サトシ「25歳」〜理想と現実の先にあるもの〜
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孵化施設〜敷地内にて
ザッザッザッ(ホウキ)
職員:「おはようございますっ」
サトシ(作業員):「おはようございますっ」
サトシは出勤する職員に 挨拶を
交わしながら外の掃除をしていた。
サトシ(この前観察に来た時は
孵化したポケモン達の声が聞こえたのに
今日は聞こえない、、、。
みんなモンスターボールに入れられたのか)
広い敷地なのにも関わらず、
孵化施設にポケモンの気配は無く、
まるで”もぬけの殻”になっていた。
サトシ:(中の様子はどうなってんだ?)
建物内の様子が気になり、サトシは
外から職員の会話を盗み聞きする事にした。
サトシ:(窓が開いてる、、、。
ここが事務室だなっ)
外から中の様子を覗き見するサトシ。
施設長:「えー、、今日からこの孵化施設は、
シルフの下で運営する事になりました。」
サトシ(今発言したのが施設長か、、)
施設長:「この施設での勤務は〜、、
今日で終了ですっ、、、。
皆、今までよく頑張った!」
職員A:「施設長、、」
職員B:「施設長、、、」
サトシ(みんな声が沈んでる、、、。
、、くっ!シルフの奴らめ!)
サトシは、社員から日常を奪った
シルフに憤りを感じた。
施設長:「後にシルフの社員がポケモンを
受け取りに来るが、皆は事務仕事に
専念してくれっ」
女性職員A:「グスンっ、、シェルダー、、、」
女性職員B:「ロコン、、グスッ」
愛情を込め、今まで見守ってきた
ポケモン達と別れるのが辛いためか、
泣いている職員も何人かいた。
サトシ(大事なポケモンと
別れるって、、辛いよな、、、。
事が全て終わったら、ポケモン達を
この人達にちゃんと返そう、、、。
シェルダーとロコンがいるのか)
主任:「しっかりしなさいっ!
あなた達がそんなんじゃ、ポケモン達が
安心してここから離れられないでしょ!?
ポケモン達に、”行ってらっしゃい”って、、、
この施設の職員なら、
最後はちゃんと笑顔で送り出しなさい!、、ッ」
サトシが目の方向を変えると、
気の強そうな中年の女性かいた。
サトシ(あの人、上司かな?)
女性職員A:「主任、、、」
女性職員C:「主任はこれでいいんですか!!
あたし達みんな、今まで愛情を込めて
育ててきたんですよ!?それなのに、、、
それなのに、あたし達の気持ちも
知らないで勝手にポケモン達を奪ってく
シルフを許せるんですか!!」
職員C:「施設長!主任!、、俺達
納得いきませんよ!!」
職員D:「ポケモンの保護なら、
俺達にだって出来るじゃねぇか!!
シルフがなんだ!元四天王がなんだ!!」
施設長:「、、、」
主任:「、、、」
サトシ(主任、、、何か言ってくれ!)
職員E:「ちきしょう!!シルフの奴ら!
ポケモン達を取りに来てみろ!
トラックごと俺がぶっ飛ばしてやる!!」
ガチャッ(訓練様ハイドロポンプ大砲)
サトシ(!!)
職員がポケモン訓練用の機械を取り出した。
パーーン!!(ビンタ)
職員E:「!?」
主任:「馬鹿な真似は止めなさい!!」
職員全員:「、、、、、」(唖然)
主任:「、、、下ろしなさい。」
サトシは盗み聞きするだけの
つもりだったが、現状からして
まるでドラマを見ているようだった。
主任:「私だって、
ガルーラと離れるのは辛いっ」
職員E:「主任、、、」
サトシ(、、そっか、、、。
主任も辛いんだな、、、えっ?ガルーラ?)
主任:「、、、でも大丈夫よっ。これは
一生のお別れじゃない、、、シルフに行けば、
いつだってポケモン達に会えるわ。
、、、私達はポケモン達の事を絶対忘れないし、
ポケモン達も絶対に、私達の事を忘れはしない。
、、、私達の絆は、シルフなんかに
断ち切られたりしないわ、、、」
サトシ(主任、、、)
施設長:「ミドリ主任の言う通りっ。
我々とポケモン達がここで過ごした日々は、
決して心から消える事はない、、、。
我々はポケモンから”生命を愛する事”を学び、
ポケモン達も又、”人に愛される事”を学んだ。
そして学んだものや過ごした日々は
互いに胸の中で思い出という心の柱となり、
これからを生きて行く為の、
人生の支えとなるだろう、、。」
職員E:「施設長、、、、、、、はい!」
サトシ(施設長、、、)
施設長:「じゃあミドリ主任、頼むっ」
主任:「はいっ、、、さぁみんな!
最後の勤務、笑顔で頑張るわよ!!」
職員一同:「はいっ!!」
職員達は、ダンボールにモンスターボールを
詰め始めた。
サトシ(孵化施設の皆さん、、、
ここのポケモン達は絶対、シルフなんかに
渡しはしない、、、俺が、、俺達が守る!
必ず返しに来ますから!)
ダッ!
サトシはその場を去り、
トラックが到着する場所に向かった。
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