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真田十勇士

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巻ノ五十五 沼田攻めその十四

「敵か!?」
「敵襲か!?」
「上田から来たのか」
「そうなのか!?」
 皆戸惑い何とか陣を整えようとする、しかし。
 そこにも十勇士達の攻撃が来る、霧の中で十人の猛者達の攻撃を受け忽ちのうちに大混乱に陥った。
 それを見てだ、幸村は満足した声で言った。
「見事じゃ」
「流石は十勇士の方々ですな」
「恐ろしい戦いぶりです」
「城を囲んでいた北条の兵達が浮き足立っています」
「混乱しております」
「では殿」
「今じゃ」 
 幸村は己が控えている兵達に応えた。
「ここで攻めるぞ」
「ではこれより」
「攻めましょうぞ」
「鬨の声をあげよ」
 ここでとだ、幸村は命じた。
「それもこれ以上ないまでに大きくな」
「混乱する敵にですか」
「あえて大きな声をかけ」
「そして混乱にさらに拍車をかけさせる」
「そうするのですな」
「そうじゃ、敵をこれ以上はないまでに乱せ」 
 まさにというのだ。
「そしてそこに攻めればな」
「我等の勝ちは疑いなし」
「そうなりますな」
「ではこれより」
「一気に」
「そうじゃ、突撃でよ」 
 鬨の声を挙げたうえでとだ、こう命じてだった。
 幸村は自ら先頭に立ち二本槍を手に駆け出した、そこに真田の兵達の法螺貝と鬨の声があがり。
 兵達も続いた、その声を聞いてだった。
 十勇士達に攻められている北条の兵達はさらに戸惑った、実際に北条の兵達は幸村の兵達にも攻められ散々に倒されている、そこに霧の中で何処からかこうした声がした。
「敵じゃ!」
「真田の兵が来たぞ!」
「何千といるぞ!」
「城からもうって出たぞ!」 
 次から次に声がきた、そして。
 その声を聞いてだ、北条の兵達はさらに狼狽し。
 どうしていいかわからなくなった、そこにだった。
「退け!」
「退くのじゃ!」
「城の囲みをとけ!」
「この城から去れ!」
「帰るのじゃ!」
 こうした声にだ、多くの者は疑わず。
 一気に退きだした、そこにだった。
 幸村は兵達にだ、今度はこう命じた。
「よいか、今度はじゃ」
「追撃ですな」
「そうしてですな」
「敵を徹底的に叩く」
「そうするのですな」
「そうじゃ、今は攻めておるが」
 それに加えてというのだ。
「そこにじゃ」
「さらにですな」
「攻めて敵を倒しですな」
「沼田に二度と攻められぬ様にしますか」
「そうじゃ、拙者がいいというまで攻めよ」 
 まさにというのだ。 
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