息を吐く花陽。でも、とハナは話を続ける。
「いくらなんでも五食は食べ過ぎたから控えようね」
「わ、分かってますよ。あれはその、冗談というか、たとえというか」
「ふむ。どれどれ?」
ハナは、両手を忙しなく動かして否定している花陽のお腹に手を伸ばす。
「ひゃう!」
「おぉ……このくらいなら花陽ちゃんは心配しなくても大丈夫だね。花陽ちゃんは胸があるから体重が重く見えがちだけど、太ってる訳じゃないから安心して良いよ」
「わ、わー! 何言ってるんですか! ハナさん!」
花陽は慌ててハナの口を塞ごうとするも、逆にハナに抱き締められてしまう。
「やっぱり花陽ちゃんはあったかいね」
「そう、ですか? ……でも、ハナさんも安心する香りです」
「ふふっ。ありがと」
ハナは笑顔でお礼を言うと、優しく花陽の頭を撫でる。花陽もハナの胸に顔を埋めて気持ち良さそうな表示を浮かべる。
そしてふと気付いたことがあり、花陽はハナから離れ質問をする。
「あの、さっきなんで私が友達を待ってるって言ったんですか?」
それはハナが花陽に声を掛けた理由を話している時の事。ハナは確かに「花陽ちゃんの友達が来るまでお話しできないかなぁ、って思って」と言っていた。「私の」ではなく「花陽の」と言ったのだ。それまで花陽は待ち合わせしている事も、相手が友達である事も言っていない。
それなのになぜハナは友達と待ち合わせをしている事を知っているのか。花陽はそれが気になりハナに問うた。
一方、問われたハナはクスリと笑うと答える。
「それは簡単だよ。まず両親とのお出掛けじゃないって思った理由は、親となら待ち合わせをする必要がないから。実家に暮らしてるんだし、一緒に家を出れば良いだけだからね」
ハナは人差し指を立てながら説明する。そして中指を立てて続ける。
「次に一人でのお出掛けじゃないと思ったのは、まぁ簡単だよね。一人だったらここで待つことはしなくていい」
そして、とハナは薬指を立てる。
「最後に友達とのお出掛け、と判断したのは花陽ちゃんが時々時計や携帯を見ていたから。恋人じゃないと思ったのは、そういった話をあまり耳にしなかったから。こんな感じでいいかな?」
「は、はい! ハナさんって凄いんですね!」
ウィンクして締めたハナを、花陽は興奮したように見つめる。ハナは笑いながら頭を掻く。
「あははは、そんなに凄くないよ。花陽ちゃんもその内私みたいになれるって」
「なれますか?」
「なれるよ。それじゃあそろそろ時間だから、私はもう行くね」
ハナの言葉に時計を見ると、確かに二人との待ち合わせ時間になっており、遠くからその二人が近付いて来るのも見えた。
「あ、あの、ハナさんの事を二人に、凛ちゃんと真姫ちゃんに紹介したいんですけど」
「私もね。二人に会いたい気持ちはあるんだけど、さっきも言った通り、時間が来ちゃったから。私行かなきゃ」
「それってどういう……?」
「それじゃあ、花陽ちゃん。今過ごしている時を大切にね。時は有限。それをどう使うかはあなた次第。元気でね」
「あの……!」
花陽が言葉の意味を問おうとした時、不意に突風が吹き思わず目を閉じてしまう。そして目を開けた時、そこにはハナの姿は無かった。
目が覚め、最初に視界に入ったのは既に見慣れた天井だった。
「どうだった?」
「うん、懐かしかったよ。穂乃果ちゃんや絵里ちゃん、にこちゃん達には会えなかったけど、その代わりに私や凛ちゃん、真姫ちゃんと会えたから」
ハナ……花陽はベッドに横になったまま、横に座っている恋人の青年に答える。
「そっか。それはよかったね」
「うん……でも、君には謝らないと、かな?最期の短い時間を、私の我儘で使っちゃって」
「それは違うよ! 僕こそ、僕の方こそ君に謝らないといけない。君の病気を治せなくて……」
花陽は俯き、泣いている青年に細く、様々な管が付けられた腕を伸ばし、そっと涙を拭う。
「ううん……その代わり、あなたは私に……最期に最高の思い出をくれた……それだけで充分だよ……ただ、やっぱり、お別れは……寂しいね」
青年は花陽の手を握る。
「でもね……μ'sの皆もそうだけど、あなたに会えて……私は……幸せだった、よ……」
花陽はそう言うと、愛し愛された青年に看取られ、眠るように静かに、永い眠りについた。
後書き
まぁ結果論で言えば逝ってるんですけどね……
それでも前回とは違うと声を大にして言いたい。
さて、今回はどうでしたでしょうか。今回も苦手、と言うよりあまり書かない分野なので手探り気味ですが、楽しんで貰えたでしょうか。
細かい設定?
単編にそれを求めてはいけません。
それではまたの機会にとか!
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