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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第143話

その後オルキスタワーの攻略を開始したロイド達は数人を待機メンバーに残した後20Fまではエレベーターで行けたが、そこからはセキュリティーによって昇れなくなっていた為、20Fからは徒歩で昇っていく事にし、魔導技術によって創られたタワー内を協力して昇って行き、ついに制御室に到着してタワーの制御をある程度解除できた後、非常階段で36Fへと昇り、フロアに出た。



~オルキスタワー~



「着いたか……」

「主任の話だと、かなりの人がフロアにいるみたいだけど……」

フロアの周囲を見回したロイドとエリィが呟いたその時

「お、お前達は……!?」

ピエールが研究者と共に部屋を出てロイド達に近づいてきた。

「ふ、副局長!?」

「なんだ。見かけないと思っていたがこんな所にいたのか。」

ピエールを見たロイドは驚き、ヴァイスは目を丸くし

「どうしてここに……」

エリィは不思議そうな表情で尋ねた。

「そ、それはこちらの台詞だ!私はその……昨夜出された戒厳令について長官に問い合わせに来たんだ。そしたらそのまま拘束されてこちらのフロアに………」

「そうだったんですか……」

ピエールの話を聞いたエリィは疲れた表情をし

「ほう?ただの腰巾着かと思っていたが、そんな事をする度胸があるとはな。見直したぜ。」

「フッ……俺の人を見る目もまだまだだな……」

ギュランドロスは興味深そうな表情をし、ヴァイスは静かな笑みを浮かべ

「まあ……副局長さんの事はガイさんから聞いていましたけど、そんな行動を取るとは思いもしませんでした。」

「フム。さすがにそんな行動を取れるとは私も予想していなかった。強い者に媚びるだけしかできない軟弱者ではなかったようだな。」

「いや、なんつーか、ちょっと意外ッスね。」

「この状況で上に問い合わせる度胸を持っているなんて予想外でした。」

「今まで誰かのコシギンチャクだったのに、カッコイイね、ピエール。」

セシルは目を丸くした後微笑み、ツァイトは感心し、ランディとリィンは口元に笑みを浮かべ、キーアは無邪気な笑みを浮かべ

「フフ………皆さん、そんな風には言っては駄目ですよ。」

5人の言葉を聞いたエリゼは微笑みながら言った。

「ど、どういう意味だねっ!?第一君達は、国防軍から指名手配されていたはずだろう?しかも行方不明だった局長や司令どころか、イーリュンの信徒達まで一緒になって…………局長、司令!これは一体どういう事ですか?数日前のあの宣言は本当なんでしょうか!?警察や警備隊の局長や司令はどうされるおつもりなんですか?」

「まあ、色々あってな。」

「俺達が抜けた後の後任については後でちゃんと任命するから安心しておきな。」

ピエールに尋ねられたヴァイスは静かな笑みを浮かべ、ギュランドロスは口元に笑みを浮かべて答えた。

「そちらのあなたは……IBCの技術部にいた?」

一方研究員に気付いたティオは尋ね

「ああ……研究員のダビッドさ。俺も昨日、マリアベルお嬢さんから技術部の解散を伝えられてね。相棒もいないし、呆然としていたらこのフロアに連れてこられて……」

尋ねられた研究員―――ダビッドは答え

「………まずはお互いの状況を確認した方が良さそうですね。」

エリゼはロイド達を見回して提案した。その後ロイド達はピエールたちが待機していた部屋で軽く状況を説明した。



「そ、そんな事になっていたとは……独立国の無効宣言や局長達の宣言以来、雲行きが怪しいとは思ったが………」

状況を聞いたピエールは信じられない表情をし

「ど、どうしてこんな事に……」

「何だか悪い夢でも見ているような気分です……」

周囲の人物達は驚きの表情をし

「あ、あの………ヴァイスハイト局長、ギュランドロス司令。ディーター総裁やマリアベルお嬢様を処刑するという宣言は本当なのでしょうか……?」

IBCの受付嬢は心配そうな表情でヴァイス達に尋ね

「当然処刑に決まっているだろう!大陸中を混乱に陥れた上、赤い星座や結社と繋がっていた挙句、大昔からD∴G教団に支援し、影から操っていたあの二人を絶対に生かしておくわけにはいかねえ!」

「クロイス家の財産は”クロスベル帝国”が全て没収、お前達IBCはクロスベル帝国が”管理”する事になる。今後の方針についてはクロスベル帝国を建国した時に連絡する。」

