英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第82話
~湿地帯・奥~
(こ、ここは……)
(凄い……膨大なエネルギーが集まっているみたいです……)
奥地に到着したロイドとティオは驚き
(それに……やっぱり居やがったみたいだぜ。)
ランディはある方向を見つめて言った。
「ウフフ……これは物凄い場所だね。ここまで活性化しているのならそろそろ準備はできているのかな?」
ある方向―――そこではカンパネルラが白衣の男と甲冑の騎士と一緒に存在し、口元に笑みを浮かべて呟き
「フフ、そういう事なんだろう。うんうん、さぞかし面白い見世物になってくれそうだ。”白面”殿が生きていればさぞ愉しんでくれただろうに。」
カンパネルラの言葉に白衣の男は口元に笑みを浮かべて言った。
「アハハ、間違いないだろうね。でも、博士に加えて教授までクロスベルに来てたら収拾がつかなくならないかな?”方舟”まで持ち出して3大国に喧嘩を売ったりして。」
「ハハ、それはそれでなかなか面白そうじゃないか。しかし”白面”殿のせいで、大損害を受けたねぇ。パテル=マテルは奪われるわ、グロリアスまで奪われるわ……挙句の果てには肝心の”環”も手に入れられなかったと……リベールの”異変”はさんざんだったねぇ。」
笑顔で言ったカンパネルラの言葉に笑顔で頷いた男は溜息を吐き
「全くだよ……しかもメンフィルの手配のせいで赤い星座や黒月もそうだけど、僕達まで各国から殺害許可が出されて、各国の軍や賞金稼ぎから命を狙われている身だからねぇ。本当にあの国は手加減や自重という事を全然してくれないよ……」
男の言葉を聞いたカンパネルラは疲れた表情で溜息を吐いた。
「…………………」
一方甲冑の騎士は黙り込んでいた。
「あれ、どうしたの?やっぱりこの程度の使命、簡単すぎて気乗りがしない?」
甲冑の騎士の様子を見たカンパネルラは尋ね
「―――全てはあの方の意志。異存などあるはずもありません。それよりも博士、カンパネルラ。お喋りはそのくらいで。どうやら客人のようです。」
尋ねられた騎士は静かな口調で答えた後忠告した後カンパネルラ達と共に自分に近づいてきたロイド達に視線を向けた。
「………………」
「……あ、貴方達は………」
ロイドは黙ってカンパネルラ達を睨み、エリィは厳しい表情で睨み
「………どうやら予想以上の化物どもが揃っているようだな。」
銀は静かに呟いた。
「ああ、君達か。遊撃士のお姉さんの一人は身動きを取れなくし、もう一人は再起不能にしたはずだけど……ウフフ、どうやってこの場所を突き止めたんだい?」
「……一応、企業秘密ということで。」
「しかし、何だか面白ぇことをベラベラ抜かしてたじゃねえか……」
「さすがに見過ごすわけには行かなくなってきたかな?」
カンパネルラに尋ねられたティオは静かな表情で答え、ランディは目を細め、ワジは口元に笑みを浮かべて尋ねた。
「ふむ……察するにクロスベル警察の新人諸君といったところかな?」
「……クロスベル警察、”特務支援課”の者だ。結社”身喰らう蛇”の”使徒”の一柱、F・ノバルティスと同じく結社の関係者と見受けるが……まずは身分を証明できるものを提示してもらいましょうか?」
男の言葉を聞いたロイドはカンパネルラ達を睨んで言った。
「身分の証明……?彼は何を言ってるんだい?というか何故、私の名前を……」
ロイドの言葉を聞いた男は不思議そうな表情をして呟き
「うーん、警察としての手続きを踏んでいるんじゃないの?ウフフ、ボクたち相手に身分証明って悪い冗談にしか思えないけど。それと博士の事を知っているのは”剣帝”が博士の事を話したんだと思うよ?通商会議の件で、彼らは”剣帝”と接触したようだし。」
「真っ直ぐな若者ですね。要求に応えられないのは心苦しくはありますが……」
男の言葉にカンパネルラは答え、騎士は静かな口調で答えた。
「……駄目だ、ロイド。常識が通用する連中じゃなさそうだぜ。」
「”教団”の連中あたりと同じだと考えるべきだろう。」
男達の答えを聞いたランディは溜息を吐いた後真剣な表情で男達を睨んで言い、銀も意見を言った。
「フム、彼らと一緒にされるのはさすがに面白くないねぇ。フフ……いいだろう。既に私の事を知っているとはいえ、自己紹介くらいはしようじゃないか。―――F・ノバルティスだ。”身喰らう蛇”の第六柱にして、”十三工房”を任されている。フフ、どうか気軽に”博士”とでも呼んでくれたまえ。」
「……なるほど。貴方の仕業だったんですね。導力ネットのハッキングに使われた不可解なコードを開発したのは。」
男――――結社の”使徒”の一柱、ノバルティスが名乗るとティオはノバルティスを睨んで言った。
「ほお……!?あのコードがわかるのかね!?あれは”星辰コード”と言ってね!結社のネットワークで使われている―――」
ティオの言葉を聞いたノバルティスは驚いた後興奮した様子で説明をしかけたが
「博士、博士。」
「そういえば教団の被験者でエプスタインの連中が拾った娘というのがいたか……―――どうだね君!?その才能を”結社”のために活かすつもりはないかね!?」
カンパネルラに諌められた後、興味深そうな表情でティオを見つめて勧誘した。
「お断りします。」
ノバルティスの勧誘に対してティオはジト目で答え
「ガーン!」
ティオの答えを聞いたノバルティスはショックを受けた。
「まったく………パテル=マテルが奪われたからといってさすがに必死すぎないかい?」
ノバルティスの様子を見たカンパネルラは呆れ
「べ、別にパテル=マテルの話はここでは関係ないだろう?」
ノバルティスは若干焦った様子で答えた。
「―――さて、次は私ですか。我が名はアリアンロード。”身喰らう蛇”の第七柱にして、”鋼”の名を冠されています。どうかお見知り置きを。」
するとその時騎士――――結社の”使徒”の一人、アリアンロードが名乗り出た!
