転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1418話
「おわぁっ!」
影のゲートから出て来た俺と神楽坂を見て、不意にそんな声が聞こえてくる。
影のゲートを使った奴が影に沈んでいく感覚に悲鳴を上げるのならまだしも、影から出て来た俺達を見て悲鳴を上げるのは……いや、そこまで珍しい話じゃないか。
ともあれ、俺達が姿を現したのは10畳程の部屋の中。
そんな部屋の中には前もっての予想通りに白鳥、秋山、高杉の3人の姿がある。
その中で悲鳴を上げたのは高杉で、白鳥は昨日の件で慣れたのか、そんな高杉の様子に理解出来るといった感じで頷いており、秋山の方は軽く目を見開いて驚いてはいるが、それだけだ。
秋山が驚かないってのはちょっと予想外だったな。かなり肝が据わっているのは分かってたけど、影のゲートを見てもこの程度の驚きしかないとは思わなかった。
「あまり驚かないんだな」
「慌てるサンマは貰いが少ない、と言うでしょう?」
……言うのか?
いや、木連で新たに作られた格言だったりのするのかもしれないな。
今までの木連にサンマがあるとは思わないけど。
今でこそ地球のクリムゾングループを初めとする賊軍と関係があって、サンマを入手出来るのかもしれないが。
うん? チューリップの転移で生鮮食品の類は転移出来るのか?
今まではバッタとかの無人機だけがチューリップで転移していたって事は、生身の人間の転移は出来ないと考えるべきか。
そんな風に考えていると、影から出て来た俺達に驚愕していた高杉が再び驚愕の声を上げる。
「か、か、か、神楽坂さん!? え? 何でここにいるんですか!?」
その視線の先にいるのは、当然のように神楽坂。
よそ行きの笑みを浮かべたまま、神楽坂は口を開く。
「実は、アクセルにちょっと付き合って欲しいって言われて……」
「付き合って!? ……ああ、いや。違いますよね。すいません」
うん、何について勘違いしたのかは理解出来る。
特に高杉の場合は神楽坂に対して好意を抱いているからな。
その好意が恋なのか、それとも憧れなのかは分からないが。
元々神楽坂は外見だけで言えばかなりの美人だ。それでいてゲキガンガーとかに出てくるヒロインと芯の強さとかが似ている。
その辺を考えれば、神楽坂は木連ではまちがいなくモテる。
そんな神楽坂に一番にやられたのが、高杉だった訳だ。
「神楽坂は今暇だったからな。取りあえず俺だけで迎えに来るのも花がないと思ったから、一緒に来て貰ったんだ。 嬉しかっただろ?」
「なっ! ななななななな! 何をいきなり!」
うん、見て分かるから。お前の場合。
高杉も、何だってこんなに分かりやすいのやら。……いや、考えるまでもなく木連に女が少ないってのが最大の理由だろう。
ゲキガンガーでしか女を見た事はない……って程じゃないだろうが。ユキナやその友達の件もある。
そもそも、そんなに女が少ないのなら木連という国自体が成り立たないだろうし。
「アクセル代表。白鳥から話は聞きました」
俺が高杉をからかっていると、秋山がそう声を掛けてくる。
こちらは真面目な表情を浮かべており、冗談では済まされないといった感じだ。
「その辺の詳しい話は、向こうに行ってからだな。お前も腹が減ってるだろ? シャドウミラーの料理を食わせてやるよ。……まぁ、ホワイトスターで食ったのよりは味が落ちるけど」
この辺は当然だろう。四葉はこれまでずっと料理の勉強をしてきた、本職のプロだ。
それに比べると、近衛は確かに料理は上手いが、それはあくまでも趣味の領域でしかない。
……まぁ、中には趣味でしかないのにプロ顔負けの料理を作るような奴もいるのだが、近衛は残念ながらそこまではいっていない。それに……
「お前達が知らないゲキガングッズ……それもゲキガンガー放映時の本物を見てみたくないか?」
「……ぬぅ。策士ですな。策士の石は一石二鳥と言いますが……」
いや、言わないと思うんだが。
取りあえず木連ではそんな風に言うんだと思っておくとしよう。
ともあれ、これで秋山はこっちに引き込む……とまではいかないが、話を聞いて貰えるところまでは持っていった。
高杉の方はと視線を向けると……そこでは、真っ赤になりながら神楽坂と話をしている。
こっちは聞くまでもなくこっちにくるつもりだな。それこそ、下手をすれば木連そのものを裏切ってシャドウミラーに来かねない。
よくある、若さ故の暴走的な感じで。
ただまぁ、それも青春って奴なんだろう。
「じゃあ、取りあえず俺達の拠点に行くから全員近くに集まってくれ」
そう告げると、白鳥が若干微妙な表情を浮かべつつ近づいてくる。秋山の方が興味津々といった様子なのは、好奇心の為せる技か。
神楽坂も俺の言葉が聞こえていたのか、高杉と共にこっちに来る。
うん? 何か神楽坂が俺の方にジトっとした視線を向けてるんだが……何でだ?
