英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~キーアの”罪”~
~メルカバ玖号機・甲板~
「キーア。………それで話って何だ?」
近づいてきたキーアに気付いたロイドは気を取り直して尋ね
「話っていうか………改めてお礼を言おうと思って。」
「お礼??」
キーアの説明を聞いたロイドは首を傾げ
「――――キーアの話を信じて、何も教えられないキーアをロイド達の仲間に受け入れてくれてありがとう。……それを言いたかったんだ。」
「ハハ、俺達がキーアを仲間に受け入れない方がありえないだろう?………けど何でまた改まって………」
優しげな微笑みを浮かべて言ったキーアの言葉を聞いたロイドは微笑みながら答えた後不思議そうな表情をし
「………キーアが”この時代を去る”日は近いから、今の内に言っておきたかったの。ロイド達が”キーアを取り戻した時”………その時にキーアは自分の時代に帰るから。」
「あ…………………………」
微笑みながら答えたキーアの話を聞いたロイドは呆けた声を出した後複雑そうな表情で黙り込み
「そっか………俺達のキーアと今俺の目の前にいるキーアと一緒にミシュラムに遊びに行く事とか考えていたんだけどな……」
残念そうな表情で答え
「フフ、楽しそうだけどそれはロイド達のキーアだけで我慢して。ロイド達にこの時代のキーアがいるように……今のキーアには未来のロイド達がいるのだから………でないと、キーアの時代のロイド達がこの時代のロイド達に嫉妬しちゃうよ?」
ロイドの言葉を聞いたキーアは微笑みながら答えた後静かな笑みを浮かべた。
「ハハ、自分達に嫉妬されるって何か変な感じだけど………でも、その気持ちはわかるな。なんせ俺達自身の事だしな。」
「えへへ………」
苦笑した後静かな笑みを浮かべて言ったロイドをキーアは無邪気な笑顔を浮かべていた。
「………―――なあキーア。一つだけ聞いていいか?」
「?何??」
「どうしてキーアはイーリュン教の信徒となって、自分の”罪”を償うんだ?それに第一キーアの”罪”って一体何なんだ?」
「!………………………」
真剣な表情で尋ねたロイドの質問を聞いたキーアは目を見開いた後、複雑そうな表情で黙り込み
「………今ここでキーアが答えても、絶対にこの時代のキーアに教えず、イーリュン教の信徒になったキーアの未来を変えないって約束できる?」
真剣な表情でロイドを見つめて尋ねた。
「ああ、約束する。―――教えてくれ、キーア。」
「うん………――――キーアは大好きなロイド達を守る為に色々な人達を傷つけ、迷惑をかけてしまった………例えば神機を操ってエレボニアやカルバードの人達をたくさん殺して………そして………世界中を混乱させてしまうきっかけを作った事………数え上げればキーアの”罪”は果てしなくあるよ。」
「で、でも……!それはキーアがディーターさん達に命令されて仕方なくやったんだろう!?」
辛そうな表情で答えたキーアの話を聞いたロイドは必死の表情で尋ね
「―――それでもそうする事を決めて、実行したのはキーア自身。だって、キーアが”至宝”の力を使わなければディーター達は何もできないんだよ?」
「あ……………………………」
静かな表情で言った後寂しげな笑みを浮かべたキーアの話を聞いたロイドは呆けた後複雑そうな表情で黙り込んだ。
「………だからキーアは悩んだ末に決めたの。いつもロイド達がキーアがいれば周りが明るくなるって言ってくれたから、せめてもの”償い”に傷ついた人達の心を少しでも癒して、キーアのせいで暗くなってしまった人達にまた笑顔を浮かべてもらおうって。」
「………それがイーリュン教に入信して、”太陽の聖女”と呼ばれるようになった理由か……………」
決意の表情で答えたキーアの話を聞いたロイドは疲れた表情で呟いた。
「………本当なら世界中を混乱させてしまうきっかけを作ってしまったキーアがティア達みたいに”聖女”なんて呼ばれる資格はないけどね………―――でもそれでみんなが明るくなってくれるなら、キーアは嬉しいし、喜んで”太陽の聖女”っていう二つ名を受け入れるよ。」
そしてキーアは苦笑した後優しげな微笑みを浮かべて答え
「キーア……………」
(ほー……あれほど無邪気だったガキがたった10年でここまで深い考えをするとはねえ?)
