歌集「春雪花」
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
264
想い留め
心ぞ痛み
侘び濡れて
この世の外に
いつぞ参りし
想いを伝えることは出来ず…その想いは…なぜ伝えないのだと叫ぶ…。
彼に会えない時間は私の心を…まるで針を刺すように痛めている…。
彼のことを考え続けても仕方無いことだとは知りつつも…彼のことを考えてしまう…。
あぁ…私はいつ死ぬことが出来るのか…。
いつ…この痛みから開放されるのか…。
溜め息を
つきてや幸も
絶え果てて
鳴くや秋虫
恋ぞ侘しき
溜め息をつけば幸福が逃げると言うが…では、私の幸福なぞ疾うに無くなっていることだろう…。
彼を想い…毎日溜め息をついているのだから…。
夕の涼風に秋虫は鳴き、夏の終わりを実感させる…。
きっと…この恋も同じ…。もう仕舞いにせよと言っているのかも知れない…。
実ることのない恋…告げることの憚られる想い…どうすれば良いのだろう?
侘しいだけの今を…どうすれば良いのだろう…?
ページ上へ戻る