まぁ、その辺は取りあえず後回しにして……
「じゃあ、行くぞ」
そう告げ、影のゲートを展開する。
当然のように初めて影のゲートを使用する高杉は驚きの声を上げ、秋山の方は興味深そうに影へと沈んでいく自分の身体を見つめていたのだが……この辺、色々と性格が出てるよな。
影のゲートを使ってコンテナから姿を現した俺達を迎えたのは、当然のようにエリナや近衛、桜咲……ヤマダはゲキガンガーの設定資料集に夢中になっており、俺達が戻ってきたのにすら気が付いていない。
この辺の集中力は凄いと素直に思う。……集中力の使い所が間違っているような気がするが。
「ようこそ来てくれました。さ、食事の準備も出来てますし、まずは昼食にしましょう」
エリナのその言葉に木連の三人が頷いて食事の時間となる。
勿論いきなり3人も増えたとなると、テーブルが足りなくなるんだが。
元々6人でテーブルを使ってたので、本当にこれ以上は無理だ。
そういう訳で、俺の空間倉庫から取り出した新たなテーブルを繋げての昼食となる。
今日のメニューは、冷やし中華だった。
ただし、皿にあるのは麺だけで、トッピングはそれぞれテーブルの上にある大皿から自分の皿に盛りつけ、タレもレモン醤油とゴマの好きな方を掛けられるようになっていた。
「おおおおおお! これは凄い。豪華ですね!」
テーブルの上を見た白鳥が興奮して叫ぶ。
まぁ、それも分からないではない。テーブルの上には錦糸卵やキュウリの千切り、トマト、大葉、胡麻、紅ショウガ、茹でた鶏もも肉、鶏胸肉、豚肉各種、牛肉各種、エビ、イカ、魚、ホタテ、アワビ、モヤシ等々。
それ以外にも何種類もの冷やし中華のトッピングがあったのだから。
確かにかなり豪華な食事だが、普通に食えば残るのは確実だった。……まぁ、普通に食えばであって、俺がいるから残る事はないんだけどな。
ともあれ、皆が座って昼食の用意は完了し……
『いただきます』
の合図と共に昼食が始まる。
俺はまずオーソドックスに錦糸卵、キュウリ、トマト、鶏もも肉、エビをトッピングし、レモン醤油を。その上から大葉の千切りと胡麻を掛け、紅ショウガを少量。
「うん、美味い」
これだと普通の料理よりは腕の差が明確にはならない。
いやまぁ、トッピングの調理でやっぱり腕の差は出るんだろうが、冷やし中華の場合、主役は麺だしな。
他の面子も美味そうに冷やし中華を食べており、特に木連の連中は感激の涙すら流している。
「ううっ、九十九……美味い、美味いなぁ。ナナコさんが作っていた冷やし中華もこんな味だったんだろうか」
感動している秋山の言葉に、白鳥もまた頷く。
高杉の方は、冷やし中華に集中しながらも神楽坂に何とか話し掛けようとしているが、それが出来ずにいる。
そして食事が終わると、次に行われるのは食休み……ではなく、これからの木連についての話し合いだ。
もっとも、具体的にはヤマダとの間でゲキガンガーについて語り合うというのが大きいのだが。
「海燕ジョー……その心意気は見事と呼ぶしかないな。男として生まれたからには、このような最期を迎えたいものよ……」
しみじみと秋山が呟く。
その隣ではヤマダが納得するように頷いていた。
神楽坂に話し掛けようとしていた高杉も、今はゲキガンガーの方へと意識を向けている。
「けど、今のままだと木連はとてもではないが正義と呼べない方へと向かうだろうな」
「……アクセル代表……」
俺の呟きに、秋山が視線を向けてくる。
その表情には若干ではあるが苦い色があるのが見てとれる。
恐らく秋山も現状の木連については色々と思うところがあるんだろう。
「白鳥には言ったが、過去の地球が木連へ行った事は決して簡単に許されるべきじゃない。だが、それでも連合軍総司令官のグリューノが己の命を以て謝罪の意思を示したのは評価されるべきだと思うが?」
「……私もその映像は見させて貰った。草壁中将も、その件については留意している」
「けど、賊軍に手を貸す行為を止めるつもりはないんだろう?」
「……」
俺の言葉に秋山は沈黙する。
それを見れば、木連が止まる気配がないというのは明らかだった。