「っ……」
「なんて澄んだ声……」
アリアンロードの声を聞いたロイドとエリィは驚き
「ゴツイ鎧を着ているが、女みてぇだな……」
「……信じられないほどの威圧感だけどねぇ……」
ランディとワジは目を細め
「……貴様が”ラギール商会”の情報にあり、最要注意人物として挙げられていた”結社”の最強の使い手というわけか。確かに身震いするほどの闘気の持ち主のようだが―――」
銀は静かに呟いた後剣を構え
「―――この”銀”を前にしてその余裕、どれだけ保てるかな?」
銀はアリアンロードを挑発した!
「………………………」
挑発に対してアリアンロードは何も答えず
「お、おい”銀”……」
「どうしてそんな……」
ロイドとエリィは戸惑っていた。
「ウフフ、なかなか興味深い対戦カードだとは思うけど……その前に、ここのヌシが戻ってきたみたいだねぇ。」
「なに……」
「”ヌシ”……?」
そしてカンパネルラが呟いた言葉を聞いたロイドとワジが不思議そうな表情をしたその時
「!巨大なオーラの接近を確認……大型の幻獣が来ます!」
何かに気付いたティオが警告した!
「なんだと……!?」
「一体どこから……!?」
警告を聞いたランディとワジが警戒していたその時、巨大な幻獣がロイド達の側面に飛び込んできた!
「なっ……!?」
「こ、この魔獣は……!?」
幻獣を見たロイドとエリィは驚き
「幻獣”スフィンクスキマイラ”……古の幻想が作りだした聖なる花園の番人といったところかな?」
カンパネルラは口元に笑みを浮かべて説明し
「いやはや、こんなものまで実体化しているとは……フフ、これは計画の精度にも期待が持てるというものだよ。」
ノバルティスは興味深そうな表情で言った。するとその時幻獣は吠えた後ロイド達を睨み
「くっ……!」
「チッ……狙うなら連中を狙いやがれ!」
「―――話は後だ!速やかに調伏する!」
ロイドは唇を噛みしめ、ランディは舌打ちをし、銀は号令をかけた。
そしてロイド達は幻獣との戦闘を開始し、互いに協力をし合って幻獣を仕留めた!
「くっ………はあはあ……」
「な、何とか倒せた……」
幻獣の消滅を確認したロイドは息を切らせ、エリィは安堵の溜息を吐いた。
「ウフフ、結構やるじゃない♪」
するとその時カンパネルラが拍手をしながらロイド達を称賛した。
「フム、素人にしてはなかなかといったところかな。その魔導杖とやらも財団の連中が作ったにしてはそこそこ完成度も高そうだ。」
「……………………」
「てめぇら……」
ノバルティスが呟いた言葉を聞いたティオは黙り込み、ランディは目を細めてカンパネルラ達を睨んだ。
「”身喰らう蛇”―――そろそろ答えてもらおう!クロスベルの地で何をしようとしている!?まさかとは思うが……”グノーシス”を新たに製造したのもアンタたちじゃないだろうな!?」
するとその時ロイドは武器を構えてカンパネルラ達を睨んで叫び
「えっ!?」
「あ……」
ロイドの言葉を聞いたエリィは驚き、ティオは声を上げた。
「はは、魔人化しちゃった不良のリーダー君か。ボクも見物させてもらったけどなかなかの弾けっぷりだったよね。ウフフ、もう少し突き抜けたら”結社”に迎えてもいいんだけど。」
「…………………」
笑顔で言ったカンパネルラの言葉を聞いたワジは黙ってカンパネルラを睨み
「はぐらかすな!質問に答えてもらおう!」
ロイドはカンパネルラ達を睨んで怒鳴った。
「ハハ、君達がそう思うのは無理もないとは思うが……私達はあくまで『計画』の進行度を確かめに来ただけさ。七耀脈の活性化の度合いと………『約束の日』のタイミングをね。」
「『約束の日』……」
「チッ、どこまで思わせぶりなんだっつーの。」
ノバルティスが言った言葉を聞いたティオは呆け、ランディは舌打ちをしてカンパネルラ達を睨み
「………………―――もはや言葉は尽くした。ここから先は力をもって口を開いてもらうことにしよう。」
銀は武器を構えて静かな口調で言った。
「銀……」
「……そうするしか道はないみたいだね。」
銀の言葉を聞いたロイドは複雑そうな表情をし、ワジは重々しい様子を纏って頷き
「――――ケイオスハート!」
ティオは異空間から魔杖ケイオスハートを召喚して装備し、ロイド達も武器を構えた!
