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ユキアンのネタ倉庫 ハイスクールD×D

作者:ユキアン
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ハイスクールD×D 聖剣使いは平和が好き



「またこんなところでサボっているんですか」

教会の屋根の上の十字架に隠れるように居眠りをしていた俺の傍に誰かがやってきた。

「んあ?ああ、ガブリエル様ですか。まあ、元々無神論者の俺に真面目に神父のフリをしろって方が無茶ですよ。むしろ、なんでこんな身分を与えたんですかねぇ。外部協力者みたいな形にしてもらえた方が自由気ままでいられたんですが」

迂闊に女を買いに行くことすらできねえとか勘弁して欲しいんだけど。

「相変わらずですね。ですが、外部協力者に聖剣を預けることはできないとうるさい人が多いですから」

「あ~、やだやだ。人を疑うことしかできないなんて。聖書の教えに歯向かってどうすんのよ。それで、何かご用で?」

「担い手がいなかった聖剣3本がコカビエルに奪取されました」

「担い手がいない奴は天界で保管しといた方が良いって言ったのにな。それで、奪還が仕事で?」

「それと同時に残り二人の担い手の教育もです。貴方に比べればまだまだ未熟です。おそらく足手まといになるでしょうが、貴方なら何とかなるでしょう」

「まあ、どの程度にかもよりますけど。とりあえず、分かりました。準備を整えて現地に飛びます」

「頼みましたよ」

「了解しました」

そのまま屋根の上から飛び降り、自室で任務用の装備の点検を行いエクソシストの本部へ向かう。詳しい仕事の内容と任務に当たる支度金を受け取り、同行する二人の少女たちの元へ向かう。

「よう、お前たちが擬態と破壊の担い手か?」

「では、貴方が祝福の?」

「おうよ。祝福の担い手、シドムルファス・オルランドゥ。シドで構わん。嬢ちゃん達の面倒を見てやれとガブリエル様に言われていてな、交渉やらなんやらも仕込んでやるつもりだ。出世したいなら覚えておいたほうがいいぞ」

え~っと、適合率が破壊のほうが37%、擬態のほうが33%かよ。素人じゃねえか。これを教育するとか面倒だな。というか、本人たちに自覚あるのか?

「とりあえず、現地に飛んで拠点の確保だ。準備はできているな?」

「「はい」」

「うっし、行くぞ」







「やめんか、馬鹿共が」

『魔女』アーシア・アルジェントを殺そうとする馬鹿二人の頭にゲンコツを落とす。

「聖書の原文に魔女狩りをやれなんて書いてないだろうが。お前らが読んでる奴は人の政治に干渉するために手を加えられてるものだ。帰ってから申請して読め。不快な思いをさせて申し訳なかった。二人に代わり謝罪する。すまなかった」

「え、い、いえ、そんな謝らなくても」

「そうは言ってもな、そもそも君の追放は不当だっていうのが熾天使の見解だからな。上が知る前に下が勝手にやってしまったから恥の上塗りにならないようにと追放以外の処置が取られていないのだし」

「えっ、なんですかそれ!?」

「初耳なんだが!?」

「すまんな。これが教会の現状なんだよ。まともな奴にしか正しい情報は回ってこないんだ。残りは目が曇っている奴らだ。この二人みたいに」

俺の言葉にショックを受けたのか部屋の隅でのの字を書き始めた二人の首根っこを掴んで持ち上げる。

「まあ、この馬鹿二人には言い聞かせておく。話は戻るが、これ以上恥の上塗りが起きないように出来れば今回の件には触れないようにしてもらいたい。上はともかく中間層と下がうるさいだろうからな」

そのまま二人を引きずってドアに向かう。

「そういうことでよろしく頼む。ああ、積極的に関わらないなら別にいいから。こう、襲われたりしたら全力で滅ぼしちゃっていいから。俺の仕事はこいつらの教育と聖剣の回収だから。それさえ出来れば俺は怒られないで済むから」

「待て」

退出しようとしたところで、ずっとこちらを睨んでいた男が声をかけてきた。

「何か用か?」

「僕は、元君達の先輩だ」

「ああ、バルパー・ガリレイが主導していたあの計画の生き残りか。残念だが、俺たち全員天然の聖剣使いだから関係ねえや。俺なんてあの計画以前から聖剣の担い手だし。人工物と一緒にされてもねぇ」

俺の言葉に男が揺らぐ。あの実験の詳細は知っているから教会を恨んでいても仕方ないな。それと、イリナだけは天然とは言えない。本人は知らないから別にいいだろう。詳細も天然を人工的に強化した感じだし。

「あっ、そうだ。君と一緒で生き残りがもう一人いるよ。神器に目覚めて毒ガスから生き残ったんだ。仮死状態だったけど2年ほど前に目覚めたよ」

「馬鹿な!?みんなが逃がしてくれた僕以外に生き残りなんて!?」

「いやいや、実際救出した本人が言うんだから本当だって。名前はトスカだったな。なあ、イザイヤ君」

トスカから聞いていた名前を告げると同時に完全に崩れ落ちた男の前に近寄り、耳元で囁いてやる。

「会いたいなら、こっそりと合わせてやる。君に対しても負い目があるからな。上に掛け合ってもいいぞ」

それから肩を軽く叩いて今度こそ二人を引きずって部室から退出する。







「あ~、もう、やだやだ。二人は使い物にならないどころか仕事を増やすし、予想以上に悪魔が使えないし、コカビエルはただのバカだし、聖剣(おもちゃ)で遊ぶバカ二人もいるし。なんで世界はこんなんなんだろうな?」

