Three Roses
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第十二話 孤独の者その四
「ですから」
「太子と協力して」
「そしてマイラ様にこの国の主になって頂きますか」
「玉座に就いて頂く」
「そうしてもらうのですね」
「そうです、次はマリー様と言われていますが」
王の次はだ、しかしというのだ。
「それをです」
「変えますか」
「何としても」
「太子とも協力して」
「そうして」
「そうします、マリー様には優れた者達が近くにいますが」
新教徒のだ、ロドネイ公達のことであることは言うまでもない。
「しかしです」
「そうした方々も出し抜き」
「マイラ様に王位に就いて頂く」
「女王ですね」
「そうなって頂くのですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「この国の旧教徒、正しい信仰の為にも」
「では、ですね」
「我々もその為に動きべき」
「そうなのですね」
「はい」
その通りという返事だった。
「諸卿にお願いしたいですが」
「わかりました、では」
「それではです」
「我等もその思いを一つにしてです」
「動かせて頂きます」
「旧教の為に」
他の旧教の諸侯達もオズバルト公に応えた、そのうえで彼等は誓いの為にそこにいる全ての者の血を一つの杯に入れて回し飲みをした。
それが終わってからだ、オズバルト公はその血に塗れた唇で言った。唇だけでなく口元の髭までそうなっている。
「この誓いは絶対です」
「血の誓い」
「そうであうが故に」
「それはわかっています」
「我々も」
「ではです」
こう言うのだった。
「共に」
「マイラ様をこの国の女王に」
「我等の主を」
他の諸侯も口々に言う、彼等は今秘密の誓いをした。
そのうえでだ、オズバルト公は太子との面会を希望した。太子はその希望を聞いてまずはにやりと笑った。
そのうえでだ、自身の側近達にこう言った。
「こちらとしてもだ」
「願ってもないですね」
「申し出ですね」
「待っていましたし」
「むしろこちらこそと思っていましたね」
「そろそろと思っていた」
太子の方でもというのだ。
「正式に深くだ」
「手を結びたいと思っていましたね」
「お妃様をこの国の主にする為に」
「旧教徒同士として」
「手を結びそのうえで、ですね」
「力を強めると」
「いい申し出だ、ではな」
太子は既に決断を下している顔だった、その顔での言葉だ。
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