オズのボタン=ブライト
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第十幕その九
「そうなのよ」
「わかんなーーいばかりじゃないんだね」
「ボタンもね」
「わかったよ、じゃあ僕少しずつでもね」
「今みたいに」
「言える様になるわ」
こうお話するのでした、そうしたお話もしながらです。
皆でお菓子もジュースも食べていきます、そうしてお昼休みはです。
皆ゆっくりと休みます、牧場の中に寝転んで。
そのうえでお話します、王様は寝転びながら皆に言いました。
「牧場はこうしてな」
「寝転がってですね」
「のんびりするのもいいんですね」
「そうなんですね」
「それも楽しみの一つじゃ」
飲んで食べるだけでなくというのです。
「お腹一杯食べてな」
「王様の楽しみ方の一つだよ」
王子も言ってきます。
「ここでこうすることもね」
「気持ちよく寝てな」
王様はまた皆に言いました。
「そしてじゃ」
「その後で」
「また遊ぶのじゃ」
「ここでは飲んで食べて」
「うむ」
その通りという返事でした、カルロスのそれは。
「そうしようぞ」
「それなら」
「寝るか」
「はい、今から」
「起きる時が楽しみじゃ」
王様がまず目を閉じてです、続いて他の皆もです。
目を閉じました、そして皆それぞれ一時間半程気持ちよく寝てでした。起きてまずは牧場の中を見回して。
皆がいることを確かめてです、ボタンが言いました。
「皆いるね」
「君もいるしね」
カルロスはにこりと笑って彼に応えました。
「よかったよ」
「今回もね」
「君は移動しなかったね」
「そうだね」
その通りとです、ボタンも応えます。
「そうなっていたね」
「ううん、本当に偶然はね」
「何時起こるかわからないよね」
「そうなんだよね」
「勿論僕にもだよ」
「これだけはどうしようもないね」
カルロスはいささかしみじみとした口調になっていました。
「何時何が起こるか」
「偶然の前ではね」
「それをわかることはね」
「無理だよね」
「わかることとわからないことがある」
こうも言ったカルロスでした。
「そうしたことだね」
「そうだよね」
「うん、本当に偶然だけは」
「オズの国の魔法でもね」
つぎはぎ娘は寝ていません、起きたままで言っています。
「偶然はどうしようもないね」
「私もグリンダも魔法使いさんも」
オズマの言葉です。
「偶然についてはね」
「どうしようもないでしょ」
「ええ、何も出来ないわ」
「コントロール出来ないのね」
「何一つとしてね」
それこそというのです。
「それは無理よ」
「偶然は誰にも支配されないんだね」
しみじみとした口調で言ったのは馬です。
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