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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第138話

同日、9:30――――



~ジオフロントD区画~



「ああ………ティオ君が無事でいてくれたなんて!しかもヨナ君も無事、解放されたんだって!?も、もうこれで思い残すことはないよ~!」

事情をセルゲイ達と共に聞いていたロバーツは嬉しそうな表情で涙を流しながらティオを見つめて叫び

「主任………感激しすぎです。でも、ご無事で何よりでした。」

ティオは呆れた後静かな笑みを浮かべて答えた。

「ああっ!ティオ君が僕の無事を喜んでくれるなんて……!1日100回以上、女神(エイドス)にお祈りを奉げた甲斐があったよ~!」

ティオの答えを聞いたロバーツは嬉しそうな表情で叫び

「さすがにウザすぎです。」

ティオはジト目で突っ込み、その場にいる全員を脱力させた。

「そ、それにしても………よくこんなに集まりましたね。」

「やっぱり大統領への反感が高まってるってことか?」

そしてロイドとランディはセルゲイ達を見つめて尋ね

「ま、当然だろう。昨日だって、いきなり全市内に戒厳令と外出禁止令が出されてな。」

尋ねられたセルゲイは答え

「その後、青白いモヤが立ち込めたと思ったらあの有様だ。………もはや断じて見過ごせる状況ではない。」

ダドリーは怒りの表情で説明を続け

「さすがに逮捕令状は取れませんが……現行犯逮捕という形で大統領一派を押さえるしかないでしょう。」

エマも説明を続けた。

「―――甘いな。奴等の下らん野望の為に多くの民達が傷つき、さらに世界中を混乱させたんだ。”逮捕”等生温い。」

「ああ。クロイス家及び奴等に加担していた重要人物達は全員纏めて”処刑”だ。その方が市民達も納得する。」

その時ヴァイスとギュランドロスがそれぞれ厳しい表情で指摘し

「「「…………………………………」」」

エリィとエオリアは複雑そうな表情で、キーアは辛そうな表情で黙り込み

「きょ、局長……それにギュランドロス司令……どうしてもベル達の命は助けていただけないのですか……?」

辛そうな表情になったエリィはヴァイス達を見つめて尋ね

「無理だな。奴等―――クロイス家は自らの野望の為に今までの歴史であまりにも多くの悲劇を生み出してきた。それを断ち切る為には系譜ごと全て滅するしかない。」

「それにこれはリウイ達―――メンフィルの依頼でもあるから絶対に無理だぜ?特に”殲滅天使”が『2度とレンやティオのような被害者を出さない為にもクロイス家の人達を一人も絶対に生かさないで』って俺達に頼んだからな。」

尋ねられたヴァイスとギュランドロスはそれぞれ厳しい表情で答え

「…………………」

二人の答えを聞いたティオは複雑そうな表情をし

「そう……………ですか…………………」

(エリィ……………)

エリィは悲しそうな表情で呟き、ロイドは複雑そうな表情でエリィを見つめていた。

「………局長。色々と言いたい事はありますが………一つだけ聞きたい事があります。」

その時ダドリーは複雑そうな表情で黙り込んだ後ヴァイスを見つめ

「何だ?」

ダドリーの言葉を聞いたヴァイスはダドリーを見つめて尋ね

「貴方達はクロスベルを支配する為の近道として我々警察や警備隊を利用し、それぞれ”教団”の事件で空いたトップや上層部の座に着いたのですか?」

尋ねられたダドリーは厳しい表情でヴァイスとギュランドロスを睨んで尋ねた。



「正解だ。――――と言いたい所だが、少しだけ間違っているな。」

「ハ……?」

「……………それは一体何ですか?」

ヴァイスの答えを聞いたダドリーは眉を顰め、セルゲイは不思議そうな表情で尋ねた。

「”正義の在り処”に悩むお前達に教えるためだ。」

「ああ………”正義”に頼らず、”信念”で前を見続ける事を教える為にな。」

そしてヴァイスとギュランドロスはそれぞれ答え

「”信念”で前を見続ける………?」

「一体それはどういう意味なのですか………?」

二人の答えを聞いたダドリーは不思議そうな表情をし、エマは尋ねた。

「”正義”とは謳い文句としてはいいが、俺達からすれば自分達の歪んだ行動をも周りの者達に認めて貰い、正当化する為のただの言い訳だ。それに”正義”は見方によっては”悪”になる。」

