とある地下の暗密組織(フォートレス)
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
ep.013 『機密情報漏えい。 fortress総員出撃っ!』
fortress会議室。
18人のメンバーが全員が席に座る。20ある席の内、3つの席に空きが生じる。その理由としては、夢絶であるとしか言いようがない。
「あれ。何で俺、縛られてんの?」
夢絶である。皆の怒りを買ってしまい拘束服を着せられて芋虫の様に席の後ろに倒れている。
会議室の席はヘアピン型で、夢絶は一番左奥にいつも座っている。
「自業自得です。」
と、空いている夢絶の席の二つ右にいるの席にいる御臼が正面を見て一切夢絶を見ずに言う。
「そろそろ夢絶もいじめる対象に・・・・」
と、更に右隣で笑えないジョークを笑顔で言う膳井。
「全く。いつものことながら何をやってるんだお前ら。」
頭を抱えながら、叶世は話を始める。だが、無絶を縛ったのは叶世である。なぜなら、もちろんの如く、この会議室にも『雨』が降ったからである。
「さて。」
と、話を変える。その腐った魚のような目から生き生きとはいないが、生きていると判る程度の声色がうかがえる。
その彼の手前にはペンと、メンバー全員の名前が書かれた紙があった。
「今回お前らに集まってもらったのは、急を要することがここで起きたからだ。本来なら地下・地上の一部の巡回などがある今日だが、すまない。」
と、頭を下げる。手は机に綺麗に置かれ、頭はほぼきっちり45度で傾いている。
「・・・・・・・・・・・・・・・。今回、この『fortress』が今まで取り上げてきた案件と上層部などとの情報などが一気に盗まれた。」
一同、あまり動じない。ある2人を除いて。
「そんなこと許せません! 私が叶先輩で成敗しますっ!」
「えぇっ! それ大変じゃないですか、お兄ちゃんどうにかしようよぉ。」
と、少し弱気なみんなの妹と、正義の塊が何か言っている。
また、それに対して、
「そうだねぇ~、御臼ちゃんの為にも倒しに行こうかぁ~?」
「光利ぃ~。お兄ちゃんが行ってきてやるから、光利はここにいても大丈夫だぞぉ~。」
叶世ツッコミ。
「おい黙れ。そこの『後輩好き』と『妹好き』!」
「「五月蝿い!」」
と二人一緒に言った後、夢絶が、
「それだと後輩全員いたわらないといけねぇだろ。俺が好きなのは御臼ちゃんだけだ!」
「そうだそうだ。俺が愛しているのは光利だけだ。『シスコン』ではなく『ヒカリコン』と呼べ。」
「俺の事も『オウスコン』と呼べ。」
そして夢絶が御臼の方に目をやると、御臼ドン引き。光利はいまいち意味を理解していない。
「叶先輩。取り敢えず数日だけ私に近づかないでください。」
「ああ、わかったよ(『する』とは言ってない)。」
「じゃあ、班分けをする。」
このセリフを言ったとき、叶世はもうこの二人を諦めた。
「俺はもちろん御臼ちゃんといっしょかな?」
「なら俺ももちろんのごとく光利といっしょだろ?」
叶世は右手で多色のボールペンを持ち、左手近くにあるメンバーの名前の書かれた紙に赤、青、緑で色分けしながら俺ぞれの名前をまるで囲んでいく。
「現状、一番怪しい組織を追ってもらう。第1班メンバーは、『夢絶 叶』、『瀬貝 大丈夫』、『島崎 狩牙』、『島崎 光利』、『一己 初始』、『ルレシオ・ジン・シェイリアス』、そして俺『叶世 重実』だ。」
そこで無絶が拘束服で椅子の後ろに倒れ込んだまま芋虫の様に暴れている。
「おいコルァッ!!! なんで俺と御臼ちゃんが違う班だよっ!!」
足と胴体で地面を擦る音が微妙に鬱陶しい。御臼はもはやツッコむ気にさえなれない。
「今回の任務はお前の技能もいる。そのくらいのことだ。」
ジタバタが治まり、少し考えて記憶を掘り起こした後ちょうどヘアピン型の机の曲がり目に座っている叶世に向く。
「ああ、あれか。もう何年も使ってねぇなぁ~。てか、あれは体質みたいなもんだし、感覚が残っているかも怪しいぞ?」
「大丈夫だ。それがなくてもお前は相当な戦力にもなる。」
「じゃあ、班分けの続きに続きに戻すぞ。」
また叶世は紙を見る。
「第2班。『御臼 来未』、『下根 高親』、『枯木 髙彬』、『ライナー・シュタイン・ブルク』、『シャーロック・スレイン・ブルク』、『水無月 千尋』、『水無月 陽炎』だ。」
千尋が一言。
「そのメンバーだと、内容は巡回とか?」
「ああ、第2班には地上での巡回・・・・、と言うよりかは第4学区での待ち伏せの様なものだ。」
「待ち伏せ?」
「今回の任務の間、第2班が一番自由に行動できると思ってくれ。もっとしっかりした任務内容は後で下根に紙で渡すつもりだ。いいな、下根?」
「了解。」
と、下根は真面目な声色で返す。
「よし。最後に第3班。この班には第1班の調査と第2班の待機中の間、地下の仕事をしてもらいたい。いつもの地下で起きる事件の収拾だな。」
そして、また紙を見ながら、
「まあ、メンバーは残りの『膳井 潤垂』、『咲島魚 龍閃』、『神無月 重悟、『殺瀬 夕』だな。後、地下の事件にはそれぞれの区の管理者、または協力してくれそうな人間に依頼してある。そいつらとコンタクトを取った後、事件に取り掛かる様にしてくれ。」
叶世、メンバー全員に目を合わせながら。
「いいか、今回はあまりにも危険な任務になる。お前らの事を疑っている訳ではないのだが、今回のような事があった時のために、『GROW《あいつら》』に頼んでおいた特殊武装が倉庫に届いてある。各自、出撃の時は一度そこに行くようにしておけ。」
解散。
第0学区、支配区。中央タワー前。
「今回は殺しの依頼ではなかったんだが・・・・?」
「そんなこと言わないでくださいよ、もう依頼料は先払いでもらっちゃってるんでしょ?」
地上から2人の学生が来た。夏服のカッターを着た二人。
「あの叶世がまさか依頼に来るとは思わなかったが、おそらく結構な危ない状態なんだろう。大丈夫だな、裂博。」
「もちろんです。でないとこんな仕事続けて無いですよ。」
「なら良しだ。よし、とりあえずはあいつに言われた通り、目的区に向かう。一応ざっくりな地図はそこでもらったしな。」
と、何やら折りたたまれた紙を取り出すと開く。
そして、二人は目的区、『fortress本部』へと向かう。
後書き
少し遅くなりましたかね。お待たせしました?
■
始まりました。長編第二弾、今回は相当に長くなることを覚悟しています。ですが、古参の方もそうでない方も楽しめるように最大限に頑張りますね。どうぞお楽しみに。
■
早速古参の方は楽しまれていると思われますが、最後の2人は・・・・・。そうです。
2017/01/07
足りない部分を修正しました。
ページ上へ戻る