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英雄伝説~光と闇の軌跡~番外編 アリサのお見合い篇

作者:sorano
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第5話

~夕方・ミシュラム~



「なっ!?」

「シャ、シャロン!?」

シャロンの声を聞いた二人は驚いて振り向き

「うふふ、やはりアリサお嬢様はリィン様の事を男性として意識されていたのですね♪この事を会長も知ればきっとお喜びになり、お二人の仲を祝福してくださりますわ♪」

「そ、それより一体いつから見ていたのよ!?というか貴女、部屋に戻って待っているんじゃなかったの!?」

嬉しそうな表情で言ったシャロンの言葉を聞いたアリサは真っ赤な顔でシャロンを睨んで怒鳴った。

「ラインフォルトグループの未来とアリサお嬢様の未来がかかっているのですから、このシャロン、心配で心配で居ても立っても居られなかったので、会長を見送った後お二人を探し回っていたのですわ。」

怒鳴られたシャロンは心配そうな表情で答え

「絶対!嘘でしょう!………興味があったからの間違いじゃないの!?」

シャロンの答えをアリサは突っ込んだ後ジト目でシャロンを睨み

「うふふ……ご想像にお任せしますわ♪」

睨まれたシャロンは微笑みながら答えた。

「というか全然気配を感じなかったのですが………」

一方リィンは表情を引き攣らせながらシャロンを見つめ

「うふふ、ラインフォルト家にお仕えする前は”とある企業”で”執行者(レギオン)”という呼び方の役職を任せられていた身ですので。」

「なっ!?”執行者(レギオン)”ってまさか”結社”の………!?」

微笑みながら答えたシャロンの答えを聞いたリィンは驚いた後信じられない表情でアリサを見つめ

「……………ええ。リィンの予想通り、シャロンはかつて”身喰らう(ウロボロス)”の”執行者(レギオン)”だったそうよ………最もその事を知ったのは最近だけどね。」

見つめられたアリサは疲れた表情で答えた。



「………………………」

アリサの答えを聞いたリィンは口をパクパクさせ

(……大丈夫なのか?)

すぐに我に返って真剣な表情でアリサに小声で尋ね

(ええ。今のシャロンは正真正銘のラインフォルト家のメイドよ。それに”結社”は滅びたから大丈夫だと思うし。)

尋ねられたアリサは頷いて答えた。

「今は私の事よりお二方のデートの事が優先です。リィン様、次の休暇はいつ頃になるのでしょうか?」

「へ?え~と………リフィア殿下のスケジュールに変更がなければ、今の所は訓練だけだから来週の土日は休みですけど……」

シャロンに尋ねられたリィンは目を丸くした後考え込みながら答え

「でしたら来週の土曜日もこのミシュラムのテーマパークでデートされてはいかがですか?デートスポットとして有名な所なのですから、ちょうどいいかと。勿論、チケット等の手配は全て私が致します。」

「ハ、ハア………だったら、それでお願いします………」

シャロンの提案を聞いて戸惑いの表情を見せながら答え

「後で覚えていなさいよ……!」

アリサは真っ赤な顔でシャロンを睨んだ。



「―――それとリィン様。貴方のフィアンセの方の事をあまり侮っていてはその内……いえ、”すぐに”痛い目に遭いますので今後はお気を付けください♪」

「へ……それって一体どういう―――――!!」

からかいの表情で言ったシャロンの言葉を聞いたリィンが呆けたその時、ある事に気付いたリィンは血相を変え

「え?え?一体何なの??」

リィンの様子を見たアリサは戸惑った。するとその時

「………やっとお気づきになられましたか………私の気配にも気付かないくらい随分アリサさんとの話が弾んでおられたようですね?」

膨大な威圧を全身に纏ったエリゼが建物の物陰から現れてジト目でリィンとアリサを見つめながら近づいてきた!

「エ、エリゼさん……………」

「エ、エリゼ……一体いつから見ていたんだ……?というかいつの間にそんな気配を完全に隠せるような技術を……」

エリゼを見たアリサは大量の冷や汗をかき、リィンは表情を青褪めさせた状態で尋ねた。

「これもエクリア様の教育の賜物です。――――ちなみにお二人がベンチに座って話し始めたあたりからです。」

「うふふ、私はアリサお嬢様がリィン様に情熱的な告白をしたあたりからですわ♪」

「ええっ!?エ、エクリアさんってあのラウラのお父さんをも超える凄腕の剣士の人――――セリカさんに仕えているメイドの一人でしょう!?一体どれだけ凄いのよ!?」

「お、俺に聞かれても…………相当の腕利きである事は知っていたけど……………」

エリゼとシャロンの答えを聞いたアリサは驚いた後リィンに視線を向け、視線を向けられたリィンは戸惑った。



「………普段の兄様でしたら隠している私の気配に気付いていたのかもしれませんが、アリサさんとのお見合いの件で頭が一杯になっていて注意が散漫になっていたのではないですか?」