「地球の出来事をしっかりと理解しているのなら、俺達シャドウミラーが討伐軍に協力しているのを知ってる筈だな? もし木連が賊軍に協力するような事になれば、俺達と敵対することになる。そうなれば……どうなるか分かるな?」
「勝てない、でしょうな」
あっさりとそう告げる秋山に、近くで話を聞いていた高杉が咄嗟に視線を向ける。
お互いの力量差をしっかりと理解しているからこそか。
何かを言いたげな高杉も、秋山の様子を見て沈黙を保つ。
まぁ、実際問題俺達と敵対する事になれば、木連に勝ち目がないのは事実だ。
ファブニールが採用された以上、多くの機体がシステムXNで転移出来るようになる。
そうなれば、木連の支配領域にいつでも好きな時に出て来て、好き放題に攻撃出来るのだから。
それこそ、この都市艦れいげつもとてもではないが安全とは呼べなくなる。
「そもそも、俺達と敵対した時点でこのれいげつすらも攻撃対象になる。シャドウミラーを敵にするというのは、そういう事だ」
「……うむ」
秋山も、それは理解しているのだろう。
当然か。俺がこの世界にやってくるまでは、転移というのは木連の専売特許だった。
しかもその転移もチューリップがなければ出来ないという代物。
そんな中で現れたのが、チューリップを必要とせず、自分の機体だけで自由に転移を可能とするシャドウミラーだ。
自分達で転移を……それも限定的な転移しか使えないだけに、シャドウミラーに対する脅威を強く感じてもおかしくはない。
「他にも色々と言いたい事はあるが、その辺はもう白鳥に聞いてるんだろう?」
俺の言葉に、秋山は無言で頷く。
俺達が言いたい事は、既に昨日の時点で全て白鳥へと告げている。
そうである以上、秋山としては俺達がどれだけ本気なのかを見極めたいというのが、今回ここに来た理由なのだろう。
「俺達が討伐軍側に協力を表明した時点で、既に賊軍の……延いては木連の勝利はなくなった。お前達がやるべきは、この木連という国をどうやって存続させるかという事になる」
「……つまり?」
「クーデター……というのはちょっと今の世界状況だと聞こえが良くないから、革命とでもしておくか?」
「言葉遊びでしかないのでは?」
「まぁな。やるべき事は変わらないさ。それでも決定的に地球の賊軍と違うのは、もし革命を起こす場合は俺達シャドウミラーが協力をするという事だ。つまり……」
「勝利は確定している、と?」
確認するように尋ねてくる秋山の言葉に頷きを返す。
「……そこまでして私達に協力してくれるのは、何が目的ですか?」
「話が早いな。チューリップ、ヤンマ、カトンボの生産プラントだ」
ここは誤魔化しても、秋山や白鳥の……そしてついでに高杉からの信頼は得られないと判断した為、正直にこちらの要求を突き付ける。
「それは……いや、しかし……」
秋山だけではなく、白鳥や高杉も俺の要求に言葉を詰まらせる。
それもおかしくはない。何しろ、木連の主戦力を生み出す生産プラントを寄越せと言ってるのだから。
「それは、さすがに今この場で返事をする訳にはいきませんな」
「だろうな。その辺は俺も理解しているよ。だからこの場で返事をしろとは言わない。けど……忘れるなよ? ここで時間を使えば使うだけ、木連の立場は悪くなる。賊軍の後ろに木連がいるというのを知れば、地球の市民も木連に対する態度を硬化させる筈だ」
元々賊軍が木連を受け入れると表明していた以上、そしてミスマルが演説で木連の正体について公表した以上、賊軍の後ろに木連がいるというのは公然の秘密といった扱いだ。
今のままだと、いずれ市民の感情が爆発するのは間違いない。
そうなれば、討伐軍としても賊軍の他に木連へも攻撃をしなければならなくなる訳で……より良い状況で木連を残したいのであれば、行動するのが早ければ早い方がいいのは事実だった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1208
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