Three Roses
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第九話 若過ぎる死その五
「男子はおられずだ」
「大公もまた、ですね」
「お命は長くない」
「そうならばですね」
「問題となるのは我々だ」
太子達、他ならぬ彼等だというのだ。
「ロートリンゲン家だ」
「マリー様はロートリンゲン家の方ではない」
「その血を一滴も引いておられず」
「婚姻も結んでいない」
「ならばですね」
「そうだ、マリー王女を女王にしてはだ」
そのこと自体がというのだ。
「我々にとって歓迎すべからざることだ」
「マイラ様しかおられないですね」
「お妃様しか」
「我等にとってこの国の女王に相応しい方は」
「そうですね」
「そうだ、だからだ」
それ故にというのだ。
「何とか妃を女王にせねばな」
「その為に手を打っていきましょう」
「今のうちに」
「まずはだ」
その目を鋭くさせてだ、太子は言った。
「この国の旧教の諸侯をだきこもう」
「これまで通りですね」
「帝国派を増やしていく」
「そうしますか」
「その際王国派は排除する」
旧教徒であってもというのだ。
「旧教でもあの者達は敵だ」
「全くです、我等と王国は数百年来の敵です」
「何かあると常にいがみ合ってきました」
「幾度戦ったかわかりません」
「そうした相手ですから」
「旧教徒であろうともだ」
王国派はというのだ。
「周辺諸国と同じくだ」
「失脚させるか消えてもらうか」
「そうしていきますか」
「彼等は」
「必要なのは我々の味方だ」
旧教徒であってもというのだ。
「彼等には消えてもらい新教徒もだ」
「彼等の諸侯もですね」
「出来る限り味方につけておきますか」
「ロートリンゲン家の味方にしますか」
「一人でも多く」
「そうしていこう、そしてだ」
太子はさらに言った。
「民も同じだ」
「百姓も職人もですね」
「商人達も」
「彼等も味方につける、妃のいい噂を創りだ」
そうしてというのだ。
「それで民に好かれよう、私もだ」
「太子もですか」
「御自らですか」
「民達の前に出て彼等と親しもう」
こう言うのだった。
「無論警護、特に毒には気をつけるがな」
「夫としてですね」
「ご自身も人気を集められてですか」
「お妃様の支持を高める」
「そうしていかれますか」
「伴侶の人気を高めることも仕事の一つだ」
婚姻政策においてはというのだ。
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