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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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外伝~”光の剣匠”ヴィクター・S・アルゼイド~後篇

~アルゼイド流・練武場~



「コォォォォォ……………ハアッ!!」

戦闘開始時ヴィクターは魔法能力を犠牲にし、身体能力を大幅に上昇させ、さらに”心眼”状態にするクラフト―――洸翼陣で自身の能力を上昇させ

「オォォォォォ………ハアッ!!」

リアンヌは聖気と闘志を爆発させ、全能力を大幅に上昇させるクラフト――――セイクリッドブーストで自身の能力を上昇させた。

「フンッ!!」

そしてヴィクターは剣圧によってすざましい衝撃波を発生させ、光の速さで襲わせるクラフト―――洸迅剣を放った!

「行きますよ………貫けっ!!」

対するリアンヌはクラフト―――シュトルムランツァーで突撃しながら衝撃波を打ち消してヴィクターに襲い掛かった!

「!!」

ヴィクターはリアンヌの突撃攻撃を大剣で受け流し

「甘いっ!!」

「!!」

攻撃を受け流されたリアンヌは連携してクラフト―――アルティウムセイバーを放ち、ヴィクターは剣で受け止めようとしたが

「ガッ!?」

リアンヌの薙ぎ払い攻撃の威力はすざましく、攻撃を受け止めた瞬間吹っ飛ばされ

「フッ!!」

空中で受け身を取って着地をした。

「なっ!?」

「し、子爵が真正面から剣で受け止めて吹っ飛ばされるなんて………!」

(こりゃマジで本物の”槍の聖女”なんじゃねえのか……?)

その様子を見ていた門下生達は驚き、トヴァルは真剣な表情でリアンヌを見つめていた。

「オォォォォォ………――――鉄閃刃!!」

一方ヴィクターは跳躍し、光のエネルギーを纏わせた刃で装甲をも破壊する重き一撃で強襲するクラフト―――鉄閃刃で反撃をして来た。

「甘い………!甘すぎるっ!!」

対するリアンヌは闘気を纏った怒涛の連続突きを放つクラフト―――アルティウムラッシュで対抗し

「なっ!?クッ…………!」

怒涛の連続突きに驚いたヴィクターは空中で次々と捌きながら着地したが

「止めっ!!

「グッ!?」

最後に放った突きが脇腹に命中して呻いた!

「逃がしはせぬ!!」

しかしすぐに立ち直ったヴィクターは自身を中心に光の渦を発生させて敵を引き寄せ、薙ぎ払いを放つクラフト―――洸閃牙を放ったが

「滅!!」

「ガッ!?」

薙ぎ払いを放つ瞬間、放ったリアンヌのクラフト―――アルティウムセイバーに打ち負けて吹っ飛ばされ

「ガハッ!?」

そして壁にぶつかって呻いた!



「フフ、初見でありながら私の突きのほぼ全てを見切るとはさすがは音に聞こえし”光の剣匠”ですね。」

「……貴女程の腕を持つ武人に褒めて頂くとは光栄だ。まさに”槍の聖女”を名乗るにふさわしいすざましい槍さばきだ。」

静かな笑みを浮かべて言ったリアンヌの言葉を聞いたヴィクターも静かな笑みを浮かべて呟き

「わずかだが剣をあわせてよく理解した………既に貴女は”人の域”を超えている。特に”その槍”の前では一軍すら退かざるを得ないだろう。」

そして真剣な表情でリアンヌを見つめて呟き

「フフ、それが見抜けるだけでも大したものです。アルゼイドの剣と強さは長い時を経ても受け継がれている事に安心しましたよ。」

「フッ………”獅子戦役”でその名を轟かせた我が先祖を知る貴女にそう言って頂けると光栄ですな。―――先程まで貴女を疑っていた非礼………今ここで謝罪させて頂きます。貴女こそ真の”槍の聖女”。私のような未熟者がお会いできて光栄です。」