「やれやれ。」
「フフ、さすがにボクじゃ、君達全員の相手は無理か。ここは貴女にお任せしちゃっていいかな?」
ロイド達の様子を見たノバルティスは呆れ、カンパネルラはアリアンロードに視線を向けて言い
「―――仕方ありませんね。」
視線を向けられたアリアンロードは異空間から巨大な槍を召喚して構えた!
「や、槍……?」
「中世の騎士やメンフィル軍の騎馬隊が使っている騎兵槍みたいだけど……」
「おいおい……そんな骨董品を持ち出してどうしようってんだ?」
アリアンロードの武器を見たロイドとエリィは戸惑い、ランディは呆れた。
「―――問答は無用。互いに得物を取ったからには全力を持って当たるがいい。さもなくば命はないぞ。」
するとその時アリアンロードは呟き
「っ……!?」
「来る――――!」
アリアンロードの言葉を聞いたロイドが驚き、銀が警告したその時、アリアンロードは一瞬でロイド達の正面に現れて高速の連続突きを放った!
「え――――」
「………な………」
アリアンロードの攻撃を受けたエリィは呆け、ロイドは驚き
「クッ………!」
アリアンロードが攻撃する瞬間、簡易結界を展開して攻撃を防いでいたティオは表情を歪めていた。そしてアリアンロードが攻撃を終え、元の位置に戻ると銀とティオ以外は全員大ダメージを受けて吹き飛ばされ、地面に膝をついた!
「…………………」
攻撃を終えたアリアンロードは黙り込み
「グッ……まさか今のは……」
「……超高速の突きを一呼吸で数十放ったのか……」
攻撃を受けたランディとワジは唇を噛みしめ
(馬鹿な!?人間がこれほどまでの攻撃ができるだと!?)
(……何者だ、あの者は……)
その様子を見ていたメヒーシャは信じられない表情をし、ラグタスは厳しい表情をし
(お、おいおい……これはさすがにヤバすぎる相手じゃねえのか?)
(……驚いたね。まさか人間でここまでデキる奴がいるとは……)
ギレゼルは戸惑い、エルンストは真剣な表情で言い
「……まさか全魔力のおよそ6割をつぎ込んでようやく防げたなんて………ありえません……先程の動きといい、”人間”の出来ることでは……(”影の国”でリウイ陛下やセリカさん達の普段の戦闘の動きを見慣れていた事と”グノーシス”の力のお蔭で攻撃が見えましたけど………今の攻撃を防いで感じましたけど、マジでリウイ陛下達クラスじゃないですか……!)」
「………くっ…………………」
ティオは心の中で驚きながら疲れた表情で呟き、銀は唇を噛みしめた。
「ほう、”鋼の聖女”の槍を凌げる人間達がいるとはねぇ。ああ、1人は人間じゃなかったかな?」
一方ノバルティスは興味深そうな表情をし
「ウフフ、東方人街の魔人なんて呼ばれるだけはあるみたいだね?それと翼のお嬢さんもさすがはあの”殲滅天使”と同じ”教団”の”儀式”の成功体ってところかな?」
カンパネルラは笑顔で感心した。
「なかなかの反応です。翼の少女は将来は素晴らしい魔導師へと育つでしょう。ですが翼の少女に対して、銀は”先代”と比べるといまだ迷いがあるようですね。」
「…………なに……………」
そしてアリアンロードが呟いた言葉を聞いた銀が驚いたその時、なんと銀の仮面が粉々に砕け散り、仮面が砕け散るとリーシャの顔が顕わになった!
「―――――――――」
仮面が砕け散り、自分の顔が顕わになったリーシャは信じられない表情をし
「………!」
「えっ……!?」
「なあ……っ……!?」
「リーシャ……さん……?」
「凄いな……気配を変えてたのか……」
銀の真の正体を知ったロイド達は驚き
「アハハ、こりゃ傑作だ!”銀”の正体がアルカンシェルの準ヒロイン、リーシャ・マオだったなんてね!ウフフ、さぞ面白いドラマがありそうじゃない?」
カンパネルラは大声で笑った後興味深そうな表情でリーシャを見つめ
「…………くっ…………」
見つめられたリーシャは悔しそうな表情をした。するとその時
「皆さん、大丈夫ですか!?」
なんとノエルと共にアリオスや残りの遊撃士達やセリカ達、そしてエリナやシャマーラ、リィンがロイド達に近づいてきた……………!
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