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夏はざま

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第二章

「じゃあね」
「ああ、一緒に行こうな」 
 彼は私に楽しく笑って言ってくれた、そしてだった。
 私達は彼の運転する車でそのホテルに向かった、同棲している部屋から出て。
 私は車に自分の荷物を詰め込みながら麦わら帽子を被ったまま空を見上げて言った。
「いいお天気ね」
「ああ、本当にな」
「夏のお空ね」
「青くて奇麗でな」
 彼も自分の荷物を車の中に入れながら空を見上げて言った。
「白い雲が多少あってな」
「いい感じね」
「この空の下でな」
「海にプールにビアホールに」
「夏祭り楽しもうな」
「全部ね」
「じゃあ行くか」
「これからね」
 こう二人で話してだ、そしてだった。
 私達は出発した、私は助手席に乗った。
 まずはドライブを楽しんだ、青空の下高速道路を進む私達はもう絶頂だった。車からは夏のBGMが聴こえてくる。
「チューブね」
「夏だからな」
「あなた夏はいつもチューブよね」
「いいだろ」
 運転しながら私に笑って言って来た。
「夏らしくてな」
「まあ夏のグループなのは確かね」
「こうしてチューブの曲を聴いてな」
 そのうえでというのだ。
「ドライブを楽しんでからな」
「ホテルに行くのね」
「そうしような」
「朝早く出たから」
「お昼にはホテルに着くな」
「そうよね」
「じゃあホテルに着いたら」
 彼はとても楽しそうにだ、私に言った。
「早速着替えてな」
「水着にね」
「海とプールだな」
「それで夜はお祭りで」
「ビアホールで飲もうな」
「夏を満喫ね」
「二人で」
 こうしたことをだ、私達は笑顔で話した。そして。
 左に海が右に山が見える高速道路をスピードを出して進んだ、ホテルに着いてチェックインまで幸せな気分のままだった。
 けれどお部屋リゾート地にあるのに相応しいそのお部屋に入るとだ。
 私はお部屋の窓を見てだ、一緒にいる彼に言った。
「天気が怪しくなってきたわよ」
「あれっ、今さっきまで晴れてたのにな」
 荷物を置きながらだ、彼も窓の外を見て言った。青い海の上のお空がだ。
 急に曇ってきていた、それもどんよりとした黒くて重い雲にそうして。
 あれよこれよという間に雨が降りはじめた、それも大雨だ。五月蝿いまでの音が聞こえるその雨を見てだった。
 私は彼に顔を向けてだ、こう尋ねた。
「海、行けると思う?」
「プールもだよな」
「どう思うの?」
「無理だろ」
 彼は私にすぐに答えた。
「やっぱりな」
「そうよね」
「この土砂降りじゃな」
「海にプールだからどっちにしても濡れるけれど」
「泳げたものじゃないな」
「そうよね」
「ビアホールもお祭りもな」
 その二つもというのだ。 
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