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逢魔

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第八章

「楽しかったね」
「ええ、とてもね」
 美稀も答える、見れば二人共笑顔だ。
「楽しい時間過ごせたわね」
「そうよね、まさか本当だったなんてね」
「妖怪さん達がお家に来て」
「お爺さんと一緒に楽しんでるのね」
「毎日朝から晩まで」
「そうしてるのね」
 晴香はしみじみとして言った。
「いや、真相がわかったわ」
「噂通りだったわね」
「そうよね、けれどね」
「それでもね」
「この話は確かに誰かに言っても」
 それでもというのだ。
「信じてもらえないわね」
「ええ、絶対にね」
「お爺さんに約束したわね」
 晴香はこのことも言った。
「言わないって」
「絶対にね」
「何か言ってもいいって感じだったけれど」
「約束したからには」
 美稀も言う。
「守らないとね」
「そういうことね」
「そうね、それじゃあ」
「このことは内緒にしましょう」
「誰にも言わない」
「私達だけの秘密ね」
 もっと言えば源田、妖怪達も入る。だが二人はここでは自分達だけと話した。
 そしてだ、その話の後でだった。晴香は美稀に言った。
「じゃあ明日はね」
「ああ、明日も朝練あるわよ」
 部活のとだ、美稀も答えた。
「部活ね」
「そうよね、そろそろ試合だし」
「結構メニューもハードになるわよ」
「じゃあ気合入れていきましょう」
「怪我もしないようにして」
「頑張りましょう」
「皆でね」
 こう二人で話してだ、そしてだった。
 二人は同時に源田の家の方を振り向いた、もうすっかり暗くなっていて距離もあり彼の家は見えはしない。
 だが晴香は彼の家をその目に見てだ、美稀に言った。
「今日は楽しかったから」
「試合が終わって落ち着いたらね」
「またお邪魔しよう」
「そうね、その時はね」
 美稀もその目に源田の家を見つつ応える。
「そうしましょう」
「またお爺さん、妖怪さん達と遊びましょう」
「楽しくね」
 こう二人で話すのだった、そのうえで。 
 今はそれぞれの家に帰って休んだ、また彼等と楽しい時間を過ごすことに思いを馳せながら。


逢魔   完


                       2016・5・21 
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