「なお、メンフィル帝国もディーター・クロイス並びにマリアベル・クロイスの討伐は決定事項です。」

「IBCの方達には申し訳ないがIBCの創設者たるクロイス家直系の者達を全員処刑することは決定事項です。」

尋ねられた二人は厳しい表情で答え、二人に続くようにエリゼとリィンも厳しい表情で答え

「そ、そんな………IBCは一体どうなるんですか……?」

「ランフィさん………………………」

二人の答えを聞いた受付嬢は表情を青褪めさせ、その様子をエリィは複雑そうな表情で見つめ

「…………………そういえばクレイのやつはロバーツ主任に協力してるのか。どうりで、2,3日前からタワーへのハッキングの仕方が更に巧妙になってたわけだ。」

複雑そうな表情で黙り込んでいたダビッドは気を取り直して答えた。

「それで………副局長。結局、このフロアに大統領サイドの関係者は?」

「う、うむ……大統領やマリアベル嬢はもちろん、国防長官や猟兵どももいない。それに……君達の所にいたあの娘もな。」

エリィの質問にピエールは重々しい様子を纏って答えた。

「……そうですか………」

「一体どのフロアに……」

(勝てないと判断して逃亡したのかしら?)

ピエールの答えを聞いたロイドは残念そうな表情をし、エリィとルファディエルは考え込み

「キー坊たちが今どこにいるかについても勿論教えてくれないんだよな?」

ランディは真剣な表情でキーアに尋ね

「…………えっとね……………”マリアベル達は”今オルキスタワーにいない事は確実だよ。」

キーアは複雑そうな表情で答え

「一体どこにいるのかしら………?」

「まさか逃亡したのか……?」

キーアの答えを聞いたセシルとツァイトは考え込んだ。

「………とりあえず主任からの連絡を待つべきかと。現在、大急ぎで上層エリアを調べてくれていると思います。」

その時ティオが提案し

「その間にこのフロアにいる人達を確認して行こう。何か知っている人がいるかもしれないし。」

ティオの提案を聞いたリィンも提案し

「………そうだな。一通り回ってみるか。」

二人の提案にロイドは頷いた。

「ピエール。この場は頼めるか?」

「ハッ!お任せ下さい!……その、君達もアレだ。あんまり無茶はしないように。真実を掴む前に倒れてしまったら元も子もないぞ?」

ヴァイスの言葉に敬礼をして答えたピエールはロイド達を見回して忠告し

「………はい。肝に銘じておきます。」

ピエールの忠告にロイドは頷いた。



その後ロイド達はフロア内にいる人々の確認をしている途中でがある部屋に入るとその部屋ではシズクが一人で外を見つめていた。



(あ………)

部屋に入ってシズクを見つけたロイドは呆け

(シズク……)

(シズクちゃん……)

キーアとセシルは複雑そうな表情をしていた。

「………………………キーアちゃん…………お父さん……………どうして……………」

外を見つめていたシズクは悲しそうな表情で呟いた。

「シズクちゃん……!」

その時ロイド達がシズクに近づいた。

「あ……!」

「よかった………無事だったのね!」

「シズクさんもオルキスタワーに連れてこられていたんですね。」

自分達を見て驚いているシズクにエリィは安堵の表情を見せ、ティオは静かな口調で言い

「あのオッサンの事だから別の場所かと思ったが……とにかく無事でよかったぜ。」

ランディも安堵の表情で答えた。

「ロイドさん、ランディさん……エリィさんにティオさんも………それにセシルさんやツァイト君、リィンさんも……………また皆さんの顔を見る事ができましたね………」

「む……?まさか……」

微笑みながら言ったシズクの言葉を聞いたツァイトは不思議そうな表情をし

「シズクちゃん、ひょっとして。」

ロイドは目を丸くし

「目が……また見えるようになったの?」

セシルは微笑みながら尋ねた。

「………はい。キーアちゃんのおかげです。不思議な力で、目の神経を繋いでくれたみたいで……もう光だけじゃなくて……色と形もちゃんとわかりますし、以前ティア様に治して頂いた時と違って、視力も元通りです。」