「ディーターがその”歪んだ正義”―――”悪”の例としていい例だろう?」

「……………………………」

ヴァイスとギュランドロスの説明を聞いた警察関係者達は複雑そうな表情で黙り込んだ。

「要するに誰かに認めてもらう事や言い訳をしない為に真っ直ぐと前を見つめて歩き続ける事ができる事をお前達に知ってもらいたかったんだ。――――例えばロイドの兄、ガイ・バニングスとやらのように。」

「俺達は自分が正しいと思ったからこそ、あんな宣言をした。だからお前達もお前達なりの”信念”を持って自分達の道を行きな。」

そしてヴァイスとギュランドロスはそれぞれ”覇気”を纏って答え

「………………………」

二人の言葉を聞いたロイドは複雑そうな表情で黙り込み

「……………了解しました。」

ダドリーは静な口調で頷いた後決意の表情になり

「………今までありがとうございました………――――今後は生まれ変わったゼムリア大陸の治安を守る為、俺達も手伝いますけど女性達とデートばかりせず、しっかり働いて下さいよ?」

セルゲイは静かな表情で敬礼をした後口元に笑みを浮かべてヴァイスを見つめて尋ね

「フッ、安心しておけ。これでもかつては多くの女性達と付き合いながら”国”を治めた事があるからな。」

「しかも今回は俺もいるからな!ガッハハハハハハッ!」

尋ねられたヴァイスは頷いて静かな笑みを浮かべ、ギュランドロスは豪快に笑ってその場にいる全員を脱力させ

「ヴァイスさんの場合はある一点においては全然信用できませんけどね。」

「ゼムリア大陸中の綺麗所を全部喰う気か、このリア充王!!」

「しかもギュランドロス司令も司令になってから滅茶苦茶な行動をしていたものねえ……」

ティオはジト目で呟き、ランディは悔しそうな表情でヴァイスを睨み、エオリアは苦笑した。

「ああそうだ。俺が”王”となった際、娼館は真っ先に作るつもりだから男共は期待しておけ。」

「おおおおおおおおおっ!?マジかっ!?絶対通いまくるぜっ!!」

「お、俺も……!」

そしてある事を思い出した後静かな笑みを浮かべて言ったヴァイスの言葉を聞いたランディとレイモンドは興奮し

「せ、先輩………」

「最低ですね。」

ノエルは表情を引き攣らせ、ティオは蔑みの表情でランディとレイモンドを見つめ

「ロイド?そんな所に通うなんて絶対に許さないからね?」

「それは私もですよ?兄様?」

エリィとエリゼはそれぞれ威圧を纏った微笑みを浮かべてロイドとリィンを見つめ

「い、行かないって、そんな所!!」

恋人(エリゼ)がいる身で行くわけがないだろう!?」

見つめられた二人は慌てた様子で答え

「我々警察の目の前で本来なら真っ先に規制対象になる施設を創る事を提案しないで下さいよ………」

「ハア……………頭が痛くなってきた。」

エマは呆れた表情で溜息を吐き、ダドリーは溜息を吐いた後片手で頭を押さえた。

「フフ、今後のゼムリア大陸は面白い事になる事間違いなしね♪」

「一体どんな世界になるのでしょうね?」

一方カーリアンとリタは微笑み

「……少なくても笑顔のある世界なのだろうな。ここに笑顔を取り戻した未来のキーアがいるように。」

「ええ……………」

ツァイトとセシルは微笑みながらキーアを見つめ

「えへへ……」

見つめられたキーアは無邪気な笑顔を浮かべ

「アハハ………あの………市民の安全はどうですか?」

ノエルは苦笑した後気を取り直して真剣な表情で尋ねた。



「今の所、戒厳令と外出禁止令に大人しく従っているようです。街の外で戦闘が起きているのも影響しているのではないかと。」

「でも、いきなりだったから備えのない市民も多いみたいでね。市民会館やホテルなんかに避難している人もいるみたいだしかなり困ってるんじゃないかな~?」

「なるほどな……」

「市民に被害がまだ出ていないのが不幸中の幸いね………」

警察の受付嬢とレイモンドの話を聞いたランディとエオリアは疲れた表情で溜息を吐き

「一刻の猶予もありませんね……」

ティオは不安そうな表情で呟いた。

「しかし、大統領一派を押さえるとなると……オルキスタワーを攻略する必要があるってわけだね?」

「ああ、既に大まかりな段取りは出来ている。市内に残った遊撃士達と連携もできそうだしな。あとはお前らが来るのを今か今かと待ってたわけだ。」

ワジの疑問にセルゲイは頷いて答えた。

「課長………」

「………待っててくれて感謝です。」

セルゲイの話を聞いたエリィは明るい表情をし、ティオは静かな笑みを浮かべて呟き

