『零と先輩』
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『脱走』
零は脱走を決めた。
卒業式に出れんとなると先輩にも逢えん。
逢えんまんまサヨナラはしたくなかった。
夜の見回りが終わってから窓から脱走した。
全力疾走。
大人や社会に縛られた生活をしてると、その世界が総てだと錯覚してしまう。
離れたら二度と逢えんって思ってしまうくらいに怖い。
もう、今迄の関係が消滅してしまうかのような恐怖が襲う。
公衆電話から先輩の携帯電話にかける。
繋がった。
先輩は単車ですぐ迎えに来てくれた。
でも、連れて帰られるのも時間の問題。
施設近辺での人間関係...先輩の家には最初に職員が来るのは安易に予想が付く。
学校でも監視されてるし、学校も住んでる地域も同じで関係性が在るのは先輩だけ。
生活指導は絶対此処に来る...。
先輩は県外の専門に行く。
進路を邪魔したくない。
その上、零のせいで卒業も危うくなるとか絶対嫌。
絶対巻き込みたく無い。
先輩に逢いたいと想った事を後悔した。
自分のバカな行動に後悔した。
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