微笑みながら言ったリアンヌの言葉を聞いたヴィクターは静かな笑みを浮かべて答えた後会釈をして尊敬の眼差しでリアンヌを見つめた。

「………その様子ですと私が”本物”である事は認めたようですね………それでも続けますか?」

ヴィクターの言葉を聞いたリアンヌは静かな口調で尋ね

「恐れながら、後少しだけは付き合って頂きたい……!祖国を裏切り………娘からも軽蔑される覚悟をこの手合わせで貴女から頂きたい……!」

尋ねられたヴィクターは決意の表情で武器を構え直し

「―――いいでしょう。来なさい。」

リアンヌは静かな口調で答えた後武器を構え直した!

「閃!!」

そしてヴィクターは光を纏った神速の突撃攻撃を行うクラフト―――洸閃剣で大剣を持っていながら目にも見えぬ速さでリアンヌに突撃した!

「貫けっ!!」

対するリアンヌもクラフト―――シュトルムランツァーで突撃してヴィクターの突撃攻撃を相殺した。二人の攻撃が相殺された際周囲に凄まじい衝撃波が起こった!

「我が渾身の乱舞………喰らうがよいっ!!」

攻撃を相殺されたヴィクターは 大剣に巨大なエネルギーをまとわせた状態で連続で乱舞攻撃を行うクラフト―――洸刃乱舞で攻撃を仕掛け

「ヤァァァァァァァ……………!!」

リアンヌは武器を次々と振るってヴィクターの乱舞攻撃を全て相殺した。

「セイヤッ!!」

乱舞攻撃を全て相殺されたヴィクターは最後に薙ぎ払いと共に闘気による渦を発生させて攻撃したが

「さあ…………行きますよっ!!」

「なっ!?クッ……!」

リアンヌが自分の周囲に発生させた膨大な闘気の渦に自分が放った技による闘気による渦が呑みこまれ、一端後ろの跳躍したが

「グウ………!?」

リアンヌが発生した闘気の渦はヴィクターを襲い掛かり、ヴィクターにダメージを与え続けていた。

「我は”断罪”………全てを断ち切る者!これで………終わりですっ!!」

そしてリアンヌは槍を構え

「アルゼイドの真髄……お見せしようっ!!」

闘気の渦が消え、闘気の渦から解放されたヴィクターは大剣に膨大な闘気による光のエネルギーを纏わせた!

「聖技!グランドクロス!!」

槍を構えたリアンヌは突撃したその時!

「絶!洸凰剣!!」

ヴィクターが一刀両断攻撃をした!そしてすれ違い、技を放ち終えた二人が背中合わせになった瞬間!

「っつ!?」

ヴィクターの絶技にして全てを両断する闘気のエネルギーの斬撃を放つSクラフト――――絶技・洸凰剣によって鎧の脇腹の部分が破壊され、そこから大量の血を噴出させたリアンヌは呻き

「見事………………………………」

リアンヌのSクラフト―――聖技・グランドクロスを受け、全身ボロボロになったヴィクターは地面に倒れて戦闘不能になった!

