長男の役割
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過ち
前書き
初投稿。オリキャラありです。
お「俺はお前らのことはだいっっっきらいだよ!!!!」
言ってしまった…。俺は何も考えず、昼間の炎天下の中、外へと駆け出して行った。
回想
俺は松野家長男松野おそ松。六つ子の長男にしてニート。そんな俺は部屋で一人暑さに魘されながらゴロゴロとしていた。今日はなんだか気分が悪い。この暑さに加え、競馬にもパチンコにも行ってないからだ。この一週間、親二人は海外旅行へと行っている。そして置いて行かれた金の少なさにみんなが絶句する。一人一人のおこずかいとして5000円もらっている。成人男性に5000はないだろうとは思うが、ニートの俺らに言える権利は少しもない。そして生活費。これはまぁ足りてはいるが、よくわからない。ただ自分が自由にできるお金は少ない。そんな中、兄弟からの一番言われたくない言葉を親がいなくなった時から毎日言われるようになった。それは、
『長男なんだから』
である。
カ「おそ松、長男なのだから少しは手伝ってくれ」
チ「ちょっとおそ松兄さん!長男なんだからしっかりしてよ!」
一「長男さん、静かにしてくれる…?」
十「長男!!やきう!」
ト「おそ松兄さん。長男なのにそれはだめでしょ」
長男長男ってみんなが口をそろえていう。なに?みんな同い年じゃん!!長男とか関係なくない!?
十四松に関してはとりあえず言ってるようなもんだけどさ。カラ松とかチョロ松とかトド松とか!!煩いんだよ!!!俺だってちゃんとやってるよ!?お使いにも行ってやってるし布団も敷いてるし…。まぁ、チョロ松と比べたらっていわれると大分離れてるけど、やってることにはやってるだろ…。それに今はみんなやってるけど、親がいないときとかまさにニートじゃん。今だけでしょ?まぁ俺もだけどさ。
チ「おーいクソ長男ー」
また来た。チョロ松の声がする。きっと昼飯ができたから運べっていうんだろ。
案の定居間に顔を出したチョロ松は「運ぶの手伝って」と言って台所へ戻っていった。
お「うーい」
またあの言葉を言われるのが嫌で仕方なくの返事だがのろのろと立ち上がった。
十「あれっ?おそ松兄さんおきたんすか?」
お「元から起きてるよ」
とさっきまで寝っ転がっていたため、十四松には寝ていると思われていたらしい。
十「そうっすか!!」
と何故か蔓延の笑みでどこかへ行ってしまった。何のために来たんだよ。
チ「おそ松にいさーん?」
遠くからチョロ松の声が聞こえ俺はハイハイと返事をして台所へ急いだ。
カ「お、おそ松。これを任せてもいいか?」
カラ松とチョロ松が台所でせっせと飯を盛り付けている。カラ松に頼まれたのはみんなの茶碗。それもここで盛り付ければいいじゃんと思うがいつものことなのでそのままスルーをする。
お「りょうかーい」
台所から居間への廊下を歩いていると足に何かが触れ、ぐらっと世界がまわった。
お「っつてぇ…」
突然のことに構えることができなかった俺は頭は守ろうと後頭部へと手を当てた。おかげで手は痛いが頭を打つよりはいいだろう、と気を切り替え、「よいしょ」の掛け声とともに起き上がろうとした。
その瞬間。
お「っ!!!?」
さっきとは違う新たな痛みが右手に走った。反射的に地面から離したその手からは真っ赤な色をした液体がきれいな放物線を描いて壁にくっついた。
お「なんだよこれ…」
右手を見るとなんとも痛々しい線が二本。親指から手首手前。中指から手首手前まで直線に切れていた。
ふと顔を上げると奥には球体のようなものが転がっているのが見えた。あれはたぶん十四松の野球ボールだろう。薄汚れていて、今さっきの笑顔は先ほど野球をしてきたからだろうと思った。そして自分の真下にはみんなの茶碗が見事にバラバラになっているのが目に入った。
後書き
再更新しました
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