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Three Roses

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第十話 またしての崩御その十一

「そして時には楽しみを勧めもします」
「遊戯をですか」
「堕落といいますが遊戯はいいものです」 
 そちらもというのだ。
「それもまた」
「人の心を楽しませてですね」
「余裕を作りますので」
 だからというのだ。
「ですから」
「神の御教えではです」
 司教は聖職者として話した。
「遊戯やそういった娯楽はです」
「堕落ですね」
「そうしたものはです」
「よくはない」
「はい、そうした教えですが」
「人はパンと水だけで生きられるか」
 太子はこの言葉をシニカルに述べた。
「それはどうか」
「神の僕ではなく政治、俗世を知る者として話します」
 ここではこう言った司教だった、聖職者であるがそれ以上に政治の世界の中にも生きている者として話すのだった。
「それは必要です」
「その通りですね」
「さもなければ栄えるものはありません」
「パンと水だけでは」
「人は知恵の実を食べてから変わりました」
 楽園を追放されたその時からというのだ。
「酒に音楽と舞踏、文学にとです」
「宴もですね」
「そうした様々な楽しみもあってこそです」
 聖書、神の教えと共にというのだ。
「人は生きられるのです」
「そうですね、ですから」
「マイラ様にもですね」
「そうした様々な楽しみを知ってもらいたいのです」
 豪奢な杯で飲みつつ言う。
「こうしたものもまた」
「そういった飲みものもですね」
「そうです」
 まさにという返事だった。
「酒も然りです」
「マイラ様はお酒も口にされません」
「酒により信仰を忘れるからですね」
「そうです」
 まさにそれが理由だった、マイラが酒も口にしないそれは。
「だからこそです」
「そして他の娯楽も」
「全てです」
「近寄せていないのですね」
「そうなのです」
 まさにというのだ。
「あの方は」
「全ての娯楽を遠ざけることはです」
「よくないのですね」
「私はそう信じています」
 確信だった、この言葉は。
「人は聖俗を知ってこそ何かが出来ます」
「特に政治はですね」
「そうです」
「太子は政治に重きを置いていますね」
「その通りです」
 肯定の返事だった。
「私は帝国の次の皇帝ですから」
「だからこそですね」
「信仰も持っているつもりですが」
「その信仰もですね」
「政治の中で考えています」
 信仰しているというのだ。
「そうしています、ですから教皇庁にもです」
「その守護者となられても」
「距離を置くこともします」
 それも否定しないというのだ。 
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