「しょ、勝負あり!勝者――――リアンヌ・ルーハンス・サンドロット卿!」

戦いの様子を見守っていたクラウスは信じられない表情で号令をかけ

「し、子爵!」

「大丈夫ですか!?」

門下生達やトヴァルは慌てた様子で倒れているヴィクターにかけよった。

「急所は外してありますから安心して下さい。」

その様子を見たリアンヌは静かな口調で呟き

「あ、あれ程の戦いでそこまでできるとは………!」

「さ、さすがは”槍の聖女”………!」

「凄い……!まさに本物だ……!こりゃ町中の皆に知らせたら大喜びするぞ……!」

リアンヌの答えを聞いたクラウスは信じられない表情をし、門下生達は尊敬の眼差しでリアンヌを見つめ

「ったく、大昔の英雄が何で今も生きているんだよ………――――ティアオル!!」

トヴァルは疲れた表情で溜息を吐いた後治癒アーツでヴィクターの傷を治療し始めた。

「フフ……………まさか伝説の”槍の聖女”と手合わせをする事ができるとは………夢のような出来事でした。」

そしてリアンヌは自身の傷をアーツで回復し、さらにトヴァルが治療を終えると静かな笑みを浮かべたヴィクターは立ち上がり

「だ、旦那様!まだ立ち上がっては……!」

それを見たクラウスは慌てたが

「心配するな。傷はトヴァル殿に癒してもらったから大丈夫だ。」

ヴィクターは片手で制した。

「見事な剣でした。我が鎧を貫くとは。」

「フフ、貴女にそう言って頂けるとは光栄です。」

リアンヌに微笑まれたヴィクターは静かな笑みを浮かべた後その場で跪き

「これより我がアルゼイド家はメンフィル帝国に降る事を改めて宣言致します。それと………できれば”アルゼイド流”筆頭伝承者であるこの私、ヴィクター・S・アルゼイドはかつての”獅子戦役”の我が先祖のように貴女を主と仰ぎ、この剣を奉げたい………もしよければどうか我が剣に騎士の祝福を………!」

静かな口調で呟いた後自分の武器――――鞘に収めた”宝剣ガランシャール”をリアンヌに差し出した。

「――――”光の剣匠”ヴィクター・S・アルゼイドの誓いの剣、確かにお受けしました。」

そしてリアンヌは差し出された大剣の鞘に口付けをしてヴィクターに返した。

「―――皆。プリネ姫達が来るまでにできる限りの歓迎の準備を。クラウス、リアンヌ様は我が家の客人の中でも歴代最高の客人だ。できる限り最高のもてなしを頼む。」

立ち上がったヴィクターはその場にいる全員に言い

「はいっ!!」

「かしこまりました!」

門下生達やクラウスは大声で答えた。その後プリネ達はレグラムの町に入り、軍が出撃の準備を整えている中、プリネ達はヴィクターと面会し、事情をリアンヌと共に聞いた。



~アルゼイド子爵邸~



「ええっ!?リ、リアンヌさんとアルゼイド子爵の一騎打ち!?しかも本気のリアンヌさんが一撃を入れられた!?」

「フッ………どのような一騎打ちだったのかできればこの目で見たかったものだ……」

事情を聞いたツーヤは驚き、レーヴェは静かな笑みを浮かべ

「へ~………かなりできるね。」

エヴリーヌは興味深そうな表情でヴィクターを見つめ

「フフ、騎士道を大切にしているお二人らしいですね。――――それではアルゼイド子爵。これからよろしくお願いしますね。”光の剣匠”と称えられ……かの”剣聖”と並ぶと噂されるほどの貴方の剣の腕………期待していますね。」

プリネは微笑んだ後静かな笑みを浮かべてヴィクターを見つめた。

「新たな国に忠誠を見せる為、我が剣、とくと震わさせて頂きます。……それでプリネ姫。今後の行軍はどうなさるおつもりですか?やはりレグラムの町を拠点にしてバリアハートに向かうのでしょうか?」

プリネに見つめられたヴィクターは会釈をした後尋ねた。

「いえ、バリアハートはクロスベル帝国と共に挟撃をしかけるのですぐには向かいません。―――私達主力部隊はこの後すぐにトリスタに向かい、”帝国解放戦線”並びに領邦軍を殲滅、そしてトリスタを制圧する予定となっております。」

「トリスタに……ですか?し、しかしレグラムから向かうには山を越えねばなりませんし………山での行軍は時間がかかる為、バリアハートを取っての道が一番近いと思いますが。」

プリネの話を聞いたヴィクターは戸惑った様子で言った。

「確かに陸路で行けばそうですね。ですが空ならどうですか?」

「!!なるほど………しかし何故トリスタをそんなにも早く制圧する事にしているのですか?バリアハートやケルディックと比べるとトリスタを制圧する意味などあまりないと思われるのですが………」