「う”……………」

絶対零度の視線で自分を見つめて言ったエリゼの言葉を聞いたリィンは大量の冷や汗をかきながら表情を引き攣らせ

「それにやはり私の予想通り、アリサさんは”家の都合”ではなく”自分の都合”で今回の縁談に臨んだようですね…………」

更に膨大な威圧を全身に纏ったエリゼはジト目でアリサを見つめた。

「エ、エリゼさん……………その………ごめんなさい!私、本当にリィンの事を男性として好きになっちゃったの!勿論、エリゼさんを優先するからその…………重婚を許してくれないかしら……?」

するとその時アリサは頭を深く下げた後、不安そうな表情でエリゼを見つめて尋ね

「…………………………………」

尋ねられたエリゼは真剣な表情でアリサを見つめていた。

「ハア……………これだとまるで私が二人の仲を引き裂こうとする悪役みたいじゃないですか…………」

そして少しの間アリサの目をジッと見つめていたエリゼは疲れた表情で溜息を吐き

「言っておきますけど、兄様の”性格”には相当苦労させられますよ?」

「アハハ………それは身を持って既に思い知っているから大丈夫よ。」

疲れた表情で言ったエリゼの言葉を聞いたアリサは苦笑しながら答えた。

「い、一体何の話をしているんだ……?」

二人の会話を聞いていたリィンは戸惑って尋ねたが

「「兄様(リィン)は黙、っ、て、い、て。」」

「ハイ…………………」

同時に膨大な威圧を纏って微笑みながら自分を見つめて言ったエリゼとアリサの言葉に肩を落として頷き

「うふふ………早速リィン様のフィアンセであられるエリゼお嬢様と仲が良くなって何よりですわ♪これならご結婚後も仲の良いご家庭を築きそうですわね♪」

その様子を見守っていたシャロンは微笑んでいた。

「フフ………アリサさんとは色々と話が合いそうな気がしてきました。」

「アハハ……同感。エリゼさんと同じ”被害者”である私も思ったわ。エリィさん達なんか、もっと大変よねえ……」

「クスクス、確かにそうですね。―――今後は”エリゼ”で結構ですよ。アリサさんの努力次第によっては”私達”と”家族”になるかもしれないのですから。」

「―――わかったわ、よろしくね、エリゼ。」

「はい。」

そして二人はお互いを見つめて微笑み合い

「??」

「フフ……………」

互いを見つめて微笑みあっている様子の2人を見たリィンは首を傾げ、シャロンは微笑ましそうに見守っていた。



「兄様。」

するとその時エリゼはリィンを見つめ

「な、なんだ。」

見つめられたリィンは冷や汗をかきながらエリゼを見つめ返した。

「もしアリサさんの事を女性として本当に好きになられたのでしたら、責任を持ってアリサさんの事も私と共に受け入れてあげて下さい。――――いいですね?」

「ええっ!?エリゼはそれでいいのか!?というか責任って何だよ………」

真剣な表情で自分を見つめて言ったエリゼの話を聞いたリィンは驚いた後疲れた表情をし

「い・い・で・す・ね?」

「ハイ……………」

膨大な威圧を纏って微笑みながら言ったエリゼの言葉に逆らえず、肩を落として頷いた。

「フフ……………エリゼ公認なら、私も遠慮する必要はないわね。」

「へ……………」

そして微笑みながら言ったアリサの言葉を聞いたリィンが呆けたその時!

「ん……………」

なんとアリサはリィンの頬に口付けをし

「!!!!!????」

「!!??」

「まあまあまあ……………!」

口付けをされたリィンは混乱し、エリゼは目を見開いた後石化したかのように固まり、シャロンは嬉しそうな表情で見守りながら一瞬の動作で懐からカメラを出してアリサがリィンの頬に口付けをしている瞬間の写真を撮った。



「そ、その………今のは私を2度も庇ってくれたお礼よ…………………唇や”その先”は私の想いに応えてくれたら、してあげるね……………それじゃあ今日は失礼するわ!」

そして湯気が出るほど顔を真っ赤にしたアリサはリィンを見つめて言った後走り去り

「うふふ、それでは私もこれで失礼しますわ♪お二方とも、御機嫌よう♪」

シャロンはスカートを両手で摘み上げて上品に会釈をした後アリサの後を追って行った。

「………………………」

二人が去るとリィンは石化したかのように固まり

「フ、フフ………先程のアリサさんの行動は完全に油断していました。まさか私の許可が出た瞬間堂々と私の目の前であんな事をしてくるとは…………………もしキーアさんの因果操作を受けずに兄様がトールズ士官学院に通っていたら、私の想いは届かずアリサさんの事を”義姉(ねえ)様”と呼ぶ羽目になっていたかもしれませんね………今度キーアさんに会った時、お礼として何か奢ってあげないといけませんね…………………」

我に返ったエリゼは膨大な怒気のオーラを全身に纏って身体を震わせながら口元をピクピクさせていた。

「―――ホテルに戻りますよ、兄様!お父様達との夕食が終わったらすぐに愛し合います!今夜は私が満足するまで寝かすつもりはありませんので覚悟していてください!」

「エ、エリゼ!?ちょっ、離せって!自分で歩くから…………!」

その後エリゼは強引にリィンの片腕を両手で引き寄せて腕を組んだ後リィンを引っ張りながらその場から去って行った。



そして1週間後………………… 
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