教会の真実を知って腑抜けになった二人を放っておいたら襲撃されて聖剣を奪われていた。コカビエルからの招待状を受け取ってパーティ会場にやってきてみればグレモリー眷族とシトリー眷族がボロボロの姿で今回の事件の主犯者共達と対峙していた。

「ほう、最後の獲物が自分からやってきてくれるとはな」

「バルパー・ガリレイか。いい歳したおっさんがいつまでもガキみたいな夢を見てるんじゃねえよ。そんなにこいつが欲しいならくれてやるよ」

背負っていた祝福をバルパー・ガリレイに投げ渡してやると困惑しながらも核を抜き取り、白髪のエクソシストの持つ聖剣に移植する。

「へへへ、これで更に聖剣ちゃんがスーパーパワーアップだぜ!!お礼に一思いにクビチョンパしてやんよ!!」

聖剣の能力を引き出して白髪のエクソシストが突っ込んでくる。適合率は28%か。生ぬるいな。透明で姿を消して、天閃で速度をあげ、擬態で使いやすい形にして、破壊で攻撃力を上げる。普通に考えれば恐ろしいのだが

「使い方がなってねえんだよ!!」

剣戟を躱して頭をつかんで地面に叩きつける。頭が地面に埋まり、首の骨が折れているのを確認して聖剣を奪い取る。

「お勤め御苦労。聖剣は返してもらうぞ」

「馬鹿な!?聖剣が破れるだと!?」

「使い手が弱すぎるんだよ。まともに使いこなせてない。こいつなんて3割も力を引き出せてない。だからこうなるんだよ」

「そんな!?では、私の研究は」

「劣化品を作るので精一杯。貴様に見せてやるよ、聖剣の力を100%引き出したときにのみ見られる現象を!!」

6本を束ねた物の全力解放か。初めてだが、バラバラの時は成功しているんだ。要領は同じだ。聖剣の全てを読み取り、力を解放していく。同時に夜の闇を払うかのように周囲から光が聖剣に宿っていく。

「綺麗」

誰が呟いたのかわからない。もしかしたら俺以外の全員が呟いたのかもしれない。

「エクスカリバーはかなり特殊な聖剣だ。人々のこうあって欲しいという思いが集まって生み出された聖剣だ。人の思いこそがこいつの正体」

聖剣という殻を破り、真の姿を表す。光と力そのもの。それこそがエクスカリバーの真の姿だ。剣の形は人が使いやすい姿を取っているだけであり、これこそが真のエクスカリバーと言えるのだ。

「エクスカリバーよ。人々の平和を乱そうとする敵は奴だ。やれ!!」

次の瞬間、光がコカビエルを貫き、何も残さずに消え去る。

「刀身形成」

再び砕けちった殻を纏い、エクスカリバーが聖剣の姿を取る。それを鞘に収めて封印の布で覆う。

「さて、バルパー・ガリレイ。投降するも良し、自刃するも良し、歯向かうのも良し、逃げるも良しだ。俺の仕事は終わったからな。あとは、悪魔に任せる形かな」






「聖剣の回収、お疲れ様でした」

「いえ、二人の教育に失敗しましたので」

「やはりそうですか。今回の件のこともありまして、エクスカリバーはそのまま貴方が全てを所持していてください」

「了解です。まっ、その方が良いでしょう。全く、昔の担い手共の勘違いの所為で本来の姿を失ったのがそもそもの原因ですしね」

「人の思いが破れた結果ですか」

「破れたんじゃなくて間違ったんですよ。対悪魔・対龍戦を想定していない剣にそんなことをさせたのが砕けた原因ですよ。こいつも特化型の聖剣、人が平和に暮らせるために力を振るう剣だ。人の平和を悪魔が、龍が脅かさなければこいつは力を発揮できない。それが砕けた原因ですよ」

人間に関係ない冥界での戦いに利用したのが悪い。

「結局の所、アーサー王すらこいつを使いこなせていなかったんじゃないですか?聖剣としてしか使われた形跡が残ってませんし。というか、キリスト教と相性悪すぎるんですよ、エクスカリバー。やってることが神降ろしに近い行為なんですから。むしろ無神論者の日本人が使った方が力を簡単に引き出せますよ」

やってることは付喪神を降霊させてるようなものだからな。

「全く、何で平和に馴染めないかな。聖剣なんて物は使われずにいた方がいいっていうのに」

そう思いながら俺は平和を満喫するために屋根に寝転がり、聖剣を背負っていたのを忘れてバランスを崩し屋根から転がり落ちる。

「あら~!?」

「はぁ、剣聖と呼ばれ、エクスカリバーをアーサー王以上に扱うことができるのに。能力と性格が合わないとは。神よ、これも貴方が居られぬ影響なのでしょうか?」
 
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