(フフ……世界中の人々の笑顔を願う今ここにいるキーアならまさに”聖女”と呼ばれてもおかしくないわよ………)
キーアの答えを聞いたロイドは驚き、ギレゼルは感心し、ルファディエルは優しげな微笑みを浮かべていた。
「それにね………キーアがイーリュン教の信徒となって、世界中を周る事となった時、ロイドはとっても素敵なプレゼントをくれたから、キーア、とっても幸せだよ?あの時はキーア、嬉しすぎて泣いたぐらいなんだから………」
「俺がキーアにプレゼント………?それは一体………」
微笑みながら答えたキーアの話を聞いたロイドは不思議そうな表情でキーアを見つめ
「――――”バニングス家の長女”――――”キーア・バニングス”。ここまで言えば鈍感なロイド………ううん。”パパ”でもわかるでしょう?」
「あ……………ハハ、やっぱり養子だったのか………というか鈍感は余計だろう?」
(なんでい~、養子だったのかよ~。つまんねえな~。)
(……まあ、そうだろうと思っていたわ………)
幸せそうな表情になった後無邪気な笑顔を浮かべたキーアの言葉を聞いたロイドは呆けた後微笑み、そして苦笑しながらキーアに尋ね、ギレゼルはつまらなさそうな表情をし、ルファディエルは安堵の溜息を吐いた。
「フフ、ティオ達の気持ちに全然気付かなかったのに??確か今夜にティオ達に一斉に告白されたのでしょう?」
「う”………そ、それは………って、な、なんでキーアが知っているんだよ!?」
からかいの表情のキーアに見つめられたロイドは唸った後表情を引き攣らせた後慌てた様子で尋ね
「フフ、だってキーアは未来から来ているんだよ?ティオ達の昔話で今夜の事とか、勿論教えてもらっているよ?」
「うっ………た、確かに言われてみれば………」
微笑みながら答えたキーアの話を聞いたロイドは唸った後大量の冷や汗をかいて苦笑した。
「それにね………確かにキーアはパパの娘だけど血は繋がっていないから、恋人にだってなれるし、結婚だってできるんだよ?」
「え”。」
(おおおおおおおおっ!?もしやこれは……!)
(ま、まさかキーア……貴女も……!?)
さらに頬を赤らめて笑顔で言ったキーアの言葉を聞いたロイドは表情を引き攣らせて呆けた声を出し、ギレゼルは興奮し、ルファディエルは大量の冷や汗をかいていた。
「大好きだよ、パパ……ううん、ロイド………ん………」
そしてキーアはロイドの唇に口付けをした!
「!!!!!!????」
キーアに口付けされたロイドは大混乱し
(くかかかかかかかっ!やっぱりこうなったな!!)
(今後の事を考えると頭だけじゃなく、胃まで痛くなってきた気がするわ………)
ギレゼルは陽気に笑い、ルファディエルは疲れた表情でそれぞれの手で頭とお腹を押さえ
「フフ、キーア、今でも未来のロイドのお嫁さんになる事、諦めていないんだからね?ロイドにキーアの事、”女性として”大好きになってもらうためにキーア、ママ達に相談して一杯頑張ってるんだからね♪それじゃあ、おやすみ、”パパ”♪」
ロイドとの口付けを止めてロイドから離れたキーアはロイドに微笑んだ後、顔を真っ赤にしてロイドから走り去って行き
「……………………………」
キーアが走り去った後ロイドは石化したかのように固まり
(ほう~………ママ”達”ねえ?)
(い、一体何人と結婚しているのよ………)
ギレゼルは口元に笑みを浮かべ、ルファディエルは表情を引き攣らせていた。
「あ………先に来ていたのね、ロイド………」
そして少し時間が経つとエリィがロイドに近づいてきた……………
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