英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第150話
~オルキスタワー・屋上~
「…………………………」
一連の流れを見ていたロイドは口をパクパクさせ
「に、二大国に同時侵攻の上、エレボニアの”四大名門”の本拠地であるバリアハートとルーレにエレボニア帝国の屋台骨であるザクセン鉄鉱山を同時に制圧するなんて滅茶苦茶だわ……!」
「ですがわたし達の目の前にあるあんなとんでもない兵器があれば、そんな滅茶苦茶な事も可能になるのでしょうね……」
エリィは厳しい表情で呟き、ティオは不安そうな表情でカルバード、エレボニア方面に向かって行く魔導戦艦達を見つめて呟き
「…………あんな兵器が猛威を振るえば二大国は焦土と化すぞ…………」
「ヴァイスさん達の事だから、さすがにそこまではしないと思うけど…………」
ツァイトは厳しい表情で呟き、セシルは不安そうな表情で呟いた。
「―――で、貴方達はどうするのかしら?あの”大樹”に行くつもりなのでしょう?」
その時エルファティシアは静かな表情でロイド達を見つめて尋ね
「…………ええ。あそこにはキーアがいます。何としても取り戻さないと。」
「俺は叔父貴と決着を付ける必要があるしな。」
「私も……同じです。」
「ま、僕もいい加減ヴァルドと決着をつけてあげないとね。」
尋ねられたロイドは答え、ロイドに続くようにランディ、リーシャ、ワジはそれぞれ答えた。その時誰かのエニグマが鳴りはじめた。
「っと、僕か。……―――ああ、ケビンか。…………」
するとワジがエニグマで通信を開始した。
「あの…………エルファティシアさん。私達が大樹に行っている間、クロスベルの復興を貴女達に任せても大丈夫でしょうか……?」
その時エリィは不安そうな表情で尋ね
「ええ、安心しなさい。前にも説明したと思うけど、私はかつて”王”を務めたから大丈夫よ♪」
「まあ、それを言ったらこの私とてかつては王族。領地の経営、復興など簡単すぎるわ。」
「私もかつては”女王”を務めた者……………必ずやこの地に住む人々の心を一人でも多く癒し……荒れたこの地を復興させるつもりです。」
「同じく私も我が王―――エルファティシア様の跡を継いだ者。協力し合ってこの地を復興させるつもりです。」
尋ねられたエルファティシアは答え、エルファティシアに続くようにフェルアノ、マルギレッタ、メイメイが答えた。
「ええっ!?」
「王族に”女王”が三人って…………」
「しかもその人達がみんな、”将”扱いだなんて…………」
「つくづくヴァイスさんの人脈の凄さを思い知らされますね…………さすがは元王族ですね。」
エルファティシア達の答えを聞いたロイドは驚き、ランディは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、エリゼは信じられない表情になり、ティオは疲れた表情で呟き
「フフ……王族である事はあまり関係していませんけどね。」
「皆さん…………戦争中のさまざまな事情によって……ご主人様の仲間となられましたから……」
リ・アネスは苦笑し、ミスティは微笑みながら答えた。
「………どうやら今後はエルファティシア達と連携する必要がありそうだな…………――――やはりお前達はあそこに行くのか?」
セルゲイはエルファティシア達を見つめて呟いた後ロイド達を見つめた。
「ええ、もはや警察の仕事とは言えないかもしれません……ですが、キーアと全ての真実があそこで待っている以上、俺には放っておけません。」
「……私もです。ベルを止めないと…………」
「まあ、ここまで来たら一蓮托生は当然かと。」
「叔父貴たちも手ぐすねひいて待ってるみてぇだしな。」
「あたしも……付きあわせてください!」
「ま、メルカバを提供するんだし、僕も付きあわせてもらうよ。ああ、それと…………ケビン達やエステル達も手伝ってくれるってさ。」
「……私も”彼女”と決着を付ける必要があります。私自身のけじめのために……」
「……マクレインとイアン先生の両名については詳しい事情聴取の必要もあります。私も同行するつもりです。」
「……かつて支援課に所属していた者として、最後の務めを果たします。」
「……私も最後まで付きあわせてもらうつもりです。それが主の願いであり……今まで兄様を世話をしてくださった支援課の皆様の恩返しになるのですから。」
「……私もアリオスさんからガイさんの事について聞く必要がありますから、ロイド達に着いて行きます。」
「……当然私も力を貸す。何せ女神自身も力を貸しているのだしな……」
「……私達ディオン姉妹も当然力を貸すつもりです。」
「だって、あたし達も”特務支援課”の一員なんだから!」
「必ずやキーアさんを奪還してみます……!」
「キーアも勿論ロイド達と一緒に行く……!それがキーアのロイド達への”贖罪”であり……”恩返し”でもあるんだから……!」
セルゲイに見つめられたロイド達はそれぞれ決意の表情で答えた。
「クク……止めても無駄そうだな。――――市内とタワーの方は任せておけ。エルファティシア達と連携を取って、クロスベルを復興するつもりだ。お前達はお前達で納得できるまでやって来い。」
そしてセルゲイは口元に笑みを浮かべて呟いた後ロイド達を見つめて呟き
「『特務支援課』として……何よりもお前達自身として!」
号令をかけた!