セシルの疑問にシズクは明るい表情で答え

「ほう………?」

「”零の至宝”の力は生命活動にも影響するのか……?」

ギュランドロスは興味深そうな表情をし、ヴァイスは真剣な表情で考え込み

「凄いな………イーリュンの”神格者”とほぼ同等の治癒力を持つと言われているティア様以上の治療ができるなんて……」

「”至宝”の力が凄まじいという証拠ですね……」

リィンは驚き、エリゼは真剣な表情で言った。

「いや、なんにせよ良かったじゃないか!」

その時ランディは明るい表情で声を上げ

「ああ……こればかりはキーアもお手柄だったな。」

ロイドは静かな笑みを浮かべてキーアに視線を向け

「えへへ……」

キーアは無邪気な笑顔を浮かべていた。



「はい……本当にキーアちゃんにはいくらお礼を言っても足りないくらいで……でも……でもっ………うううううっ!」

明るい表情で答えたシズクは急に泣き出し

「シズクちゃん……!?」

「ど、どうしたんだ!?」

シズクの様子を見たエリィとロイドは心配の表情になった。

「キーアちゃん、笑っていたけどとっても辛そうでした……!これが自分の役割なんだ……自分の望みなんだって無理に言い聞かせてるみたいで!本当はディーターさん達に協力なんてしたくないのに……!ロイドさんたちのところに戻りたくてしょうがないのに……!」

「あ……」

「そっか……」

泣きながら答えたシズクの話を聞いたロイドは複雑そうな表情をし、ランディは疲れた表情で頷き

「………許せん。こんな幼い少女を泣かすとは。」

「さすがに俺もこれにはキレたぜ……」

ヴァイスとギュランドロスは怒りの表情で呟いた。

「どうしてキーアちゃんがあんな事に……?それに……どうしてお父さんは………わたし……わたし……」

「シズクちゃん………」

悲しそうな表情で呟いたシズクの言葉を聞いたセシルは辛そうな表情でシズクを見つめた。

「………ありがとう、シズク。キーアの事を想ってくれて。キーアもきっと喜んでいるよ……」

その時キーアがシズクに近づいてシズクを抱きしめ

「うううっ…………グスッ………えっと……貴女はキーアちゃんのお姉さんですか……?キーアちゃんにすっごく似ていますし………」

抱きしめられたシズクはキーアの胸の中で泣いた後、キーアから離れてキーアを見つめて尋ね

「えっと………そんな所かな。事情があって今まで会えなかったの。キーアの友達になってくれてありがとう。」

尋ねられたキーアは苦笑した後微笑みながら答え

「そ、そんな……私の方こそキーアちゃんには一杯お礼が言いたいですよ……!」

キーアの答えを聞いたシズクは謙遜した様子を見せて答えた。

「……シズクちゃん。俺達はキーアを取り戻しに来たんだ。あの子や、アリオスさんたちがどこにいるか知ってるかい?」

「ごめんなさい……わたし何も知らなくって……キーアちゃんは昨日から見かけていなくて……それと……お父さんからはロイドさんへの伝言を預かりました……」

「え……!?」

「アリオスさんが……!?」

(一体何を……)

シズクの話を聞いたロイドとセシルは驚き、ルファディエルは考え込んでいた。その後シズクはある包みを机に出した。



「この包みは……」

「お父さんがロイドさんに渡してくれって……どうぞ、開けてみてください。」

「あ、ああ……」

そしてロイドが包みをあけるとトンファーが出てきた!

「……これは……」

「ガイさんが使っていた……」

「ガイさん愛用のトンファーね………」

(”ゼロ・ブレイカー”。刀傷がついている所を見ると、これで自分の事が露見する事を恐れてガイが殺害された後持ち去ったのね……まあ当時の私が見たら真っ先にアリオスが関係している事は疑ったでしょうね。)

トンファーを見たロイドは驚き、ティオとセシルは複雑そうな表情をし、ルファディエルは目を細めて考え込んでいた。

「これは刀傷……?」

一方トンファーについている刀傷を見たリィンは驚き

「ということはロイドさんのお兄様を手に掛けたのは……」

エリゼは真剣な表情で呟いた。

「ロイド……………」

「………………………」

エリィに見つめられたロイドは黙り込み

「……ごめんなさい……本当にごめんなさい……………お父さんが……父がロイドさんとセシルさんに酷いことを……」

シズクは涙を流して謝り続けた。

「―――シズクちゃん。負い目を感じる必要はないよ。本当にアリオスさんが、兄貴を手に掛けたと決まったわけじゃないし……どうやら、まだ見えていない、隠された真相がありそうだ。」

「……そうね。」

その時ロイドは真剣な表情で答え、ロイドの言葉にセシルは頷き

「え…………」

シズクは呆け

「どういう事だ?」

ランディは真剣な表情で尋ねた。

「この刀傷を見る限り、兄貴とアリオスさんが激しくやり合った可能性は高いだろう。刀傷の数を見る限り……あの”風の剣聖”を相手に兄貴もかなり善戦したんだと思う。――――だが、兄貴の直接の死因は”背後から銃で撃たれた”ことだ。」

