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オズのボタン=ブライト

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第十幕その十

「神様でないと」
「そうよ、偶然だけはね」
「神様でもないと」
「どうしようもないわ」
「オズマ姫でもだね」
「そうよ」
 それこそという返事でした。
「オズの国の誰でも偶然はね」
「コントロール出来ないね」
「そうなの、何も出来ないの」
「それで僕のことも」
「ええ、貴方が寝てね」
「何時何処に行くか」
「予測することは出来ないの」
 それがその偶然が為すことだからです。
「オズの国の誰にもね」
「じゃあ若し今夜寝て」
「それで貴方がどうなるのかはね」
「わからないの」
 実際にというのです。
「どうしてもね」
「それがわからないってことだね」
「そうなるわ」
「わからないことがわかったよ」
 オズマの言葉を聞いて頷いたボタンでした。
「今はね」
「それはわかったってことよ」
「わからないことをわかることも」
「わかることなの」
「そうなんだね」
「ええ、じゃあまた食べましょう」
「あれっ、かなり食べたのに」
 オズマの言葉を聞いてです、ボタンはふと気付きました。
「もうお腹空いてきてるよ」
「そういえば僕も」
「何か私も」
「私もどうも」
「僕にしても」
「僕もだね」 
 カルロスに続いてです、恵梨香とナターシャそしてジョージと神宝もでした。皆それぞれ色々なお菓子をお腹一杯食べたのにです。
 もうお腹が空きはじめています、それで言うのでした。
「あれだけ食べたのに」
「それでどうして」
「お腹が空くのかしら」
「幾ら何でもね」
「これはおかしいね」
「それは皆食べながらね」
 ジュリアがいぶかしむ五人に種明かしをします。
「お菓子を追い掛けて牧場の中を動き回っていたわね」
「あっ、そういえば」
「確かにそうですね」
「私達お菓子食べるのに夢中で」
「あちこち動き回ってもいました」
「牧場の中を」
「そう、皆かなり動いていたから」
 そのせいでというのです。
「お腹が空いてるのよ」
「それにここまで歩いてきておるな」
 王様も言います。
「そのこともあるな」
「僕達それなり以上に動いてるんですね」
「うむ、食べても動けばな」
「それで、ですね」
「お腹は減る」
「そういうことなんですね」
「だからわしにしても同じじゃ」
「お腹空いてるんですね」
「結構な」 
 実際にというのです。
「起き抜けじゃが食べたいぞ」
「それなら」
「さて、では食べよう」
 また牧場のお菓子達をというのです。
「午後もな」
「わかりました」
「では午後も迷わずに食べよう」
 王子は微笑んで皆に言いました。 
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