英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第81話
銀と共に進んでいたロイド達はある人物を見つけた。
~湿地帯~
「あれは……!」
ある人物――――地面に膝をつき、何かに絡まれて動きを封じられているエオリアを見たロイドは声を上げた後仲間達と共にかけよった。
「エオリアさんじゃねえか……!」
「し、しかしこれは……」
「イバラのツタ……?」
エオリアを捕えているイバラのツタを見たロイドは戸惑い、ティオは真剣な表情をし
「ふむ、”プレロマ草”とは違う植物のようだが……」
「一体どうやったら、こんな事ができるのかしら?」
「ええ……こんな事、ユイチリ族でもなければ不可能です……」
銀やエルファティシア、セティは考え込み
「と、とにかく介抱しましょう!」
「まずはイバラのツタをどけないと!」
エリィとシャマーラは提案した後仲間達と共にエオリアを捕えているツタをどかした。
「……んん………」
ロイド達がエオリアを捕えているツタをどけおわるとエオリアは目を覚ました。
「おっと……」
「気付いたみてぇだな……」
「ふう………良かった。」
エオリアの様子を見たランディとワジは声を上げ、エリィは安堵の溜息を吐いた。
「……ここは……ティオちゃんがいるって事は天国か何かかしら……?」
「もちろん違います。」
目を覚まして呟いたエオリアの言葉を聞いたティオはジト目で答え
「……冗談を言えるということは意識はハッキリしてるみたいですね?」
ロイドは苦笑しながら尋ねた。
「ええ、ちょっと身体の力が入らないけど……ミシェルさんに頼まれてきてくれたのかしら?」
「ええ、実は……」
ロイド達はエオリアにここに来た経緯を簡単に説明した。
「そうだったの……私とリンは、幻獣と蒼い花の手掛かりを追ってここに辿り着いたんだけど……調べている内に厄介な相手と遭遇してしまって……」
「厄介な相手……」
「やはり幻獣かい?」
「ううん……人間よ。……それもおそらく”身喰らう蛇”の連中ね。」
「な……!?」
「こ、工房で聞いた……!?」
エオリアの話を聞いたロイドは声を上げ、エリィは不安そうな表情をした。
「中世の騎士のような格好をした凄腕の娘達を連れていて……その子たちの相手をするだけで精一杯だったわ……」
「騎士の格好をした娘達……」
(……あの連中か……)
エオリアの説明を聞いた銀とワジはそれぞれ考え込んでいた。
「……戦っているうちに私はリンとはぐれてしまって……”道化師”とかいう男の子に拘束されてしまったの……それであのツタみたいなのに動けなくされてしまって……」
「拘束して放置か……マニアックな野郎だな。」
「そうね。女の子を大切にしているヴァイスハイトにとっては一番嫌うやり方でしょうね。」
「ランディさん、エルファティシアさん、そういう問題では。」
「少しは時と場所を考えてください……」
エオリアの話を聞いて真剣な表情で言ったランディと、目を伏せて呟いたエルファティシアの言葉を聞いたティオとセティは呆れた。
「……話はわかりました。俺達はこのままリンさんの安全を確認します。」
「この中のメンバーを2人程誰かおいていきますね。」
「ありがとう……助かるわ。……リンをお願い。あの子、手強い相手を見ると歯止めが利かなくなるから……」
「……了解です。」
「こりゃ、グズグズしている余裕はなさそうだね。」
その後ロイド達はエオリアの守りの為にシャマーラとノエルを待機させた後さらに進むと、ある人物が信じられない状況で地面に倒れていた!
「……!」
「いたか。」
ある人物―――リンを見たロイドは目を見開き、銀は呟いた後仲間達と共にかけよったが
「なっ……――――リンさん!?」
リンは自分の周囲に血で真っ赤に染めた状態で倒れており
「ひ、酷い……」
「…………………」
エリィは悲痛そうな表情をし、ティオは辛そうな表情で黙り込み
「今すぐにでも手当しないとマジでヤベェぞ!?」
ランディは目を細めて叫んだ。
「くっ………!セティ、エルファティシアさん!すぐに治癒魔術を!」
「はい!」
「わかったわ!」
そしてロイドに指示をされたセティとエルファティシアは頷いた後それぞれ治癒魔術をかけはじめていたが、リンは一向に目を覚まさなかった。
「くっ……何で目を覚まさないんだ!?」
その様子を見たロイドは唇を噛みしめ
「恐らく血を流し過ぎたのだろう。これほどの出血量……失血死してもおかしくないぐらいだ。」
「そ、そんな………エルファティシアさん、セティちゃん!何とかならないんですか!?」
銀の説明を聞いたエリィは悲痛そうな表情をしてエルファティシア達に尋ねた。
「そうね………増血剤を呑ませれば、失血死は免れる事はできる思うけど………生憎作り方や材料はしっているけど肝心の材料は持って無いわ。」
尋ねられたエルファティシアは考え込んだ後答え、そして溜息を吐いた。すると
「……―――エルファティシアさん。エルファティシアさんの知る増血剤で必要な材料や作り方を教えてもらってもいいですか?もしかしたら手持ちの材料で何とかなるかもしれませんし……」
セティがエルファティシアを見つめて言った。
「……わかったわ。材料は――――」
そしてエルファティシアはセティにある事を教えた。
「………それでしたら何とかなります。材料の数はそんなに数はありませんが持っています。」
「ほ、本当か!?」
「ハハ、”グノーシス”の解毒薬を創った事といい、マジでエルファティシアちゃん達には世話になりっぱなしだな!」
セティの答えを聞いたロイドは明るい表情をし、ランディは嬉しそうな表情で言った。
「私とエルファティシアさんはこの場に残って、リンさんの護衛と治療をしますので、皆さんは先に行ってください。」
「……わかった。」
セティの言葉にロイドは重々しい様子を纏って頷き
「……それと。治療していて気付いたけど……例え命は助かってもしばらくは戦士として動けないでしょうね。」
「え……」
「……お二人の治癒魔術を使ってでも治せなかったのですか?」
エルファティシアの言葉を聞いたエリィは呆け、ティオは信じられない表情で尋ねた。
「………四肢の到る所が完全に砕けていたんです。」
「……いくら治癒魔術を使ってもさすがに砕けた骨を完全に元通りなんて真似ができるのはそれこそ治癒を専門とするイーリュン教のみに伝わる秘術クラスでないと無理だわ。……私は治癒魔術の適性は高いけど、生憎ルーンエルフ族に伝わる秘術にはそういった治癒魔術はないのよ。ルーンエルフ族に伝わる秘術はどっちかというと自然の力を借りたり、”破魔”や強力な呪いを解呪する事に特化している魔術だし……」
「そ、そんな………」
「くっ……!俺達がもっと早くかけつけていれば……!」
セティとエルファティシアの説明を聞いたエリィは悲痛そうな表情をし、ロイドは悔しそうな表情をした。
「……今は後悔するより、先にすべきことがあるんじゃない?」
「その通りだ。―――その者の治療は任せて、先に進むぞ。」
「………――――そうだな………セティ、エルファティシアさん。せめてリンさんの命は絶対に助けてくれ……!」
そしてワジと銀に言われたロイドは考え込んだ後頷き、真剣な表情でセティ達を見つめていい
「ええ、任せて。」
「これほどまでの事をする敵です……絶対に無理はしないでください……!」
ロイドの言葉にエルファティシアは頷き、セティは心配そうな表情で見つめて言った。
その後セティとエルファティシアをリンの治療のために待機させたロイド達は先に進み、奥地に到着した………
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