「ええ……だからこそおかしいのよ。」

「あの男がまだ真実を隠しているのか……」

真剣な表情で答えたロイドの言葉にセシルは頷き、ツァイトは厳しい表情で呟き

「あ………」

「それって……」

ティオは呆け、エリィは真剣な表情でロイドを見つめた。

「―――シズクちゃん。手紙も読ませてもらうよ。」

「は、はい……」

そしてロイドは手紙を読み始めた。



―――ロイドへ。長らく渡せなかった品をこれを機会にお返しする。



その品が全て――――釈明するつもりはない。全てが終わったその時、セシルと共に存分に俺を裁いてくれ。この身はどうなっても構わん。だからシズクにだけは危害を加えないでやってくれ。全ての責は俺にある。



なお、街に現れた魔導兵は白き神機が大鐘を通じて操っているものだ。白き神機を何とかすれば全て沈黙させられるだろう。



「………………………」

手紙の内容を読み終えたロイドは黙り込み

「……これは…………」

エリィは複雑そうな表情をした。

「……白き神機ってのは、あの映像で見たヤツか。ガレリア要塞をアイスみてぇにくりぬきやがった……」

「でも、空間を消滅させる力は使えなくなっているはずです。」

ランディとティオは真剣な表情で呟き

「でも”風の剣聖”は一体どういうつもりで……」

「わざわざ魔導兵の事を私達に教えてくれるなんて……」

リィンとエリゼは複雑そうな表情で考え込んでいた。するとその時ロイドは”ゼロ・ブレイカー”を手に取って装備した!



「おお……」

「ロイドさん……」

「フフ、ガイさんを見ているようだわ……」

(似合っているわよ。……さすがは兄弟ね。)

ゼロ・ブレイカーを装備したロイドを見たランディは感心し、ティオは明るい表情をし、セシルとルファディエルは微笑み

「まるでお前のために誂えたみたいだな……」

ヴァイスは静かな笑みを浮かべて言った。

「ええ……不思議と手に馴染みます。―――シズクちゃん、伝言、ありがとう。ここから先は、どうか俺達に任せてくれ。キーアの事も……そしてアリオスさんの事も。」

「……はい………お父さんはずっと……悩んでいたんだと思います。お母さんのこと……わたしのこと……色々なことを考えているうちに……後戻りができなくなって……それで……グス……」

「大丈夫―――後戻りができないなんてそんな事があるもんか。」

「お父さんのことはきっと連れ戻してみせるわ。特務支援課の名に賭けて。」

涙を流しているシズクにロイドとエリィは優しげな微笑みを浮かべて言い

「ま、こんな可愛い一人娘を泣かせるような不良オヤジは一発ぶん殴ってやらねぇとな。」

「……ですね。首に縄をかけてでも連れて帰りましょう。」

ランディは疲れた表情で呟き、ランディの言葉にティオは頷いた。

「でも…………例え戻ってきたとしても、お父さんはヴァイスハイトさん達に…………!お願いします、ヴァイスハイトさん、ギュランドロスさん!わたしはどうなっても構いません……!だからお父さんを許してあげて下さい……!」

ロイド達の答えを聞いたシズクは悲しそうな表情をした後ヴァイスとギュランドロスを見つめて頭を深く下げて叫び

「シズクちゃん………」

その様子を見たセシルは複雑そうな表情で黙り込み

「「……………………」」

ヴァイスとギュランドロスはシズクを見つめて黙り込んでいた。

「……局長。」

「シズクちゃんがここまでしているんですから、何とかアリオスさんだけでも許してあげてください……!」

そしてロイドとエリィが真剣な表情で二人を見つめて言ったその時、何かが割れる音と地震が起こった!



「な、なんだ……!?」

「何かがタワーにぶつかったみたいだぞ……!?」

異変にロイドは驚き、ランディは厳しい表情で叫んだ。そして少しの時間が経つと大勢の足音が聞こえ

「大勢がこっちに近づいてきます……!」

「何……!?」

「まさか国防軍か猟兵共か……!?」

ティオの警告を聞いたロイドは驚き、ランディは厳しい表情で呟き

「い、いや……この足音は恐らく……」

「一体どうしてここに……クロスベル解放作戦は個人的に参戦するレン姫を除いてメンフィル軍は参加しないはずなのですが……」

リィンとエリゼは戸惑っていた。するとその時扉が真っ二つに斬り裂かれ、そこからリウイ率いるメンフィル兵達が次々と入って来た……………! 
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