「はい……!」
セルゲイの号令にロイド達はそれぞれ答えた!
「それじゃ、ワジ。早速メルカバを呼んでくれないか。」
「オーケー。」
号令に答えた後自分を見つめて言ったロイドの言葉にワジが頷いて行動をしようとしたその時
「ねえ、みんな………せめて今日だけは…………おじさまを弔ってあげない…………?」
エリィは複雑そうな表情で無惨な姿となったディーターの死体を見つめて言った。
「あ………………」
「………………そうだな。」
エリィの言葉を聞いたティオは呆け、ランディは重々しい様子を纏って頷いた。
「フウ…………相変わらずどんな甘いお菓子よりも甘くてその甘さで”神殺し”や”姫神”をも救ったエステル並のお人好しねえ、お兄さん達は。」
その様子を見たレンは呆れた表情で溜息を吐き
「レン……!」
「ディーターさんを直接手に掛けたレンさんが言うのはさすがにどうかと思いますが……」
レンの言葉を聞いたロイドは怒りの表情でレンを睨み、ティオは真剣な表情でレンを見つめて言った。
「――――言っておくけど、レンはディーターを殺した事に罪悪感は感じていないし、謝るつもりはないわよ。レンは”教団”の犠牲になった”みんな”の仇討ちとレンの人生を滅茶苦茶にした”教団”の黒幕の一人であるディーターに”裁き”を与えたんだから。」
「「…………………………」」
「レン姫………………」
(エリィにとっては複雑だろうな……親しい人を殺した人が知り合いの上、合法による殺害だなんて…………)
静かな表情で答えたレンの言葉を聞いたエリィとティオは複雑そうな表情で黙り込み、エリゼは複雑そうな表情でレンを見つめ、リィンは目を伏せて黙り込んでいた。その後エステル達に事情を説明し、エステル達と共にディーターを埋葬した。
~クロスベル大聖堂・墓場~
「何もエイドス御自らが彼の為に祈る必要はないと思うのですが……」
ディーターの墓の前でロイド達が集まっている仲、ケビンは複雑そうな表情でエイドスを見つめて言い
「―――こうなってしまったのもクロイス家の者達に”至宝”を託した私の責任でもあります。せめて彼の為に祈るくらいは私がすべきです。」
「………………ありがとうございます。」
「空の女神自らに天に行く事を見送られるなんて、本来なら最高な形だね……まあ、クロイス家にとっては皮肉かもしれないけど。」
目を伏せて言ったエイドスの言葉を聞いたエリィは会釈をし、ワジは複雑そうな表情で呟いた。
「――――天の門よ、彼の御魂の為にその門を開け………………そして彼の御魂に安息が訪れますように……………」
そしてエイドスはその場で強く祈り、ロイド達も黙祷をした。その後ロイド達は今日は休み、明日に準備を整えて……翌日、大樹に向かう事にし、それぞれ一端解散する事にした…………
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