英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第168話
~象の領域・最奥~
「う、嘘でしょう!?」
「な、何でまだ立ち上がれるの!?」
ヴァルドの様子を見たアリサとエリオットは信じられない表情で叫び
「なんて人だ…………!」
「まさか……これも”グノーシス”の力なの!?」
ヴァリマールに搭乗しているリィンと地上にいるサラは厳しい表情でヴァルドを睨み
「もう既に体力は尽きているはずなのに……!」
「ヴァルド!もう諦めてよ~!」
エリゼは不安そうな表情で呟き、キーアは心配そうな表情で叫び
「……それにとてつもない邪悪なる”気”がどんどん高まって行っているぞ………!」
「……いけません!あのままだと完全に”魔”に墜ちてしまいます!」
ガイウスは真剣な表情で呟き、エマは血相を変えて叫び
「ええっ!?そ、それってまさか……!というかこの状況ってあの時と同じ……!」
「ああ……エステルちゃん達が”太陽の砦”で対峙した”D∴G教団”のヨアヒムみたいに”手遅れ”になるで……」
「そうなってしまえば、もう”彼”を救う事は…………」
エマの言葉を聞いたエステルは驚き、ケビンは頷いて重々しい様子を纏って答え、リースは複雑そうな表情で呟いた。するとその時ワジが一歩前に出てヴァルドを見つめ
「本当ならあの雨の日……こうしておくべきだった。全力と言いつつ……君の身を案じてしまった。」
複雑そうな表情で語った後、全身に膨大な金色の聖なる”気”を纏った!
「………!?」
全身に金色の聖気を纏ったヴァルドは驚き
「星杯の騎士でも、”聖痕”の持ち主でもなく……テスタメンツのリーダー、ワジ・ヘミスフィアとしての最高の一撃をお見舞いするよ。君と初めて会った時みたいにね。」
ワジは静かな表情で答えた後、口元に笑みを浮かべた。
「クク……カカカ…………」
一方ヴァルドは凶悪な笑みを浮かべて笑い始め
「上等だ……!返り討ちにしてやらあああッ!!」
大声で叫び
「オオオオオオオオオッ!!」
真っ二つに折れた棍棒をワジ目掛けて叩きつけた!
「!!」
しかしワジは軽やかに後ろに後退してヴァルドの攻撃を回避した後跳躍してヴァルドが地面に叩きつけた棍棒に乗り
「………………ぁ………………」
自分が叩きつけた棍棒に乗っているワジを見たヴァルドは呆けた。
「おやすみ(グーテナハト)――――」
そしてワジは静かな笑みを浮かべて呟いた後ヴァルドの胴体の部分に武具を装着した拳で目にも止まらぬ速さで怒涛の連続攻撃を放ち始めた!
「オオオオオオオ…………ッ!?」
ワジの怒涛の攻撃を受け続けているヴァルドは呻き、連続攻撃の最期にワジはサマーソルトキックを放ってヴァルドを地面に膝をつかせ
「おおおおおッ…………!」
片手に膨大な聖気や闘気を纏わせて強烈なアッパーを放ってヴァルドを吹っ飛ばし、吹っ飛ばされたヴァルドは地面に仰向けに倒れた!
「あ…………」
「やったか……!」
その様子を見たキーアは呆け、リィンは明るい表情をした後、ヴァリマールから降りた。そしてヴァルドは元の人間の姿に戻った!
「元の姿に…………!」
「……本当によかったです。」
人間の姿に戻ったヴァルドを見たエステルは明るい表情をし、リースは安堵の溜息を吐いた。
「……クク……トドメまであの日と同じとは……ザマぁねぇな……本当に……」
地面に倒れたヴァルドは身体をおこして口元に笑みを浮かべてワジを見つめ
「まあ、魔人化した状態じゃあそこが限界ってことだろう。君の”力”を扱うセンスは本物だと思うし……ちゃんと修行を積んだらさらに強くなれると思うんだけどね。」
ヴァルドに見つめられたワジは疲れた表情で答えた後静かな笑みを浮かべた。
「フン…………言われなくても……足掻いてやるぜ……ワジ……いつかテメエを這いつくばらせるためによ…………だが……今回だけは……負けを認めて……やらぁ………」
ワジの言葉を聞いたヴァルドは鼻を鳴らした後静かな笑みを浮かべて答え
「それと……オイ…………あのガキに似たテメエ……」
キーアに視線を向けた。
「あのガキの姉かはどうかは知らねぇが…………あのガキが景気悪いツラしてんのは……気に喰わねぇ…………あのガキを助けたいのなら…………せいぜい……気張んだな……」
「ヴァルド…………うんっ!ありがとう!」
目を細めて呟いたヴァルドの話を聞いたキーアは驚いた後笑顔で頷き
「アハハ…………やっぱり”レイヴン”の連中と色々似ているわね…………」
「ハハ……確かにそうやな。彼を見ていると彼らやアガットさんを思い出すな~。」
エステルとケビンは苦笑し
「…………クク…………」
キーアの笑顔を見たヴァルドは口元に笑みを浮かべた後気絶して地面に倒れた!すると周囲の鳴り響く雷はなくなり、荒野の所々に迸るエネルギーも消滅し、ワジ達の目の前に転移魔法陣が現れた!
「ふう…………」
ワジは疲れた表情で溜息を吐き
「……お疲れ様です、ヘミスフィア卿。」
リースは静かな表情でワジを見つめてワジを労った。
「フフ……さすがに疲れたかな。」
リースの言葉に静かな笑みを浮かべて答えたワジだったがすぐに地面に膝をついた!
「ワジ君……!?」
「だ、大丈夫なの……!?」
ワジの様子を見たエステルは驚き、アリサは不安そうな表情で呟き
「無理もありません……あれほどの”力”を使ったのですから……」
エマは心配そうな表情で呟いた。
「はぁ……”聖痕”の力を使うと……どうしても反動があってね……さすがにちょっと……飛ばしすぎたかな……?」
「……無理もないわ。あんな巨大な相手を制圧したんだから。」
疲れた表情で答えたワジの話を聞いたサラは真剣な表情で呟き
「……まあ、無茶さ加減で言えばケビンと比べれば天と地の差かと。」
「ぐっ……リ、リース…………………」
目を伏せて呟いたリースの言葉を聞いたケビンは唸った後表情を引き攣らせ
「……大丈夫なのか?」
ガイウスは真剣な表情で尋ねた。
「まあ、何とかね…………―――よっと。」
そしてワジは立ち上がってケビン達を見つめ
「多分これで、この”領域”を解放した事になるはずだ……ヴァルドは後で回収するとしていったん門のところに戻ろう。」
真剣な表情でケビン達に提案した。
「はぁ~………恐かった~………………僕達は何とか無事に勝てたけど……………ラウラ達は大丈夫なのかな……?」
「ロイドさん達と一緒に戦うフィーちゃん達の相手は相当危険な相手だそうですものね……」
「……今はラウラ達の事を信じるしかないわ。」
ワジの提案を聞いて安堵の溜息を吐いた後不安そうな表情で呟いたエリオットとエマの言葉にアリサは静かな表情で答えた。
そしてワジ達は転移魔法陣に乗って転移した………………
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