真田十勇士
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巻ノ五十二 島津四兄弟その六
「あえて戦い」
「そして家を守る」
「その考えです」
「そうですか、九州を一つにし関白様に従うか」
幸村はまた言った。
「関白様と一戦交えたうえで強さを見せて家を守るかですか」
「その通りです」
「わかりました」
幸村は瞑目する様な顔になり四兄弟に応えた。
「それではそれがしはもう」
「言われぬと」
「そうさせて頂きます」
「では」
「はい、その様に」
こう言うのだった、そしてだった。
あらためてだ、彼は酒を飲みこう言った。
「それでお話を変えますが」
「何でしょうか」
「いえ、この酒はかなりです」
「強いと」
「はい、随分と」
実際にというのだ。
「他の国の酒より強いですな」
「これは焼酎ですが」
「その焼酎でもですな」
「特に強くしたものです」
「そうした造り方ですか」
「左様です、この酒を飲み」
そしてというのだ。
「我等は戦っています」
「島津家においては」
「そうしています」
こう幸村に話すのだった。
「かなり強い酒ですが」
「それでは」
「お気に召されたなら」
「より飲んでいいと」
「遠慮は無用です」
微笑んでの言葉だった。
「何しろ貴殿達は今はお客人ですから」
「だからですか」
「はい、肴もあります」
見ればそれも用意されている、質素なものばかりだが量は多い。
「どうぞ」
「そう言われますか」
「島津家は客人はもてなします」
このことも言うのだった。
「家訓としてありますので」
「では」
「はい、どうぞ」
こう言ってだ、主従に酒を勧めてだった、幸村達は四兄弟に言われるままだった。その申し出を受けてこの夜は飲んだ。
そしてだ、そろそろ朝になろうかという時にだった。
幸村からだ、四兄弟に言った。
「では」
「そろそれですな」
「はい、名残惜しいですが」
それでもというのだ。
「これで」
「わかりました」
義久が応えた。
「それではです」
「はい、わかりました」
義久が応えた。
「それではどうぞ」
「次の機会に」
「次にお会いする時は」
義弘が言う。
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