「それで、具体的な段取りはどのような………?」

リーシャは真剣な表情で尋ねた。

「現在、タワー前には先程の”魔導兵”の大群が守りを固めているようだ。それを、ここにいる全員と遊撃士たちで強襲する。」

「その隙に、突入チームが車両でオルキスタワーに突入………そのままタワーの制圧を開始するっていう段取りね。」

「えっと………何ていうか……」

「かなり強引な段取りだが勝算はあるのかよ?」

ダドリー達の説明を聞いたノエルは苦笑し、ランディは呆れた表情で尋ね

「どうやら国防軍のほとんどは市外に回されているらしい。おそらくタワー内にいるのはアリオスを始め少数のはずだ。」

「ジオフロントからのルートは相変わらず封鎖されとるからなー。このあたりが現状で取れる最善の策といったところだ。」

「……なるほど。」

「そうなると……」

セルゲイ達の話を聞いたロイド達はそれぞれの顔を見合わせた後再びセルゲイ達を見つめて尋ねた。



「その突入チームというのはもう決まってるんですか?」

「いや、これからだが……―――お前達、まさか。」

ロイドの質問を聞いたダドリーは呆けたがある事に気付いて真剣な表情にし

「ええ、できれば突入チームは俺達に任せてください。タワーにいるキーアをこの手で取り返すためにも。」

「ああ、そいつばかりは他の連中には譲れねぇな。」

「タワー内のセキュリティならわたしがいれば役立ちます。」

「私も………ベルやおじさまを直接問い詰めたいと思います。」

「それは私も同じ事です。まだガイさんの死の真相についてアリオスさんから何も話してもらえていないんですから。」

「一度、国防軍として彼らに加担した身ですけれど……だからこそ放っておけません。」

「まあ、このメンツだったら修羅場も潜り抜けてるしね。チームワークのことを考えると打ってつけなんじゃないかな?」

「きっとお役に立ってみます。」

「勿論、キーアも手伝うよー。」

「………私も共に行こう。これでも特務支援課の”警察犬”だしな。」

ロイド達はそれぞれ申し出

「無論、俺達もそのチームに入れてもらおう。」

「おうよ!ここは”王”自らが乗りこまないと駄目だろうが!」

さらに続くようにヴァイスとギュランドロスも申し出

「でしたら私達は強襲班を手伝わせて下さい。」

「あたし達は既に何度も経験しているしね~。」

「………必ず皆様のお役に立ってみます。」

「フフ、突入する方も面白そうだけど大規模戦闘の方が面白そうだからね。私もそっちにするわ♪」

「私は勝手にいなくなってスコット達を困らせたから、当然強襲班の方を手伝うわ。」

「私もエオリアさんと同じ理由ですからそちらを手伝いますね。」

「俺は突入班の方を手伝います。車も運転できますし、同じ”八葉”の剣士であるリシャール殿とも何度か剣を合わせた事があるので、少しは斬り合う事ができると思います。」

「私もエクリア様より接近戦の訓練は受けているので、援護は出来ると思いますので突入班に入れて下さい。」

そしてセティ、シャマーラ、エリナ、カーリアン、エオリア、リタ、リィン、エリゼがそれぞれ申し出た。

「お前達………」

「……クク、やれやれ。あのヒヨッ子どもが、すっかり一丁前の顔になったもんだ。」

「課長………」

「ま、いいだろ。突入チームはお前らに任せる。だが、全ての段取りが整ってるわけじゃなくてな。もう少し待ってもらうぞ。」

「と言うと……?」

セルゲイの話を聞いたエリィは不思議そうな表情をし

「オルキスタワーへのハッキングを進めている最中なんだ。あと1時間ちょいでアクセス可能になるはずさ。」

ロバーツが疑問に答え

「あ………」

「本当ですか……!?」

「ああ、そうなれば突入チームへのバックアップもしやすくなるし、通信妨害も解除できるだろう。」

「それと、ギルドや各方面にも改めて連絡を入れる必要がある。とにかく、お前達が突入チームに回るという前提で最終的な段取りを詰めるぞ。」

そしてセルゲイとダドリーがそれぞれ答えた。



その後、ロイド達は突入作戦の最終的な段取りをセルゲイたちと話し合った後………突入に使う導力車を確保するため一度、支援課ビルに戻ることにし、さらに突入チームにはダドリーも参加する事を申し出………ロイド達は一部のメンバーだけで市内の探索と車の確保に向かう事にし、残りのメンバーはジオフロントに待機し始めた…………… 
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