プリネの言葉を聞いたヴィクターは驚いた後真剣な表情で尋ねた。

「――――トリスタには”騎神”なる兵器が存在し……普通の”機甲兵”より手強いと聞きます。そのような兵器が我々の襲撃を知って反撃を開始し、我が軍やクロスベル帝国軍に被害をもたらす可能性が高いと思われますので真っ先に破壊しておく必要があります。そして……トリスタを拠点にし、帝都ヘイムダルにいる”身喰らう(ウロボロス)”の”蛇の使徒”―――――第二柱”深淵”のクロチルダを討ち取る準備をする必要もありますので。」

「なっ!?”結社”……それも”蛇の使徒”だとっ!?」

プリネの説明を聞いたトヴァルは厳しい表情で声を上げ

「”クロチルダ”………まさか。帝都ヘイムダルの歌劇場の歌姫――――”蒼の歌姫(ディーバ)”のヴィータ・クロチルダですか?」

ヴィクターは考え込んだ後驚きの表情で尋ねた。

「―――そうだ。俺はかつて”蛇の使徒”全員とは顔を合わせている。”蒼の歌姫(ディーバ)”もその一人だ。」

「なるほどな……元”執行者”である”剣帝”のあんたが言うなら信憑性はあるな………」

レーヴェの答えを聞いたトヴァルは頷いた後真剣な表情でレーヴェを見つめた。

「さらに今日中にクロスベルでは”第六柱”と”第四柱”を滅する予定になっております。」

「なっ!?おいおいおい……!クロスベルに”蛇の使徒”が二人もいるのかよ!?しかもその二人も討伐って………とんでもない速さで”蛇の使徒”達が討伐されようとしているな……下手をしたら”盟主”とやらも滅されるんじゃねえか?」

ツーヤの説明を聞いたトヴァルは驚いた後厳しい表情をした。

「”結社”の”盟主”でしたら昨日父―――リウイ陛下率いる精鋭のメンバーで挑み、討伐を終えましたよ。」

「なっ!?」

「何っ!?”結社”の”盟主”が討伐済みだと!?」

プリネの話を聞いたヴィクターは驚き、トヴァルは声を上げて信じられない表情をした。その時プリネのエニグマが鳴りはじめた。

「―――私です。はい、はい……わかりました。――――ではアルゼイド子爵。行きましょうか。飛行艇並びに戦艦の出撃準備が整いましたので。」

通信を終えたプリネはヴィクターを見つめて呟き

「………承知しました。クラウス。しばらくの間、留守をする。町の事は頼む。トヴァル殿もできればご協力をお願いしたい。」

プリネに会釈をしたヴィクターはクラウスとトヴァルを見つめて言った。

「かしこまりました。ご武運を。」

「………こちらも遊撃士としてできるだけ協力させて頂きます。(まさか”結社”のトップが既に殺害されているなんて………こりゃ本部に知らせないとな………)」

そしてヴィクターを連れたプリネ達は屋敷を出て港に向かった。



~港~



「プリネ姫、何故港で飛行艇や戦艦を待つのでしょうか?ここには船しかありませんが………」

港に到着したヴィクターは困惑した様子で尋ね

「キャハッ♪空を飛ぶ手段はもう目の前にあるよ♪」

「何………?」

口元に笑みを浮かべて呟いたエヴリーヌの言葉を聞いたヴィクターが眉を顰めたその時、湖に浮かんでいる戦艦が次々と空へと上昇して行った!

「なっ……!?」

それを見たヴィクターは信じられない表情をし

「フフ………――――それでは行きましょうか、トリスタへ。」

ヴィクターの様子を見たプリネは微笑みながら言った。



こうして………ゼムリア大陸中にその名を轟かせる”光の剣匠”――――ヴィクター・S・アルゼイドを仲間に加えたプリネ率いるメンフィルの飛行艦隊はトリスタに向かって行った…………… 
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