聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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107部分:第十二話 ベルゼブブのカナンその八
第十二話 ベルゼブブのカナンその八
「精々派手に冥界に叩き込んでやるぜ」
「冥界にか」
「伊達に黄金聖闘士じゃないんだ」
そのことに誇りを見せている。それは間違いなかった。
「今やってる奴等も。これから戦う奴等も俺一人で叩き潰してやるぜ」
「期待している。その力にな」
「力こそが正義さ」
今度はうそぶいていた。
「それもはっきりと見せてやるぜ、俺の前に立ちはだかる奴にはよ」
「わかった。それでだ」
「んっ!?」
「まだいるな」
ふと思い出したようにしてデスマスクに言ってきたのだった。
「どうやらな」
「おっ、そういえば」
デスマスクもおどけた調子でそれに返す。
「まだ雑兵が山みてえに」
「ジャミアン達が随分相手にしている筈だが」
「新手ってやつでしょ」
自分達の周りに出て来たインプ達を見つつ述べる。
「よくあるパターンで」
「そうか」
「さて、それじゃあ」
デスマスクの方から声をあげてきた。
「先に言っておいてくれていいぜ」
「残念だがもう包囲されているが」
「じゃあ。そこにいてくれ。俺が片付けておくからな」
「御前一人でか」
「任せておきなって」
楽しそうに笑いながら一歩前に出てみせた。
「こうした連中にはな。おあつらえ向きの技があるんだよ」
「では。任せるぞ」
「その方が嬉しいね。おい雑魚共」
サガの言葉を受けつつインプ達に対して声をかける。
「覚悟はできてんだろうな、おい」
「何ィ!?キャンサーだな」
「その減らず口は」
「減らず口ってのは実力のねえ奴が言う台詞だ」
そのインプ達にまた述べた。
「それはよく覚えておきなよ。あの世で役に立つぜ」
「おのれ、リノ様達の仇が!」
「カナン様が去られても我等がいるということを忘れるな!」
一斉に前に出てデスマスクに殺到してきた。
「ここで貴様を討てばそれだけ!」
「聖域の戦力が!」
「減るのは手前等だぜ」
デスマスクの右手の人差し指に不気味な光が宿っていた。
「このデスマスクのこの技でな」
「むっ!?」
「何を使うつもりだ」
「青い炎か!?それとも」
「爆発か」
「それでもいいんだが今回は違うぜ」
余裕の笑みと共に彼等に告げた。
「とはいっても前にも使ってるんだがな。手前等それ位調べておくんだな」
「この数を前にして小手先の技ならば!」
「何の意味もないことを知れ!」
「また一つ言っておくぜ」
ここでもデスマスクの余裕は変わらない。
「俺達黄金聖闘士はな、手前等がどれだけいようが平気なんだよ」
「まだ言うか!」
「じゃあ今から見せてやるぜ」
人差し指の光がさらに強まった。そして。
「受けな、このデスマスクの技の一つ」
最早その顔には今までの軽いものはなかった。
「積尸気冥界波!」
技の名前を叫ぶと共に指から光が放たれた。そうしてその光がインプ達を撃っていく。一瞬のきらめきが終わったその後には技を放ったデスマスクとサガ以外には誰もいなかった。
「じゃあ、帰るか」
「積尸気冥界波か」
サガは動かなくなったインプ達を見下ろしつつ今のデスマスクの技の名を呟いた。
「恐ろしい技だな。これだけの数の相手を一度に葬り去るとはな」
「あんたもそうだと思うがな」
「恐ろしい男だ」
デスマスクの言葉には返さずに彼を称賛してみせた。
「味方とはいえな」
「それは俺の台詞なんだがな」
マントを翻し歩きだす。サガに背を向けた時に言った言葉だ。
「あんたとは。やり合いたくはねえな」
「黄金聖闘士ならばお互いにな」
「そういうことだな」
今度はにこりともしていなかった。
「もっとも。最強はこの俺、デスマスク様だがな」
「その自信は買おう」
最後は笑顔だった。かくしてドイツでの聖闘士と狂闘士の戦いは終わった。しかしそれで終わりではなかった。戦いはまだ続くのだった。
第十二話 完
2008・9・19
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